ニューサイクリング 1970年12月号(No.74)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1970年12月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1970年12月号は、通巻74号です。
この号の表紙は「ドイツ製のイザベラ(1925年製)」です。
通巻74号の目次をページ順に追うと、
口絵 戦前の自転車とチェンジギヤ
17 1 チェンジギヤの効用
1-1 自転車の走行抵抗
1-2 人間の出馬力
1-3 走行性能曲線
1-4 ペダリングスピード
1-5 チェンジギヤ使用の効果
1-6 チェンジギヤの普及度
30 2 チェンジギヤの歴史
2-1 1868年~1900年揺籃期
2-2 1901年~1930年第2期
2-3 1931年~1940年第3期
2-4 1945年~1950年第4期
2-5 1951年~1955年第5期
45 3 チェンジギヤの特殊性
47 4 チェンジギヤの型式と種類
4-1 前部設置型
4-2 後部設置型
4-3 中間設置型
4-4 シャフトドライブ型
51 5 その他の分類
5-1 構造上(機構上)の分類
5-2 機能上の分類
5-3 用途上の分類
5-4 操作上の分類
5-5 ギヤ比からの分類
64 6 チェンジギヤに要求される機能
6-1 共通な機能
6-2 用途別に要求される機能
89 7 ディレイラー設計の要点
7-1 改善を必要とする事項
7-2 チエンジの不円滑の問題
7-3 チエンのからすべりとはずれ
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
この号は1冊丸ごと特集となっています。体裁も通常号と違い、横書き左綴じとなっています。この号に掲載されている記事は、筆者である鳥山新一氏が「自転車生産技術」に昭和30年から「自転車部品の展望」と題して連載したチェンジギヤに関する解説を収録したものです。
「戦前の自転車とチェンジギヤ」
ここでは、昭和10年代の自転車やサイクリングの様子を写した写真が掲載されています。また他にも、戦前の筆者のハブギヤのコレクションや海外のカタログや書籍の一部ページも紹介されています。
「1 チェンジ・ギヤの効用」
ここではチェンジギヤの総論として5つの効用を挙げ、それぞれの効用を解説しています。
「1.1 自転車の走行抵抗」
ここでは自転車にかかる抵抗として転動抵抗(走行抵抗)と空気抵抗、加えて勾配抵抗を挙げ、それぞれについての抵抗力を数式を用いて解説しています。
「1.2 人間の出馬力」
ここでは人間が自転車に乗った時に維持できる出馬力について、ペダルを踏む力、最高出馬力、平均出馬力についてグラフなどを用いて解説しています。
「1.3 走行性能曲線」
ここでは前述の走行抵抗と出馬力の関係をひとつの図表にまとめた走行性能曲線を示して、その読み解き方を解説しています。
「1.4 ペダリング・スピードの問題」
ここでは長時間自転車のペダルを踏んでも疲れ方の一番少ない「至適速度」について、海外の研究報告事例を挙げて解説しています。
「1.5 チェンジ・ギヤ使用の効果」
ここではチェンジギヤを実際に使用した場合の効果について、労働科学研究所労働生理学研究室が行った実験内容とその結果を紹介しています。
「1.6 チェンジ・ギヤの普及度」
ここでは1952年に筆者がヨーロッパ各国の都市街頭で行った、チェンジ・ギヤの有無とその型式についての調査結果を紹介しています。
「2 チェンジ・ギヤの歴史」
ここでは1800年代に始まったチェンジ・ギヤの歴史を「2.1 1868~1900年揺籃期」「2.2 1901~1930年第2期」「2.3 1931~1940年第3期」「2.4 1945~1950年第4期」「2.5 1951年~現在 第5期」と分け、各時代のチェンジ・ギヤをイラストとともに紹介しています。
「3 自転車用チェンジギヤの特殊性」
ここでは自転車に求められる要求性能、一般の機械とは全く異なる扱われ方や手入れ頻度に関する特殊性について述べています。
「4 チェンジギヤの型式と種類」
ここではチェンジギヤの分類を、型式の点から見た分類を一覧表にまとめて掲載しています。
「4.1 前部設置型」
ここでは前掲の一覧表の大分類となる、主としてボトムブラケットやチェンホイール付近に取り付けられるチェンジギヤについて解説しています。
「4.2 後部設置型」
ここでは前掲の一覧表の大分類となる、後輪ハブ付近あるいはボトムブラケットとハブの中間部に取り付けられるチェンジギヤについてイラストを用いて解説しています。
「4.3 中間設置型」
ここでは前掲の一覧表の大分類となる、クランク部の回転をいったん短いチェンまたはギヤでボトムブラケット部から離れたところへ取り出し、そこにチェンジ装置を置いて、そこから再び後輪へチェンで伝動する型式を紹介しています。
「4.4 シャフトドライブ型」
ここでは前掲の一覧表の大分類となる特殊型として、シャフトドライブ型を紹介しています。
「5 その他の分類」
ここでは前掲の一覧表とは異なる分類として「5.1 構造上(機構上)の分類」で遊星ギヤ機構およびディレイラー機構について、「5.2 機能上の分類」でフリーと固定および補助テンションについて、「5.3 用途上の分類」でレース用、レクリエーション用、日常用について、「5.4 操作上からの分類」でケーブル作動、ロッド作動、ペダル逆転について、「5.5 ギヤ比から見た分け方」で変速段数について述べています。
「6 チェンジギヤに要求される機能」
ここでは総論として自転車の主用途と要求されるチェンジギアの機能について述べています。
「6.1 共通な機能」
ここでは用途や要求される機能が違うといっても、チェンジギヤとして当然どれも満足しなければならない機能として「用途に合ったギヤ比の範囲と、ギヤ比の変化の差を持っていること」「円滑でしかも確実に作動すること」「チェンジが早く行われ、途中で遊びのないこと」「耐久性と信頼性があること」「保守が容易なこと」「音が低いこと」「重量の軽いこと」「どの車にも取り付けられ、取付調整が容易なこと」を挙げ、それぞれに要求される内容を解説しています。
「6.2 用途別に要求される機能」
ここでは用途別に「日常用として必要な機能」「サイクリング用として必要な機能」「ロードレース用として必要な機能」に分けてその要件を解説しています。
「7 ディレイラー設計の要点」
ここでは総論として、当初の方針である外国製品を主とする一般事項の解説からあえてはずれ、日本製のディレイラーについて論ずる旨を述べています。
「7.1 改善を必要とする事項」
ここでは当時の日本製ディレイラーとして、性能上もっとも改善を必要とされる点として「チェンジの不円滑」「チェンジのからすべり」「レバーの不円滑」「雨天の作動困難」「使用中の時間経過に伴う故障発生」を挙げています。
「7.2 チェンジの不円滑」
ここでは7.1で挙げた当時の日本製ディレイラーとして、性能上もっとも改善を必要とされる点のひとつ「チェンジの不円滑」の主要因として「マルティフリーのスプロケットの歯型の不適正」「スプロケットの大きさとメカニズムの相対位置の不適正」「チェーンのディレイラーの用に不向きなもの」「テンションスプリングの張りの不適正」を挙げ、それぞれの問題を検討しています。
「7.3 チェーンのからすべり、はずれ」
ここでは7.1で挙げた当時の日本製ディレイラーとして、性能上もっとも改善を必要とされる点のひとつ「チェンジのからすべり」に加えてチェーンのとびとはずれについてその原因や対策を述べています。
1970年12月号の裏表紙広告は、東京サイクリングセンター「ゴールデンゼファー」でした。
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