ニューサイクリング 1987年9月号(No.278)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1987年9月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1987年9月号は、通巻278号です。
カラーの口絵は、「魔物について」「アイアンマン・ジャパン・インびわ湖」です。
278号の目次をページ順に追うと、
20 ニューパスハンティング 樹海開拓道路、県道70・24号、籠坂峠
30 '87ツール・ド・フランス エタップ詳報
36 私をとらえる魔物について
48 ・しらびそ峠から下栗へ
52 名無村より御荷鉾林道
58 シュナのコリドーレ・ジャッポネーゼ (13)僕をとりまいた人たち
68 市川雅敏、オランダ紙の取材から
70 第22回近畿ロード
80 使ってみたら サンツアー・パームコントロール
84 秩父山地にて (1)秩父若御子
88 杉野 安の舌万歩計から (10)台湾
92 遥かなる山旅(2) 再訪 大弛峠
98 ・榛名紀行
102 気になる風景 うら
104 ニューパスハンティング実走レポート
106 NCサロン
108 NCラリーのお知らせ
となっています。
主な記事を以下にご紹介します。
「ニューパスハンティング」は、林道や峠を主体に地図や写真を多数掲載して案内しているコースガイド企画の連載です。今回は「富士の裾野、グルッと105km周回」と題し、樹海開拓道路、県道70・24号、籠坂峠を紹介しています。コースは御殿場駅をスタートし、国道を走って籠坂峠をパスして山中湖、鳴沢と回って樹海開拓道路を走ります。最後は県道70号から24号を走って御殿場に至る104.7kmです。
「'87ツール・ド・フランス エタップ詳報」は、23チーム207名が参加した第74回ツール・ド・フランスのレースレポートです。2回連載の前半となる今回は、ベルリンで行われたプロローグの個人タイムトライアルから第4ステージまでの展開と、この時点の総合トップがチームカレラのエリック・メヒラーであることを伝えています。
「私をとらえる魔物について」は、'85年開始の連載企画です。「愛好家にとって自転車は魔物のようなものだろう」という一文で始まるこの企画は、オーナーにとって、そして読者にとっても魔物といえる自転車を紹介しています。今回は、貿易商を営むオーナーのVILLEが登場しています。NC誌メカニカルアドバイザー新田眞志氏による解説は「古い自転車のレストアに関する考察」です。
「・しらびそ峠から下栗へ」は、ツーリングレポートです。「南アの大展望が得られる新林道を訪ねて」と副題を付けたレポートのコースは、地蔵峠から蛇洞沢林道を通ってしらびそ峠まで走り、しらびそ山荘に宿泊します。次の日は雨だったので山荘にとどまり、翌日に目的の御池山林道を走ります。このコースは大絶景の連続で、走っては止まって風景を楽しむの繰り返しで、15kmの下りに3時間ほどかかっています。下栗まで降りてきた筆者は、この後の青崩峠を経て水窪までの道程を残したところでレポートを終えています。
「名無村より御荷鉾林道」は、御荷鉾林道を目的コースとしたサイクリング紀行です。筆者は御荷鉾林道をやるとのみ決めて電車に乗り込み、車内であれこれとコースを考えます。そうして藤岡駅から走りだした筆者は、まずは名無村を目指します。名無村からは塩沢峠を目指して林道を行き、御荷鉾林道へ入ります。最後は御荷鉾林道を走ったついでに御荷鉾山にも登り、児玉駅へと向かうところで話を締めています。
「シュナのコリドーレ・ジャッポネーゼ 」は、前年から始まった連載です。筆者の砂田弓弦氏は、イタリア滞在中の記録を克明にノートへ残していました。この連載は、その記録を元に筆者のイタリアでの体験を伝えてくれるものです。今回は「僕をとりまいた人たち」と題して、イタリア滞在中にレースサポートなどでお世話になった人々を紹介しています。他にもサポートカーのことや、イタリア選手の練習法「ゆっくり長く思いギア」で時間を目安にトレーニングしていることを紹介しています。
「市川雅敏、オランダ紙の取材から」は、オランダの新聞「リンブル日報」が1ページ全面のインタビュー記事を掲載したので、市川選手が送ってくれた掲載紙を紹介しています。インタビュー記事には写真もあり、記事と写真のキャプションは編集部による日本語訳が載せられています。
