ニューサイクリング 1963年2月号(No.2)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1963年2月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1963年2月号は、創刊2号です。

この号の表紙は「レース用外国部品」です。

創刊2号の目次をページ順に追うと、

口絵 北海道旅行のアルバムから

 6 特集 サイクリング用の自転車や部品にはどんなものがあるか『サイクリングの自転車とその部品』

22 『グループで自転車旅行をするには?』 東北、北海道一周の旅行の反省とやり方の問題点

30 『雪の山伏峠』

34 サイクリングコースのお誘い『浦安の町』

38 『少年団は僕たちのものだ』〈サイクリング少年団の声〉

42 『サイクリング少年団を、私はこう見る』(上)

46 『北京の日に』〈最終回〉

54 サイクリングメモ『初めて自転車を買っとき』注油と手入れ

56 自転車百科事典『エンサイクルペジアヤポニカ』

60 新製品ガイド

62 「協会とクラブのページ」

63 JCA事務局から

66 「パニアバッグ」(読者サロン)

68 編集後記

となっています。

主な記事の内容を以下にご紹介します。

※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。


「お買い物特集 サイクリングに使われている自転車とその部品」

この特集は「はじめて自転車店のショーウィンドーをのぞく人のために」と副題をつけ、初めて自転車の部品や用品を見た人が、それが何であるかがわかる程度の知識を提供しようという狙いの企画です。

ここでは、完成車と部品のパーツに分けてそれぞれを紹介しています。まず完成車のパートですが、ここでは10台のメーカー・ショップオリジナル車を取り上げています。気になるモデルとしては、東京サイクリングセンターの「ゼファーII型」、アルプスの「グリーンキャップ」。この2台がドロップハンドルを使用したスポーツモデルといえる車種です。他の自転車はテリー型サドルやアップハンドルを採用した、現在でいう軽快車にあたるような車種となっています。

次に部品のパートですが「現在どんな部品が買えるか」として、市販品の中からスポーツ車に使える部品を取り上げて紹介しています。各部品はカテゴリー別に「ハンドル」「チェンホイール」「多段フリー」「ハブ」「サドル」「リム」「変速機」「ブレーキ」「タイヤ」「ペダル」「発電ランプ」「グリップ」「ベル」「キャリヤー」「バッグ」「修理道具」と分けて紹介しています。現在と比べてこの時代の特徴としては、クランクがコッタード、フリーが3段から5段、変速機がフロント・ロッド式やリア・スライド式が紹介の中心となっているところです。


「グループで自転車旅行をするには? 私たちの場合はこうだった」

これは前年の夏に東北、北海道一周の旅行、58日間で3700キロを走破したツーリングのレポートと反省メモからまとめたものです。この自転車旅行に出た大学生4人は、自転車旅行が全くの未経験。それでもこの旅を完走できたということで、この記事ではその成功の秘訣を自己分析しています。

計画にあたっては、道路状況の調査は1日の目標走行距離を80kmと仮定。地図にプロットした後に道庁および各県庁に送り、アドバイスを求めています。その他、サイクリング経験者に話を聞いて体力的に無理のない計画立案、装備、ペース決定、食事、故障時の修理対応、病人が出た場合の対応など、事前にかなり綿密な旅行計画を立てていたことがわかります。

最後は旅行を終えてからの反省点を何点か、定期休息日が必要だったこと、費用計画のこと等を挙げて報告を締めくくっています。


「凍りついた山道を霧にさえぎられながら 雪の山伏峠」

これは筆者を含めた3人のクラブ員が、クラブ外の参加者3人を加えた6人で冬の同志街道を走ったサイクリング紀行です。神奈川県の橋本駅に集合した一行は、道志川をさかのぼるように山中湖を目指して走ります。途中、ちょっとしたトラブルがあったものの、一行は無事に初日の宿泊地に到着します。翌日は、いよいよ山伏峠越えになります。前夜から降り続いた雪が10センチ程も積もっていたものの、峠のトンネルまでトラブルなくたどり着きます。下りも慎重におり、途中1人がパンクに見舞われたものの、この日も宿まで順調にたどり着きます。最終日は前日から打って変わって良い天気になります。一行は前日までの自転車の汚れを落とし、素晴らしい景色の中、長尾峠を越えて箱根裏街道を下り、小田原に着いたところでこのツアーが終わっています。


「サイクリング・コースのお誘い 東京の東南端のオランダ地帯 浦安の町」

この記事は、今井彬彦編集長執筆によるサイクリングガイドです。今回は、現在は夢の国がある街として有名な千葉県の浦安を取り上げています。コースは深川から清洲橋、葛西を渡っていきます。この頃の葛西橋はちょうど架け替え工事が行われていたようで、小さな車が通ってもユラユラすると言っています。また、ここからは晴海方面のクレーンやタンクや造船所が見え、反対方向には東京のオランダと云われる海面より低い畑や田圃が広がっています。葛西の町を外れて、浦安橋を渡ると浦安に入ります。この頃の浦安は、一面広々とした湿地帯があり、その先は海、海岸に出ると人の丈ほどの葦が密生していて先が見えないほどでした。無数の蟹がいる干潟を過ぎて行徳を抜け、町はずれの江戸川放水路を渡らずに行くと閘門のある景色に出くわすようです。他にもまだ面白い所も多く、1日たっぷり楽しめるところはいくらでもあるとのこと。これで1日の走行距離は約四十粁ということです。


