自動車のサスペンション
本日の1冊
今回は、クルマに関する専門書を取り上げます。「自動車のサスペンション」は山海堂から1991年に初版が発行された書籍です。同書は12名による共著ですが、執筆者は全てカヤバ工業の方々です。
カヤバといえば、メーカー純正や社外品のショックアブソーバーメーカーとしてご存じの方も多いと思います。同書はサスペンションのスペシャリスト達によって書かれています。
内容は、サスペンションの概要からその構造と特徴、性能と基礎理論、構成要素、設定まで、図版もふんだんに使用して述べられています。図版はイラストもありますが、グラフも多く、基礎理論では数式が頻繁に登場します。一般的なクルマ愛好家向けというよりは、自動車工学系の専門家に向けた内容といってよいでしょう。
モータースポーツのサスペンションについて述べられている章は他に比べると専門知識が無くても理解しやすい内容となっているでしょうか。性能評価の章では専門的ではありますが、その専門家が「最も効果的な評価はフィーリングによるテストと考えられる」と言及しているのは興味深いです。
最後にサスペンションの新技術と将来として、電子制御サスペンションについて述べられています。電子制御のサスペンションは、1980年代にF1でアクティブサスの登場がいち早いと思っていましたが、同書によると1983年にトヨタ・ソアラが本格的な制御システムが搭載されたとあります。制御レベルは違うのでしょうが、F1と市販車の電制サスが同じような時期に登場していたというのは意外でした。
「自動車のサスペンション」は専門家や専門家を目指す方に向けた書籍だと思いますが、クルマのサスペンションをより専門的に理解してみたいという愛好家の方にとってもよいと思います。
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