地図は言葉を超える

本日の1冊
今回は「地図は言葉を超える 自転車で走ったヨーロッパ75日」を取り上げます。


同書は、コンフォートロードタイプの自転車でヨーロッパを走った筆者によるサイクリング紀行です。オランダを出発し、ベルギー、ドイツ、オーストリー、スイス、フランスを走ってスペインまでの自転車旅。世界一周でよく聞くキャンプ旅と違い、全て宿泊施設に泊まっての旅。冒険旅行というよりは、1日の走行距離も100km未満のことが多く、交通手段に自転車を使った長期の観光旅行といった趣です。一泊サイクリングの延長のような旅なので、読者にとってより身近な感覚で読み進めることができるのではないでしょうか。

オランダのアムステルダムから始まった旅は、毎日が日記形式で移動・宿泊・観光の様子が描かれており、各街の様子をひとつひとつ見て取ることができます。各国の様子にそれぞれの特徴はあるものの、オランダからスイスまではサイクリングロードがどこの国もよく整備されており、日本とは相当の隔たりがあるようです。また街中での他の交通、特にクルマとの共存関係については日本にいては到底理解できないほど良い関係になっているようです。

いっぽうフランスはサイクリングロードが少ないようで、一般道を走ることが多くなっています。また、途中からはスペイン・サンティアゴへの巡礼街道を行くルートとなっています。筆者は途中で気付いたとのことですが、巡礼者パスポートを得た巡礼者に対しては、宿泊場所の提供など、手厚いバックアップ体制が整えられているようです。これを読んで、四国88か所巡礼など、日本の巡礼街道はどのような支援体制があるのだろうと考えてしまいました。

スペインでは巡礼者も増え、ルートもクルマ用徒歩用と複数のルートが用意されているとのこと。ただし、徒歩用のルートは未舗装路で自転車での巡礼者はMTBばかり。筆者のようなロードタイプは皆無とのこと。ただし、スペインの主要な道路には自転車レーンが整備されているそうで、一般道は不安なく走れるようです。これからスペインへ自転車で巡礼しようとされている方には有用な情報です。

筆者は60歳近くになってヨーロッパ各国をサイクリングし、宿泊は全て宿に泊まっています。75日という長期間は別にして、本書のコースから一部を切り取って1週間程度の休暇でも走れるコース設定をすることは可能です。

「地図は言葉を超える 自転車で走ったヨーロッパ75日」は、一般のサイクリストでも老若男女を問わず、ヨーロッパのサイクリングをしてみたいという方には読み物としてもツーリング計画の参考書としても楽しめる一冊ではないかと思います。

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