スコット親子、日本を駆ける

 本日の1冊

前回に引き続き、今回も自転車による旅行記を取り上げます。

アメリカ人の親子が、北海道の宗谷岬から鹿児島県の佐多岬まで約4,000kmを67日間かけて縦断した記録です。著者の妻が日本人ということから、親子サイクリングの場所として日本を選んだようです。

子供が8歳ということから、2台の自転車で走るのではなくトレーラーサイクルという特殊な自転車を使用しています。この自転車、前の自転車は通常の1人乗り自転車ですが、後ろにトレーラーサイクルを連結して2人乗りの自転車としているものです。この自転車はタンデムと違い、それぞれが自分のペースでペダリングしたり足を止めることができるそうです。

旅の記録は37の章に分けて語られています。1章から5章までは日本縦断を決意してからその準備について、6章からは道中の記録と続いています。親子は宗谷岬をスタートし、北海道の東部・南部を走破して函館まで走ります。北海道内での移動は、毎日の出来事や宿泊場所、観光について6章から20章まで使って詳しく書かれています。

青森に渡って以降の本州、四国、九州と続く旅の話は37章までの17の章で語られています。北海道での出来事が日々語られており、楽しく読み進んでいたことと比較すると、ちょっと道中を端折った感じの印象を受け、物足りなく感じるかもしれません。

タンデム自転車による夫婦旅行に比べると、親子での自転車旅行は例も多くなると思いますが、8歳と子供と海外ツーリングとなるとまた話は別です。父親にしても会社を辞めることなく、無給休暇を取得してとのことです。現在の日本では、なかなか実現が難しいでことでしょう。

著者は日本語もできるようで、道中で出会ったサイクリストや地元の人々との交流も数多く出てきます。同書はサイクリング旅行記として楽しめるのはもちろん、アメリカ人の視点で見た日本や日本人がどのように映ったかを知るという点でも興味を持って読めるのではないかと思います。

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