ニューサイクリング 1986年4月号(No.261)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1986年4月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1986年4月号は、通巻261号です。
カラーの口絵は、「英国のタンデムレース」「魔物について」「軽く、冬旅 霜月祭」です。
261号の目次をページ順に追うと、
20 私の遠山郷「伊那がらみ」の道程
32 軽く、冬旅 雪の南信州を楽しむ(2)
42 私をとらえる魔物について
54 プロトン内部! うなりを上げて通過する選手集団 彼ら五感のモノローグ
64 座談会 我ら新らしもの族
78 使ってみたら アボセットサイクロメーター20
82 軽合フォーク アルテック
84 モノディスプレイ
92 英国のタンデムレース
94 ニューパスハンティング 表丹沢林道・菩提峠
104 続・幻の評注に思いを馳せて
114 気になる風景 三日月
116 NCサロン
120 サイクリングソフトの開発(上) その1つとしてサイクルマラソンを考える
となっています。
主な記事を以下にご紹介します。
「私の遠山郷「伊那がらみ」の道程」は、前年の暮れ近くに長野県の南端近くにある山深い谷合の地域を訪れた、サイクリング紀行です。そして、過去の秋山郷への旅はつねに伊那谷とともにあったとも言っています。その伊那がらみといえる旅は、今回の旅を含めて8回を数えるということです。この紀行は、その8回目の旅について綴っています。旅の初日は飯田から小川路峠を越えて上村に入り宿をとります。翌日は、特にあてもなく秋山郷とその周辺をあちこち走り回ります。まずは、霜月祭りの湯立て神事のあとを見て、しらびそ峠との分岐あたりまで登って街に戻ります。次は下栗を目指し、集落についたところで老人と出会います。老人と小一時間ほど話をして和田に取った宿に入り前夜連絡を取り合った友人を待ちます。そして翌日は、友人と共に山住峠を越えて秋葉方面へという場面で話を締めくくっています。
「軽く、冬旅 雪の南信州を楽しむ(2)」は、1週間を超える予定で積雪期のカーサイクリングに出た編集部員の紀行です。前回からの続き。妻籠宿で新年を迎えた筆者、元日は大晦日からの連泊にして予川峠を周回する予定にしていたが、峠は雪が深くてあえなく敗退して引き返してきます。翌日はクルマに自転車を積んで飯田まで移動。宿にクルマを置いて赤石林道を上がり頂上の赤石トンネルまでを往復します。次の日はクルマで赤石トンネルを越えて前日とは反対側からトンネルまでを登ろうと計画していましたが、折からの大雪で断念。この日の宿にクルマを置いてポタリング。そしてこの日の最大の目的である霜月祭りに参加。最終日は遅く起きだして、最後の一走りをした後に東京へ向かいました。
「私をとらえる魔物について」は、1985年から始まった連載です。「愛好家にとって自転車は魔物のようなものだろう」この一文で始まるこの企画は、オーナーにとって、そして読者にとっても魔物といえる自転車を紹介しています。今回は、電子技術者のオーナーが所有するペガサスの林道用軽量車が登場しています。NC誌メカニカルアドバイザー新田眞志氏による解説は「林道用輪行モデルに関する考察」です。
「プロトン内部! うなりを上げて、通過する選手集団 彼ら五感のモノローグ(8)」は、前年から始まった連載です。内容は、この時期にレーサーとして活躍していた選手たちへのインタビューで構成されています。今回は、学法石川・日大で活躍し、当時は山梨県公園運動場管理事務所に勤めていた佐藤稔選手に話を聞いています。
「座談会 我ら新しもの族」は、この当時色々と登場したきた新製品にスポットを当て、3人の出席者による品評会的座談会です。取り上げられている製品は、ルックのビンディングペダル、アボセットのサイクルコンピュータ、カンパのエアロボトル、ミシュランのレース用WOタイヤ、モドーロのブレーキ、マビックのディレイラー、ラチェット式のWレバー、最後はアランのカーボンフレームです。
