ニューサイクリング 1963年1月号(No.1)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1963年1月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1963年1月号は、創刊号です。

この号の表紙は「軽井沢高原」」です。

創刊号の目次をページ順に追うと、

口絵 冬の軽井沢高原に遊ぶ

 8 『自転車のことなら何でも揃う通信販売・マヌフランスの話』

12 学校のクラブ『女子高生ばかりのクラブ』県立浦和第一女高の場合

16 『サイクリング協会ってこんなところ』事務局メモから

21 サイクリング界の二軍? 『少年団の誕生』

24 自転車百科事典『エンサイクルペジアヤポニカ』

29 サイクリング・メモ(1)「サイクリングクラブのこと」

30 サイクリング・メモ(2)「冬の服装」 どんなことに気をつけるか

31 サイクリング・メモ(3)「冬の間にすること」 整理や次のプランのこと

32 『アマゾンジャングル』南米便り(世界一周旅行のうちの一部)

42 或るクラブの活動『レースの好きな仲間』

48 28インチ・ドイツ製自転車を駆ったN君の手記『北京の日に』

54 『季節のエッセイ/月と虫の話』

54 『尾頭峠を越える』

56 『私の自転車旅行』

60 『室戸岬をまわる』

66 「新製品ガイド」

68 「協会とクラブのページ」

70 「パニアバッグ」(読者サロン)

72 編集後記

となっています。

主な記事の内容を以下にご紹介します。

※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。

目次には出ていませんが、巻頭にはニューサイクリング創刊にあたっての挨拶文が掲載されています。6ページには社長からの『「ニューサイクリング」発刊のことば』、7ページには今井彬彦編集長による「サイクリングの楽しさを知らせる これから始める人たちに、正しい知識と経験を」が掲載されています。


「自転車のことなら何でも揃う通信販売 フランス マヌフランスの話」

マヌフランスは、当時、フランス国内に本店と14の支店、そして自社の製造工場も持った大規模な通販会社です。その取扱品は日用品や雑貨はもちろん、ピストルやライフル等もあり、B5版600ページ以上に及ぶカタログを発行していました。そのカタログの中には自転車のページもあり、完成車は子供用車や実用車からスポーツ車や旅行車まで用意。部品類も細かいネジ類まで掲載されていました。記事には、マヌフランスのカタログの一部も掲載されており、部品やスポーツ車が掲載されていることが見て取れます。


「女子高校生ばかりのクラブ 埼玉県立浦和第一女子高」

当時、中高生にサイクリングがもてはやされるようになってきていて、クラブやグループ活動が活発になってきていました。そのような中、前々年の10月に県立浦和第一女子高にサイクリングクラブが誕生。ここでは、女子のみのサイクリングクラブならではの特色や悩みを先生と生徒から聞いています。

クラブ誕生の経緯ですが、まずはなじみの深い浦和高校(男子校)に相談、そこで浦和サイクリングクラブ(UCC)を紹介され、クラブ設立に至りました。取材当時では20名ほどが在籍していました。学校内では、同部の扱いについて運動部として認めると高体連の中でのサイクリング部の扱い方などが問題になるとして正式クラブとして認めたくないという考えもあるとの悩みがありました。また、保護者の方の心配や普段軽快車に乗っている部員たちがサイクリング車を借りて初の一泊サイクリングを経験しての反省など、課題も見えてきているようです。それでも、これまでの活動から自信も付きつつあり、生徒の皆さんは面白さを感じてきているということでした。


「サイクリング協会ってこんなところ」

ここでは、日本サイクリング協会(JCA)はどのようなところなのかということを、事務局1年生の筆者が紹介しています。当時のJCAは理事の数は多いものの、常勤の事務局員は筆者一人。事務所も他団体のオフィスの机をひとつ借りている状態でした。JCAの活動について、各地方団体との関係や筆者の事務局としての1日を紹介しています。その中で、今井編集長が毎日訪れては、1・2時間JCAの仕事をやってくれているとのエピソードを披露しています。その他にも、普段触れることのない協会の仕事内容について、筆者によって協会の内部が見えてくる話が色々と披露されています。


