ニューサイクリング 1980年8月号(No.190)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1980年8月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1980年8月号は、通巻190号です。
この号のカラー口絵は「暑中お見舞い申し上げます」「藍色の空」です。
通巻190号の目次をページ順に追うと、
14 ■談論風発■ 対談 渡部裕雄さん メーカーとユーザーの橋渡しを考えて
26 四万十
34 洛北
43 信州 塩田平
52 ■アトリエ訪問特別編■アレックス・サンジェ物語(3) アレックス・サンジェが生み出したもの
58 自転車の形を考える
77 【グラビア】 吉野への道を辿る
80 【グラビア】 鋸山林道
86 連載中 チ氏の欧州駐在録
88 斜視 再び山岳サイクリング論争について
90 連載中 堀田君の旅から旅(寒風山)
92 ランチタイムクッキング じゃが芋のコンビーフ煮
94 顔振峠
100 スポーツ車の系譜(3) スポーツ車萌芽と試作
104 僕のルネ・エルス物語(4) ルネ・エルスクレーム特集
108 雲取山自転車拒否の問題点
117 New Cycling SALON 〈TOURING REPORT〉平湯峠から安房峠へ
120 New Cycling SALON 〈ESSAY〉スケッチブックの中の花そして自転車
124 New Cycling SALON 〈LETTER TO EDITOR〉
127 New Cycling SALON 〈会報すくらっぷ〉
128 New Cycling SALON 〈製品 MEMO〉
132 New Cycling SALON 〈REAR LAMP〉
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
「談論風発」
このコーナーは、自転車に係る様々な分野の方と今井彬彦編集長が対談する企画の連載です。今回は「テクニカル大作戦からライディング大作戦へ メーカーとユーザーの橋渡しを考えて」と題した、ブリヂストンサイクルの渡部裕雄氏との対談です。対談では、最初に渡辺氏が雑誌「旅とサイクリスト」に掲載した「テクニカル大作戦」について触れています。そしてメーカーに就職した経緯やサイクリストとしての走る話などに話題は移り、登りの3パターンやカマキリ走法などについて話しています。自転車に関しては用品開発のことやファッションについて、自転車の数量的評価やマスプロ車の進歩などについて話しています。
「四万十」
この文は綿貫益弘氏の執筆による、前年の8月に訪れた四万十川の源流から河口まで自転車で走った二日間のことを綴った紀行文です。
「洛北」
この文は新田眞志氏の執筆による「かくれ里を訪ねて」と副題を付けた、夏に京都市内から江文峠を越えて瓜生の里へ、さらに瓜生峠や栗尾峠等を越えて嵯峨野まで巡った4人でのサイクリングを綴った紀行文です。
「紀行 信州 塩田平」
この文は萩原慎一氏の執筆による、長野県の戸倉駅から出発して四十八峠、修那羅峠を越えてますや旅館に泊まり、翌日以降は塩田平の古刹を巡って上田までのサイクリングを行った様子を綴った紀行文です。
「アトリエ訪問特別編 アレックス・サンジェ物語(3)」
この記事は、パリに駐在していた今井千束氏が前年に連載していた「写真で巡る フランスの手作り工房」の特別編です。今回は「アレックス・サンジェが生み出したもの」と題し、アトリエに残されていたコンクールデュラルマン出場車のフレームや、重量級キャンピング車を写真入りで紹介しています。他にはサンジェのオリジナル部品、当時製作されていたものとともに、かつて作られていたフロントチェンジや特製のハブシャフトを紹介しています。そして記事の最後には「私のアレックス・サンジェ」と題した今井彬彦編集長がフランスに直接行ってオーダーしたアレックス・サンジェのことを書いた文が掲載されています。
「自転車の形を考える」
この記事はシクロウネの今野義氏による、今までのレース経験と競技等の規則を踏まえたうえで、自転車のとるべき形についての私見を述べています。その意見は従来の固定観念にとらわれることなく、意識的にフレームや自転車の形を強引に変えてみるという試みも大事ではないかといっています。そこで筆者は、形を変えることの意味、そしてそのメリットとデメリットを挙げたうえで、筆者がこれまでに試みてきた自転車を11台紹介しながらその製作意図を解説しています。
「吉野への道を辿る」
この記事は、吉野古道を目指して走った際に道中で撮影した写真を掲載したグラビアページです。
「鋸山林道」
この記事は、11人で行って延べ17か所のパンクを経験したサイクリングの道中で撮影した写真を掲載したグラビアページです。
「(チ)氏の欧州駐在録」
この記事は、当時パリに駐在していた今井千束氏による現地レポートの連載です。今回は「フランスでもてている日本部品」と題し、当時フランスで大変な人気があったという「サンヨー・ダイナパワー」についてのエピソードを綴っています。