※目次では題名が「座談会 我ら新らしもの族」となっていますが、本文では「座談会 我ら新しもの族」となっています。
「使ってみたら アボセットサイクロメーター20」は、当時機械式が主流だったサイクルメーターの中にあって、いわゆるサイクルコンピューターとして登場した同製品のレビューです。前半はこのメーターが持つ4つの機能、速度表示、走行距離、積算距離、タイマーのそれぞれを概説。後半は、本体寸法53t×47×17mmの「アボセットサイクロメーター20」を実際に使用したテストレポート。最後にこの製品をグレッグ・レモンがレースやトレーニングでどのように活用しているかのインタビュー記事を紹介しています。
「軽合フォーク アルテック」は、ニッコー産業が開発したアルミ素材のフロントフォークを紹介しています。このフォークの特徴はワンピースアルミフォークと呼ばれるように一体構造となっていること。更にフォークブレード内部はダブルバデット。ただし、フォークコラムはアルミではなく、クロモリになっているということです。
「モノディスプレイ」は、「製品MEMO」から名称が変わった新製品情報のコーナーです。今月号は、アラヤの「プロスタッフ」、パナレーサーの新シリーズ5種、IRCの新タイヤ3種、三ツ星の「トリムラインSS」、ソーヨーの「ビクトリーセタ」「オリンピアロードセタ」、パトリックのシューズ「ベルナール・イノー」等を紹介しています。
「英国のタンデムレース」は、ひと時のレース観戦記です。筆者自身が出場するレースのためにサーキットへ向かう途中、数台のタンデムを見かけます。最初はサイクルツーリングかと見ていましたが、やがてそれがレースだと気づきます。すると前方に徐行しているクルマの列に追いつき筆者もその後ろにつきます。車列はタンデムレースを観戦しており、筆者もしばしそのレース観戦を楽しみます。しかし、最後尾に追いついてきた大型トラックのために車列は速度を上げ、レース観戦もここで終わりとなっています。
「ニューパスハンティング」は、林道や峠を主体に地図や写真を多数掲載して案内しているコースガイド企画の連載です。今回は「明るい丹沢の林道からダムに沈む村へ」と題し、表丹沢林道と菩提峠を紹介しています。コースは渋沢駅をスタートし、表丹沢林道を走って菩提峠をパスし、高尾駅に至る61.5kmです。
「続・幻の評注に思いを馳せて」は、南アルプススーパー林道周辺にある氷柱を求めて行った氷柱行4回の記録です。筆者は単独または同行者1名と共に、1月から3月頃に氷柱行へ出ています。1回目は北沢峠を経て、2回目は広河原を経て氷柱行に挑むものの、悪天候などによって断念。3回目は鷲住山を経て、ようやく氷柱までたどり着きます。野呂川隧道、吊尾根隧道で氷柱を存分に鑑賞した後は、甲府まで下っています。4回目は2回目と同様に広河原を経ての氷柱行。この時は小樺隧道で5年ぶりに幻の氷柱と再会します。その後は野営しつつ夜叉神峠を経て甲府へ向かっています。
「気になる風景」は、サイクリングで訪れた場所の地名の由来や、その地域の風習などを綴る随想です。今回は「三日月」と題して、サイクリング時に見かけた三日月堂のこととミカヅキの解釈について語っています。
「NCサロン」は、自転車に関する各種の情報や読者投稿などを掲載するコーナーです。今回は、「Letter to Editor」に読者からNC誌'86年2月号に掲載された大弛峠行の前日に同峠に訪れていた話を寄せています。「INFORMATION」はレース情報、アウトドア用品のモニター募集等が掲載されています。
「サイクリングのソフトの開発(上)」は、サイクリングにおける、ハードウエアである自転車で行う物事としてのソフトウエアについて、今井彬彦編集長による提言です。編集長は、サイクリングソフトの必要性、そしてソフト開発が始まり前年あたりから目に付くようになってきたこと。その1つとして出てきたサイクルマラソンについて考察しています。
1986年4月号の裏表紙広告は、ブリヂストンサイクル「ユーラシア」でした。
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