「サイクリング界の二軍? 少年団の誕生」

この記事では前年の9月に誕生した「サイクリング少年団」について紹介しています。このサイクリング少年団は、大人のサイクリングクラブのジュニア版ということで、当時の文部省が青少年のスポーツを盛んにさせようという狙いのもと、サイクリング人口拡大を築く新しい試みとして始まりました。その資格は、サイクリングが好きな10才から18才までの少年たち。地域や学校の単位等で集まり、ひと団体は大体10名から30名程度で構成されているということです。まだ設立間もないということで、課題等はこれから出てくることが予想されるといっていますが、将来のサイクリング人口増加の期待が記事からはうかがえます。


「自転車百科事典 エンサイクルペジアヤポニカ《シ》」

『エンサイクルペジアヤポニカ』は、過去「サイクル」誌に掲載されていたものを、同誌廃刊に伴い、ニューサイクリング誌に続きを掲載することになったものです。筆者は当時、大学の図書館勤務で、仕事の傍ら自転車関係の資料を収集していました。この百科事典は当時の日本では他に例を見ないもので、貴重なものになるであろうと編集部が述べています。この号では、過去3回の続編として「シ」の続きから掲載されています。取り上げられている語句は、自転車に関する用語・書籍・映画と広範囲にわたっています。


「サイクリング・メモ(1) サイクリングクラブ 活動や運営はどのようになされているか」

「サイクリング・メモ」は「初心者のために」と銘打った、サイクリングを始めたばかりの人に向けた各種の情報を届けるコーナーです。メモ1は「もし貴方がクラブに入りたかったら」と題して、クラブを探したい場合はニューサイクリング編集部へ問い合わせるか、もう一つの問い合わせ先として日本サイクリング協会を住所・電話番号を掲載して紹介しています、また、サイクリングクラブの入会方法や活動内容などを紹介したり、クラブ選びには自分の好みに合った雰囲気のクラブを選ぶことが大事だと説明しています。


「サイクリング・メモ(2) 冬の服装 どんなものがあるか、考えてみよう」

「サイクリング・メモ」は「初心者のために」と銘打った、サイクリングを始めたばかりの人に向けた各種の情報を届けるコーナーです。メモ2は「寒さが厳しくなってきたが着るものは」と題して、冬のサイクリングに必要な服装について解説しています。当時はサイクリングウエアが普及する前の時代であったため、最適な服装は自分で探すしかないとしています。そこで、最適な服を選ぶためのポイントとして、頭は帽子をかぶったほうが温かい、上半身の下着は毛のほうがよい、その上にウールの長袖シャツそれにセーターまたはブレザーコートなどを着込めば大丈夫としています。下半身はスキーズボンや毛のタイツ、あるいはニッカースにニッカーホースが多いといっています。


「サイクリング・メモ(3) 冬の間にすること このシーズンをどうやって皆は過すか」

「サイクリング・メモ」は「初心者のために」と銘打った、サイクリングを始めたばかりの人に向けた各種の情報を届けるコーナーです。メモ3は「ストーブシーズンがやってきた」と題して、屋内での自転車の楽しみ方を紹介しています。ひとつは仲間数人で集まって自転車の分解整備をすることで、おしゃべりをしながら様々な話題になり、仲間をよりよく知ることができるとしています。そして、春以降のサイクリングの話題が出たら冬の間に計画を立てることを勧めています。


「アマゾンジャングル」

これは、西ドイツ生まれの筆者が、世界一周の最中に日本の京都で親しくなった日本人にあてた手紙を掲載したものです。この手紙では、エクアドルの標高3000メートルの町アンバトに入った筆者が、次の目的地であるプヨを目指して1日かけて約200kmをバス移動している時の様子、景色や食事等について伝えています。プヨに着いてからは、町やホテルの様子、そして総督に面会するために申し込みをして、翌日には総督と面会する場面で次回へと続いています。


「或るレーシングクラブの話 レースの好きな仲間」

特定のチーム名は出てきませんが、この年の国体に2名の選手を送ることとなった或る企業チームの話です。まずはエース級の選手が怪我で離脱を余儀なくされたこと。しかし、その間に若手選手がメキメキと力を着けてくるという嬉しい誤算や、有望な新入部員が加入したこと。レース運営については、オートレース場を借りて素人大歓迎のレース・レクリエーションイベントを企画。当日の雨や飛び入り参加にてんやわんやしながらも無事にイベントを終了できたことにほっとした心情も吐露しています。