「第22回近畿ロード」は、6月に鈴鹿サーキットで開催されたロードレースのレポートです。
「モノディスプレイ」は、新製品情報のコーナーです。今月号は、プーマのシューズ「GLメッシュ」、カンパニョーロの新シリーズ「コーラス」、トモダの「新版ワールドパーツ」、セライタリア「ターボスペシャル」等を紹介しています。
「使ってみたら サンツアー・パームコントロール」は、新製品のレビュー記事です。サンツアーから発売された、ドロップハンドルのいわゆる上ハン部分に取り付けるブレーキの補助レバーです。パームコントロールは、フーテッドレバーはそのままに取り付けることができます。その為、いつも通りのブレーキングに加えてハンドルの上部や肩部分を持ったポジションでもブレーキングできます。握力の小さいライダーや、とっさのブレーキに効果を発揮します。実際にテストを行った女性サイクリストには好評だったようです。
「秩父山地にて (1)秩父若御子」は、サイクリングで訪れた場所を題材としたエッセイです。もう人の通う「みち」ではなくなっていた山道をパスハンターを担ぎながら行って、廃屋を何軒か過ぎていきます。峠を越えてからはパスハンターの本領を発揮して一気に山を下っていきます。筆者は最後に市街地からほど近い廃村に、地上げによって都心から住民がいないなることと重ね合わせてその心情を吐露しています。
「杉野安の舌万歩計から」は、前年の9月号から始まった連載です。これまでスギノ・レーシングチームの活動をNC誌にたびたび掲載してきた杉野安氏ですが、このシリーズはレース以外の物事にまつわる話となります。今回のテーマは「台湾」です。いつもの連載内容と異なり、前半は台湾の自転車事情について詳細に述べています。当時の台湾は自転車生産台数が1000万台とヨーロッパ全体の台数1300万台に迫る勢いで急成長しているといっています。その要因として、台湾の年輩者は日本語の教育を受けているので、日本語で自転車生産のノウハウを学びとっていることと、当時の比較で日本の約6分の1という賃金や3割以上安い原材料費をあげています。その他にも台湾企業の状況やサイクルレーシングの振興策等を紹介しています。後半はいつもに戻って、台湾の美食事情を伝えています。台湾の美食どころは上げるときりがないと筆者がいう中で、ここでは高雄にある料亭を紹介しています。
※目次や本文タイトルでは連載回数を10回目としていますが、実際は連載11回目です。
「遥かなる山旅(2) 再訪 大弛峠」は、2年前に台風の影響で断念した大弛峠へのアタックレポートです。前日に夏沢峠を越え、硫黄岳を登った後に下ってきた信濃川上で電話をしてこの日の宿を梓山に取ります。翌朝早くに出発した筆者は三国峠へ登り、その後宿へ戻って朝食をとり宿を後にします。今回はトラブルやアクシデントもなく無事に大弛峠に到着し、その日は大弛小屋に泊まります。翌朝は奥千丈岳と国師岳へ登り、宿で朝食を食べた後に甲府へ下って旅を終えています。
「・榛名紀行」は、杖の神峠越えを目指したツーリングレポートです。群馬八幡の駅から出発した筆者は2時間ほどアプローチとなる国道を走り、峠を目指す林道へ入ります。出発から4時間ほどで杖の神峠に着いた筆者は、そこで昼食を兼ねた1時間ほどの休憩を取ります。峠を越えた後は榛名湖、天神峠、ヤセオネ峠を経由、途中の露天風呂でこの日の疲れを癒した後に群馬総社駅で自転車を畳んでいます。
「気になる風景」は、筆者の気になるコトやモノについて思ったことを綴っている随想の連載です。今回は「うら」と題して、ものごとの裏について語っています。
「ニューパスハンティング実走レポート」は、4月号で紹介された智者山周辺の林道の読者による実走レポートが2件寄せられています。
「NCサロン」は、自転車に関する各種の情報や読者投稿などを掲載するコーナーです。今回の「INFORMATION」は、サイクリングイベントとサイクリングロード開通の情報、そしてベルナール・イノー来日の情報を紹介しています。他には読者から峠情報が1件寄せられています。
「NCラリーのお知らせ」は、この年の10月に兵庫県三田市の民宿で開催される「ニューサイクリング読者会」の告知です。
1987年9月号の裏表紙広告は、ブリヂストンサイクル「レイダック」でした。
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