「少年団は僕たちのものだ 各地でサイクリング少年団の誕生が近づいている」

サイクリング少年団が産声をあげてから約半年。全国各地で少年団結成の胎動があるとのこと。ここでは、既に少年団に加入している団員の声を集めています。中学生から高校生まで、6人のサイクリング少年団員の意気込みあふれる声が掲載されています。


「サイクリング少年団を、私はこう見る(上) サイクリング界の動き」

この記事は、当時JCAの理事であった山田鉑雄氏による、サイクリング少年団に対する意見です。意見の要旨として各文の見出しをご紹介すると「誤りのない指導方法が大切」「趣旨をよく考えてほしい」「単なる遊びで終わらないために」「指導者はいろいろな勉強を」「放任タイプと命令タイプ」「リーダーの人格と少年の性格」「少年団にプライドを」となっています。


「映画『偽の売国奴』に現れた自転車レジスタンス」

この記事は目次には出ておりませんが、44ページから2ページにわたり、映画の内容を紹介する編集部による記事です。自転車は、主人公の死地脱出に使われている。が主人公が自転車に乗るのではなく、街中を走る何百という自転車に乗る群衆が登場するというのです。この映画は1962年に製作された作品ですが、現在でもDVD等が販売されているようですので、自転車好きとしては、ぜひ見たい作品ではないでしょうか。


「連載 北京の日に 完結編 殺し屋"洪"を倒し戦闘は終わったがワーリヤは赤い自転車を残して去った」

こちらは高橋長敏氏の執筆による連載となっていますが、話は途中からの展開となっています。特に注釈はないのですが、恐らく「サイクリング」誌の時代に始まった連載をニューサイクリング誌に引き継いで掲載しているものと思われます。あらすじ紹介では、主人公のN君は軍の特殊部隊に配属された暗号担当者という設定になっています。そんな主人公のサイクリングとスパイ戦の物語となっています。この連載は今回で終了しています。


「サイクリング・メモ 初めて自転車を買ったとき こんなことに注意しよう」

「サイクリング・メモ」は「初心者のために」と銘打った、サイクリングは始めたばかりの人に向けた各種の情報を届けるコーナーです。今回は、自転車を買った時にどんな注意をして手入れしたらいいのかということを解説しています。その注意点は、大きく分けて油のさし方とネジ類の調整だと言っています。まずは油を指す場所とその頻度に関する注意点。次に走行距離が300km程になると回転部のガタが出てきたりワイヤー類の伸びが出てくるので、販売店で整備してもらうと良いと言っています。そして、この時に整備の方法を覚える事だと助言しています。


「自転車百科事典 エンサイクルペジアヤポニカ《シ~ソ》」

『エンサイクルペジアヤポニカ』は、過去「サイクル」誌に掲載されていたものを、同誌廃刊に伴い、ニューサイクリング誌に続きを掲載することになったものです。筆者は当時、大学の図書館勤務で、仕事の傍ら自転車関係の資料を収集していた方です。取り上げられている語句は、自転車に関する用語・書籍・映画と広範囲で、今回は「シ~ソ」までとなっています。


「新製品ガイド」

今月は特に変わったものはないがという前置きで、光風自転車の輸出モデルを国内販売するというニュース。部品では、スギノの中空クランクの4段チェンホイール「ダイナミックギヤ」、第一ゴムのナイロンコードを使ったW/Oタイヤ等を紹介しています。

また同ページにある「自転車業界から」という囲み記事では、「横尾双輪館」「日米富士自転車」「宮田製作所」「ブリヂストン自転車」各社の情報を掲載しています。


「協会とクラブのページ」

このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は「サイクリング少年団の歌」の歌詞紹介や「全国サイクリングラリー」開催等の案内をしています。クラブ関係では「RCTC(立教大学サイクリスツツーリングクラブ)」「TCA(東京サイクリング協会)」の情報や「JCA(日本サイクリング協会)」で考えられている公認講師や公認リーダーに関することが掲載されています。

「JCA・日本サイクリング協会の事務局メモから」

JCAの事務局員からの協会情報のコーナーです。今回は、この時期にJCAとしての行事はほとんどないという事で、この年の主な行事予定を紹介しています。まずは、7回目を迎える「全国ラリー」で、開催地は愛知県の予定です。次に文部省とレクリエーション協会が主催する「リクリエーション大会」で、こちらは18回目の開催になり、この年は福井県で行われる予定です。最後は厚生省が主催する「国立公園大会」です。毎年どこかの国立公園を選んでサイクリング班を含めた様々な野外活動が行われ、この年が5回目の開催となります。


「パニアバッグ」

このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号は、紙面づくりに対する要望や各種の質問等が寄せられています。


1963年2月号の裏表紙広告は、ナショナル自転車「スコーチ」でした。

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