「連載 北京の日に 28吋のドイツ製自転車に乗ったN君とトラさん」

こちらは高橋長敏氏の執筆による連載となっていますが、話は途中からの展開となっています。特に注釈はないのですが、恐らく「サイクリング」誌の時代に始まった連載をニューサイクリング誌に引き継いで掲載しているものと思われます。あらすじ紹介では、主人公のN君は軍の特殊部隊に配属された暗号担当者という設定になっています。そんな主人公のサイクリングとスパイ戦の物語となっています。


「季節のエッセイ」

気象庁勤務の筆者によるエッセイです。今回は「月のはなし」と「虫のはなし」の2本立てとなっています。

「月のはなし」は、旧暦の日付に関して筆者の勘違いがあり、雑誌掲載の日付で間違いをしてしまったこと。そして、うさぎを飼っている人の話として、月の明るい夜になるとうさぎ小屋からトントンという音が聞こえてくる。これがまるで餅をついているように聞こえるので、うさぎと月の伝説も動物学的な根拠があるのかもしれないといっています。

「虫のはなし」は、秋の虫の鳴き方の温度変化と鳴き方の変化の関係についてや、虫の分布について綴っています。


「私の自転車旅行」

大学最後の夏休みとなった筆者が、最後の夏休みの記念として行った自転車旅行記です。サイクリングの知識はゼロといった状態だった筆者は、東京サイクリングセンターを紹介してもらって、サイクリングの知識とサイクリング車を手に入れます。そして、8月の終わりに国分寺の自宅を出発。初日は御殿場を抜けて沼津まで。2日目は掛川近くの菊川まで、3日目は名古屋に到着。4日目は鈴鹿を経由して京都入りし、5日目は大阪まで走りここで3日間滞在しています。9日目にツーリングを再開して大阪から京都へ移動、その日は残り時間で京都観光をしています。10日目はミスコースをしながらも岐阜まで移動し、最終日は飛騨金山まで走ってこの自転車旅行を終えています。


「昔の会津街道を訪ねて 尾頭峠を越える」

前年に東京タワーから大阪城までの走破を成功させた筆者が、仲間と共に向かったのは同行者の郷里である会津若松。一行は夜の9時半に上野駅を出発し、翌日には、いろは坂を登り戦場ヶ原から奥日光に入っています。その翌日は奥日光から今市、鬼怒川温泉から日塩スカイウェイを抜けて塩原新湯温泉のユースに宿泊。最終日は尾頭峠に挑み、四時間半ほぼ担ぎで峠を越え、下りもがけ崩れや雪崩跡に行く手を阻まれつつようやく林道に出ます。最後は、途中のバスストップ前の駄菓子屋で腹ごしらえし、会津まで下りを楽しんでいます。


「四国路の旅・室戸岬をまわる」

二輪の旅は「旅」であって「旅行」ではないと考える筆者。3月3日に広島を出発している筆者ですが、この紀行では3月9日に野市辺りを出発したところから始まっています。筆者は雨の中を室戸岬を目指しますが、日の暮れた悪路の中でBBのベアリングが割れるというアクシデントにあいます。幸い3キロほど歩いたところで自転車屋を見つけて無事修理を済ませ、近くの宿に泊まります。翌日は早い時間に室戸岬へ到達し、その後はトラックに乗せてもらいつつ阿南まで。翌日は徳島を過ぎ鳴門に寄った後、高松まで走りここで数日観光。最後は小松、今治、北条、松山と走り、高浜港から船に乗って四国を離れています。

「新製品ガイド」

今回は海外からの製品を中心にとのことで、ワイマンの「ワイマン・ジュニア」、ブルックスのサドルバッグ、VDOのスピードメーター等を紹介しています。

また、このページの下段には「自転車業界・短信」というコーナーがあります。今月は、吉川製作所、三ヶ島製作所、高橋商店、アルプス自転車工業、山口自転車工場、ノートン自転車、三光舎からの情報が掲載されています。


「協会とクラブのページ」

このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は「NOCC」「MCC」「NCTC」「KJCC」「HCC」「TCC」からの情報が掲載されています。

「パニアバッグ」

このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号は、「15段変速とはどんなものか」「プラスチックサドルの欠点は」「クラブ入会方法について」という質問と、それに対する回答。読者の自転車を紹介してほしいという要望。インフレーターを探しているという依頼などが掲載されています。

1963年1月号の裏表紙広告は、ナショナル自転車「アドエース」でした。

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