「近ごろの話題から」
この記事は「N.C.JOURNAL 斜視」と題する、匿名の連載記事です。今回は6月号の続きとなる「再び山岳サイクリング論争について」と、「サイクリングはファッションか」のふたつの話題をあげています。「再び山岳サイクリング論争について」では、山岳サイクリングの是非について他の人に迷惑をかけないというモラルやマナーという視点から意見を述べています。「サイクリングはファッションか」では、当時サイクリングにはファッション性が無いという意見に対し、サイクリストがファッション性よりも自転車の持っているメカニカルな美しさや機能性を求めているからではないかと考察を述べています。
「堀田君のガイド風紀行 旅から旅 ●寒風山・瓶ヶ森 逃げ水が見え隠れ」
この記事は、サイクリング紀行の連載です。今回は、愛媛県西条市の海岸線から国道で寒風山の隧道を目指して1500m以上も登って走った話です。
「ランチタイムクッキング」
この記事はサイクリングに出た際のランチタイムのクッキングをコンセプトに、色々な料理とその材料および料理法を紹介していくコーナーです。今回のランチは、じゃがいものコンビーフ煮、トマト味スープ、ベーコンサラダの三品です。
「顔振峠」
この文は、輪行してきた八高線の明覚駅から走り始めた奥武蔵グリーンラインへのサイクリングの様子と、行く先々の地名の由来等について綴った紀行文です。
「スポーツ車の系譜 その3 ツアー車という車種の登場、その先駆としてのJCA推薦制度」
この記事は、「日本のスポーツ車その足跡を探る」とした企画で、今井編集長執筆による連載です。今回は1955年に任意団体だった時代の日本サイクリング協会(JCA)が発表した、サイクリング用車および部品のJCA推薦制度について述べています。ここではまず、当時のJCAの方針や推薦制度の基準の考え方に触れています。次に制度発表に対する自転車業界関係からの反発とその趣旨について紹介しています。また制度の推薦条件として他のスポーツでは一般的であったロイヤリティの徴収が時代的に少し早すぎたのではないかということと、一方では知識や考え方の普及には役立ったという筆者の考えを述べています。最後はこの制度の推薦要領の概略とフレームの仕様詳細を紹介しています。
「●僕のルネ・エルス物語 第四話」
この記事は井上重則氏による、筆者がルネ・エルスを手に入れてから6年使ってみた私見を述べた連載です。今回は前回に続き「ルネ・エルス・クレーム特集」と題し、前回述べたこと以外に気づいたことを述べています。その内容はマキシカーのハブにガタが出てきたことと、ハンガー小物の工作や制度についての感想。他には全体的な印象について、目下エルスのタンデムに非常に興味があること、ハンガーラグの作り方等に触れています。
「警鐘 雲取山の自転車拒否の問題点」
この記事は、筆者が遭遇した自転車拒否についての詳細と今後の問題について意見した文章です。ここでは最初に筆者が山へ入った時に小屋番から聞いた意見と、筆者が帰宅後に関係官庁に確認した内容を紹介。それらを踏まえて筆者の考える、車道以外の山に入る際の注意点を列記しています。
「New Cycling SALON 読者応募 ツーリングレポート」
このコーナーは読者から寄せられたツーリングレポートを掲載しています。今回は「平湯峠から安房峠へ」と題して、5月の初め頃に高山駅から松本駅まで、雪に閉ざされた峠を越えて走った3日間のことをレポートしています。
「New Cycling SALON 読者応募えっせい」
このコーナーは読者から寄せられたエッセイを紹介しています。今回は「スケッチブックの中の風景と花そして自転車」と題し筆者が1冊のスケッチブックのページをめくると過去のツーリングのことが思い出されることを筆者の描いたスケッチも載せながら綴っています。
「New Cycling SALON LETTER TO EDITOR(お便りから)」
このコーナーは、読者から編集部あてに寄せられた便り等を紹介しています。今回は山岳サイクリングの是非に対する意見、長期間の使用によってリムのブレーキ面に穴が空いた話、盗難情報が寄せられています。
「New Cycling SALON 会報すくらっぷ」
このコーナーでは、各地のサイクリングクラブの情報を紹介しています。今回は、両国サイクリングクラブ、日本サイクリスツツーリングクラブ京都、名古屋サイクルフレンズ、港サイクリングクラブ、奥多摩サイクリングクラブ、北大阪サイクリングクラブ、西宮市役所サイクリングクラブ、シクロツーリスム昴の各クラブから会報情報が寄せられています。
「New Cycling SALON 製品MEMO」
このコーナーでは、自転車部品や用品などを紹介しています。今回は、フィアメのリムやデュージィのシューズ、他を取り上げています。
1980年8月号の裏表紙広告は、ブリヂストンサイクル「アトランティスツーリング」でした。


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