DUJEE号

 本日の1冊

今回取り上げるのは自転車のカタログ「DUJEE号」です。

DUJEE号は、三菱重工業が戦前の航空機製造技術を活用して製作したジュラルミン製フレームの自転車「十字号」のことです。

カタログは、大きな表裏1枚物を6つ折りにした体裁になっています。このカタログに掲載されている三菱の住所は、本店以外に「津工場」があります。ということは、十字号は津工場で製作されていたということでしょう。

表紙面には、緒言として十字号開発の動機が述べられています。また特徴として、車体形状は特異であるが車輪径(26インチ)や車体の角度寸法(ヘッドアングルとトレール寸法)は従来の規格車と変わりが無い。つまり今までの自転車と乗った感じは変わらないということを言っているのだと思います。それに対して重量は、従来車に比較して25%軽量化していると謳っています。

裏面には、写真・イラストとともに(ヘッドベアリング、サドル、ブレーキの)調整法とフレーム等の構造が説明されています。これを読むとフレームとフロントフォークの構造やハンドルの特徴がよくわかります。

戦後まもなく登場した三菱十字号、70年近く前の自転車ですから今ではとても貴重になっていると思います。反面、貴重となっている分博物館などで自転車本体を見る機会はあるようです。しかし、カタログといった資料はなかなか目にすることができないと思います。もし、十字号のレストアを考えている方や興味をお持ちになっている方には、良い資料になると思います。

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