ニューサイクリング 1987年10月号(No.279)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1987年10月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1987年10月号は、通巻279号です。

カラーの口絵は、「魔物について」「ニューグッズハンティング シマノクリップレスペダル」「南アルプスグランプリバイシクルレース」「ワンショット 風の中へ」です。

279号の目次をページ順に追うと、

 20 ツール・ド・フランス'87 エタップ詳報

 38 ニューパスハンティング 南葉林道

 48 随筆 ツール・ド・フランス

 58 私をとらえる魔物について

 70 シュナのコリドーレ・ジャッポネーゼ (14)さようなら、イタリア

 78 第21回全日本実業団対抗サイクルロードレース

 82 南アルプス・グランプリバイシクルレース

 83 第1回矢島町・鳥海高原サイクルロードレース

 86 フランス人コーチとブリヂストンレーシングの1ヵ月

 95 モノディスプレイ

 96 杉野 安の舌万歩計から (11)砂漠

100 秩父山地にて (2)叶後

104 気になる風景 火の見

106 NCサロン

となっています。

主な記事を以下にご紹介します。

「'87ツール・ド・フランス エタップ詳報」は、23チーム207名が参加した第74回ツール・ド・フランスのレースレポートです。2回連載の後半となる今回は、第5ステージから最終第25ステージまで一気にレポートしています。前回レポートの第4ステージ終了時点で、総合トップだったカレラチームのエリック・メヒラーはマイヨジョーヌを他チームに明け渡します。しかし、同じくカレラのステファン・ロシュは第10ステージの個人タイムトライアルで2位に42秒もの大差をつけて総合26位から一気に上位に浮上します。さらに、第24ステージの個人タイムトライアルで総合トップへ浮上。初のツール制覇と、ツール史上5人目となるダブルツールを達成します。

「ニューパスハンティング」は、林道や峠を主体に地図や写真を多数掲載して案内しているコースガイド企画の連載です。今回は「越後、大毛無山を越えるハードコース」と題し、南葉林道を紹介しています。コースは新井駅をスタートし、アプローチ道から西野谷集落を通って南葉林道へ入ります。南葉林道ではピークを一つパス、そこからはひたすらに下って名立駅に至る50.7kmです。

「随筆 ツール・ド・フランス」は、加藤一氏による特別寄稿です。ツール・ド・フランスにまつわる興味ある内容で、見出しをご紹介すると「ロッシュ、デルガド、ベルナール、そしてフィニヨンの底力」「ルーチェ・スプリンター達の華やかなスプリント」「ツール黎明期、ロートとヴェロの熾烈な争い」「ツール・ド・フランスとメカニズム」となっています。

「私をとらえる魔物について」は、'85年開始の連載企画です。「愛好家にとって自転車は魔物のようなものだろう」という一文で始まるこの企画は、オーナーにとって、そして読者にとっても魔物といえる自転車を紹介しています。今回は、ディレクタースポルティフを務める方がオーナーのアマンダのタンデム・ファミールが登場しています。NC誌メカニカルアドバイザー新田眞志氏による解説は「タンデムの駆動系に関する考察」です。

「シュナのコリドーレ・ジャッポネーゼ 」は、前年から始まった連載です。筆者の砂田弓弦氏は、イタリア滞在中の記録を克明にノートへ残していました。この連載は、その記録を元に筆者のイタリアでの体験を伝えてくれるものです。今回は「さよならイタリア」と題した、連載最終回です。9月21日、その日の午前中はチームメイトでプロとなったジャンニ・ブーニョと一緒に走ります。そして夜は筆者が帰国する前の送別会で、パーティとその後のエピソードを綴っています。

「第21回全日本実業団対抗サイクルロードレース」は、8月にサイクルスポーツセンターで開催されたレースのフォトレポートと、優勝した森幸春選手のコメントを掲載しています。

「南アルプス・グランプリバイシクルレース」は、長野県上伊那郡長谷村で行われたヒルクライムレースの大会レポートです。

「第1回矢島町・鳥海高原サイクルロードレース」は、地域社会活性化を願う秋田県矢島町と、本格的ロードレース開催を願っていた人達の願いによって実現したレースのレポートです。

「フランス人コーチとブリヂストンレーシングの1ヵ月」は、フランスからコーチを招き北海道で1か月の合宿を行った時のコーチングのことを鈴木光広選手に語ってもらっています。合宿にあたり、北海道へ発つ前にすでに1か月のスケジュールは決まっていました。そして、トレーニングは距離ではなく時間で決めていること。練習スピードもゆっくりしたものでした。合宿中に最も厳しく注意されたのはペダリングについて、最も時間をかけてマスターさせられたのが先頭交代のテクニックでした。合宿では食事や練習後の服装などについても指導されました。鈴木選手によるこの合宿を通しての感想は、日本全体が基本的な練習からもう一度やり直さないとダメだなと感じたということです。

「モノディスプレイ」は、新製品情報のコーナーです。今月号は、プーマのシューズ「2788プーマレーシング」「92703ツーリングシューズST」、フランス製のアルミフレーム「アルテック」等を紹介しています。

「杉野安の舌万歩計から」は、前年の9月号から始まった連載です。これまでスギノ・レーシングチームの活動をNC誌にたびたび掲載してきた杉野安氏ですが、このシリーズはレース以外の物事にまつわる話となります。今回のテーマは「砂漠」です。筆者は砂漠が大好きで、ロサンゼルスに滞在しているときは200km四方もあるという砂漠に行ってクルマ、バイク、BMXで走り回っていました。他にもサハラ砂漠や日本の水、ヨーロッパの気候など話題はいろいろと出てきます。美食に関しては、ヨーロッパでのワインの出し方について紹介しています。料理によって出すワインの種類を変えており、日本では一流といわれる料亭でも出てくる日本酒は一種類で、文化の違いを感じたと言っています。

※目次や本文タイトルでは連載回数を11回目としていますが、実際は連載12回目です。

「秩父山地にて (2)叶後」は、サイクリングで訪れた場所を題材としたエッセイです。秩父側から上州側に少し入ったところに幻の桃源郷は確かにあったという話で、それが叶後だと言っています。筆者はそう考える根拠として、原全教の著書「奥秩父回帰」の一節と写真家清水武甲の写真集に叶後があることを挙げています。この地域一帯は石灰石が取れるということで、セメント会社に売られ、数年後の叶後は石灰石で埋まり変わり果てた姿になっていたということです。

「気になる風景」は、筆者の気になるコトやモノについて思ったことを綴っている随想の連載です。今回は「火の見」と題して、危機管理の態様について語っています。

「NCサロン」は、自転車に関する各種の情報や読者投稿などを掲載するコーナーです。今回の「INFORMATION」は、イベント情報3件にプレゼント情報2件を掲載しています。

1987年10月号の裏表紙広告は、ブリヂストンサイクル「レイダック」でした。

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