ニューサイクリング 1986年3月号(No.260)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1986年3月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1986年3月号は、通巻260号です。

カラーの口絵は、「魔物について」「軽く、冬旅」です。

260号の目次をページ順に追うと、

 18 吉野葛の村を訪ねて

 28 阿武隈へそして穂高

 36 軽く、冬旅 雪の南信州を楽しむ(1)

 46 栂峠敗退

 54 私をとらえる魔物について

 66 プロトン内部! うなりを上げて通過する選手集団 彼ら五感のモノローグ

 76 ニューパスハンティング 黒俣林道・大代林道・暗沢林道

 86 青空のロスアンゼルスと霧のサンフランシスコ

 94 オフシーズンを積極的に遊ぶ スノーマンクリテリウム

100 モノディスプレイ

106 気になる風景 書かれたもの

108 私のミニガイド 湖南アルプスを摘み食い1

110 王滝村はどうなっているのか

112 NCサロン

となっています。

主な記事を以下にご紹介します。

「吉野葛の村を訪ねて」は、榛原駅から窪垣内村を経由して大和八木駅まで走ったサイクリング紀行です。帰省先の伊勢から輪行して榛原駅で下車。ここからサイクリングをスタートさせ、佐倉峠を越えて窪垣内村を目指します。目的の地である窪垣内村についたものの、期待した景色はまるで普通の山里。期待を裏切られた思いでペダルを踏むが、途中ではっとして後ろを振り返る。そこには、まさに第一級の日本の風景、谷崎潤一郎の吉野葛の舞台になった風景そのものだと確信する。そして筆者は「逆方向から」村に来たと気づきます。

「阿武隈へそして穂高」は、10年以上暮れから正月を家で過ごさなくなった筆者による、冬の紀行文です。12月29日に輪行で移動してきた新白河駅からサイクリングをスタートさせ、初日は湯ノ田温泉、二日目は小町温泉に宿泊しながら阿武隈の地を走ります。そして三日目は海に向かい、白米鉱泉に宿をとります。しかし、筆者はその宿に2時間もいませんでした。宿のテレビで見たニュースで、前穂高での遭難のニュースを知ります。犠牲者は山で正月を一緒に迎えた仲間たちだった。筆者はすぐに宿を発って上高地へ向かいます。

「軽く、冬旅 雪の南信州を楽しむ(1)」は、1週間を超える予定で積雪期のカーサイクリングに出た編集部員の紀行です。年内の仕事を終えた筆者は、中央道経由で南信州を目指します。初日は予定していた権瓶峠から姥神峠へ変更し、クルマをデポして峠まで往復。クルマに戻った後は、奈良井宿へ寄って木曽福島に取った宿に向かいます。2日目は悪天候のため当初予定を変更してクルマで開田高原に入り、スノーサイクリングを堪能した後はクルマに戻って灰沢鉱泉に取った宿を目指します。翌日の大晦日はクルマで妻籠まで行き、宿にクルマを置いて馬籠峠へ車道で上り、峠集落を巡って旧道を下り宿へ戻ります。投宿後は除夜の鐘をつきに行ったりして年を越し、話も次号へ持ち越しています。

「栂峠敗退」は、友人が金沢の大学に進学するというので、急遽計画して浜平へ行った送別サイクリング紀行です。小雪降りしきる小海駅に着いた一行はサイクリングをスタートさせます。北相木から栂峠を目指しますが雪は降りやまず、押し担ぎが続きます。峠を越えて十山林道に入りますが、全く自転車に乗れず精神的にかなり参ってしまいます。そこで、地図読みの計算を誤り、さらに連れの二人とも離れてしまいます。何とか国道へ出たものの、後ろの二人の位置は確認できないまま。しかし、ようやく合流することができたのもつかの間、宿をとった浜平へは到底つける状態ではなく、最寄りの古谷を目指します。街に入り、玉田屋の看板と明かりが見えたところで一行は自転車を止め、そして誰かが大きなため息をつきます。

「私をとらえる魔物について」は、1985年から始まった連載です。「愛好家にとって自転車は魔物のようなものだろう」この一文で始まるこの企画は、オーナーにとって、そして読者にとっても魔物といえる自転車を紹介しています。今回は、ミュージシャンのオーナーが所有する3RENSHOののロードレーサーが登場しています。NC誌メカニカルアドバイザー新田眞志氏による解説は「部品の互換性に関するささやかな考察」です。

「プロトン内部! うなりを上げて通過する選手集団 彼ら五感のモノローグ(7)」は、前年から始まった連載です。内容は、この時期にレーサーとして活躍していた選手たちへのインタビューで構成されています。今回は、サンツアーレーシングに所属する鳥屋尾恵始選手に話を聞いています。

「ニューパスハンティング」は、林道や峠を主体に地図や写真を多数掲載して案内しているコースガイド企画の連載です。今回は「大井川中流、海の見える林道」と題し、八高山周辺の林道群、黒俣林道・大代林道・暗沢林道を紹介しています。コースは掛川駅をスタートし、黒俣林道・大代林道・暗沢林道を走って金谷駅に至る47kmです。

「青空のロスアンゼルスと霧のサンフランシスコ」は、杉野安氏によるアメリカ自転車界見聞録です。まずはスギノも出展している、ロングビーチ・ショーの雑感。ショーの後は小売店を数店舗訪れています。その中の1店には前日までショーに展示されていた3RENSHOがあったことに驚き、アメリカのディーラマインドのすばらしさを感じたということです。ロサンゼルスを離れてからはサンフランシスコに移動し、ゲーリー・フィッシャー氏が社長を務めるマウンテンバイク社を訪問しています。

「オフシーズンを積極的に遊ぶ スノーマンクリテリウム」は、原村で催された実験的なイベントのレポートです。雪のある400m周回道路を舞台にタイムトライアル、ミス&アウトを実施。その後ポイントレースの予定であったが、参加者は皆疲労困憊とのことで中止。冬期、特に積雪地域は活動が鈍りがちだが、このようなイベントは雪を楽しむ催しとしては興味深いものだと締めくくっています。

「モノディスプレイ」は、前月号まで「製品MEMO」と称していた、新製品情報のコーナーです。今月号は、コンタックのビンディングペダル、アボセットのサドル・グローブ・シューズ・ジャージ、タンゲのヘッドパーツ「ソノラZ」等を紹介しています。

「気になる風景」は、サイクリングで訪れた場所の地名の由来や、その地域の風習などを綴る随想です。今回は「書かれたもの」と題して、モンジとマジについて語っています。

「私のミニガイド(17)」は、読者投稿によるサイクリングルート紹介企画の連載です。今回は「湖南アルプスを摘み食い2」と題し、大津在住の筆者が琵琶湖南部周辺にあるサイクリングコースを紹介しています。そのルートは、宇治川ラインから上朝宮あたりで林道へ入り、田代方面へと向かっています。

「王滝村はどうなっているのか」は、長野県西部地震発生から1年以上経過した王滝村を訪れた筆者が、現状を伝えています。訪問時点では、被災ヵ所のほとんどが復旧中であり、その完了は見当がつかない状態だということでした。

「NCサロン」は、自転車に関する各種の情報や読者投稿などを掲載するコーナーです。今回は、イベント情報1件、林道情報「佐渡の境川林道」が掲載されています。

1986年3月号の裏表紙広告は、ブリヂストンサイクル「ユーラシア」でした。

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