発明の歴史 自転車
本日の一冊
今回は「発明の歴史 自転車」を取り上げます。
「発明の歴史 自転車」は、社団法人発明協会から1980年に発行されました。
自転車が発明された時から現在(当時)までの自転車の歴史を追っています。同書は6章建てで、第1章は「さまよう自転車の起源」と題して、世界で初めて発明された自転車の起源を取り上げています。ここでは、定説となっている説の他、レオナルド・ダ・ビンチの遺稿から発見された自転車のスケッチや他の説も紹介されています。
第2章「自転車発明のプロセスを追う」と題して自転車発明以降、足で蹴る方法から足が地面を離れ現代的な形の自転車が登場するまでを技術的発達や発明にも触れながら、その歴史を紹介しています。
第3章では「日本の自転車発達史」として、日本へ自転車がやって来た時期から大正期までの歴史となっています。同書では、慶応年間に自転車の第一号が日本に上陸したとされる説を紹介しています。これに関連した話では、ごく最近に慶応年間に撮影された写真に自転車の写真が発見されたようです。過去の伝聞から一つの説となっているものが、数十年の時を経て写真という証拠によって裏付けられたというのが歴史の面白いところですね。
第4章「自転車のテクノロジー」は、自転車の発明から発達の過程で生まれた技術面での足跡を紹介しています。
第5章「昭和戦前・戦後の自転車」は日本国内の話に絞って、昭和初期から太平洋戦争直後までの日本自転車産業の変遷を追っています。ここでは技術面の他、当時の自転車の価格や部品類の価格が、またごく一部ではありますが部品の公定価格とヤミ値も紹介されているのは興味深いところです。
第6章「自転車はインターナショナル商品」では、第2次大戦後の統制解除以降の日本の自転車産業発達史を取り上げています。外国製品の研究から始まった戦後から、後に駅前の放置自転車が社会問題化するほどに爆発的にミニサイクルの普及が進んだ昭和40年代までを技術開発も含めて紹介しています。
最近では、歴史フォーラムが立ち上がるなど、自転車の歴史に焦点があてられるようになってきました。
「発明の歴史自転車」は、自転車の歴史を知るうえで技術面や日本の状況を含めた広い範囲の情報が得られる一冊だといえるでしょう。
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