ニューサイクリング 1988年2月号(No.283)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1988年2月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1988年2月号は、通巻283号です。

カラーの口絵は、「魔物について」「キャノンデール」です。

283号の目次をページ順に追うと、

 20 ニューパスハンティング 房総丘陵・江戸道と杉戸林道

 30 車輪の組み方、その後

 36 ヴィヴィエ・ドミニク プロトンを作るために私はやって来た

 44 私をとらえる魔物について

 56 徳本峠

 62 明日の自転車の今

 68 秩父山地にて (5)秩父困民党 その三

 74 杉野 安の舌万歩計から 遺産相続

 89 モノディスプレイ

 90 Campagnolo CROCE D' AUNE

 94 富士見峠その後 日光から野門へ

 98 忘れえぬ旅 知多半島と渥美半島

102 気になる風景 '76 and '86

104 '88読者年賀状コレクション

106 NCサロン

109 NC代理部

となっています。

主な記事を以下にご紹介します。

「ニューパスハンティング」は、林道や峠を主体に地図や写真を多数掲載して案内しているコースガイド企画の連載です。今回は「房総の快適な尾根道と静かな林道」と題し、房総丘陵の江戸道と杉戸林道を紹介しています。コースは養老渓谷駅をスタートし、江戸道を走って大多喜へ抜け、湯倉を経由して杉戸から杉戸林道を走り養老渓谷駅へ至る54.1kmです。

「車輪の組み方、その後」は、自転車技術研究時勤務の井上重則氏によるスポークの組み方による車輪の寿命に関する記事で、'84年8月号と'86年12月号に掲載された記事の続編です。冒頭では前回までの記事の反響が色々とあったこと、台湾のメーカーは従来のやり方から「井上組み」にすぐに変更してくれたことを報告しています。本論では、スポークの首角が伸びないようにするための方法について3つの方法を考案、そのうちの2つについて実験し、結果を公表しています。

「ヴィヴィエ・ドミニク プロトンを作るために私はやって来た」は、'87年11月から'88年8月までの予定でブリヂストンのレーシングコーチとして再来日したドミニク氏へのインタビュー記事です。前年の7月に1ヵ月間ブリヂストンチームのコーチで来日したドミニク氏のコーチングについては、鈴木光広選手へのインタビューで紹介していましたが、今回はドミニク氏への直接インタビューです。インタビューでは、選手時代のこと、コーチとして5年間のアメリカに滞在していた時のことについて。日本の現状はFICP副会長の加藤一氏から聞いていたことと、日本でのトレーニング計画について語っています。

「私をとらえる魔物について」は、'85年開始の連載企画です。「愛好家にとって自転車は魔物のようなものだろう」という一文で始まるこの企画は、オーナーにとって、そして読者にとっても魔物といえる自転車を紹介しています。今回は、フリーライターの方がオーナーの前三角にカーボンチューブを使用したクルスルートが登場しています。NC誌メカニカルアドバイザー新田眞志氏による解説は「新素材のフレームに関する考察」です。

「徳本峠」は、島々谷から上高地まで走ったサイクリング紀行です。普段は群馬や栃木地域を走っていた筆者を徳本峠越えに駆り立てたのは、所属するサイクリングクラブの会報に続けてレポートが掲載されたこと。そして、上高地まで輪行して下ってくるのではなく、島々谷から入るべきと主張されていたので、それを確かめたくなってのことです。実際に走ってみての感想は、会報で読んだレポートの通りでした。

「明日の自転車の今」は、当時の自転車の研究に関してケルビムの今野仁氏が考察している記事です。その内容は、強度、剛性、各素材の性質についてとなっています。

「秩父山地にて (5)秩父困民党 その三」は、サイクリングで訪れた場所を題材としたエッセイです。今回は、最初にサイクリングの話です。一行は浜平の宿を出て、十国峠越えで信州を目指します。道中の話は、サイクリング行と秩父困民党の進行とを交えながらとなっています。サイクリング一行は上州から信州へ入り、馬流駅で終了します。最後のまとめは、秩父困民軍の10日間あまりの行程についてと、同行程を自転車を使って2日間で走った後の感想を述べて締めくくっています。

「杉野安の舌万歩計から」は、杉野安氏執筆による連載です。これまでスギノ・レーシングチームの活動をNC誌にたびたび掲載してきた杉野安氏ですが、このシリーズはレース以外の物事にまつわる話となります。今回のテーマは「遺産相続」です。前半では筆者の考える相続と相続税のあり方。そして日本と諸外国との相続税の違いなどに触れています。味の話題は、日本人の味覚感覚のすばらしさと、当時の「活きづくり」の流行に対する意見を述べています。

「モノディスプレイ」は、新製品情報のコーナーです。今月号は、モゼールのフレーム「リーダーS.C.」、サンツアーのマウンテン用コンポ「XCD6000」、アリアケの「新ストリーム」、パールイズミ・サンティーニ・ミズノのサイクルウェア等を紹介しています。

「Campagnolo CROCE D' AUNE」は、カンパニョーロから新たに発表されたコンポーネント「クローチェ・ドウネ」の紹介記事です。前後変速機、ブレーキレバーとキャリパー、チェーンホイール、ペダルとトークリップ、ハブ、ヘッドセット、シートピラーの各写真と説明が記されています。

「富士見峠その後 日光から野門へ」は、以前のNC誌で紹介された記事で気になっていた地を走りに出たサイクリング紀行です。筆者は、鉄道とバスを乗り継ぎ明智平まで輪行し、そこからサイクリングをスタートします。ルートは赤沼、志津、二ノ沢分岐から富士見峠を越えて、金冷泉、兎平から林道を走って野門へ抜けています。最後には編集部による、富士見峠はニューパスハンティングで取り上げる予定だったが、ハードすぎるということでボツになったというこぼれ話を紹介しています。

「忘れえぬ旅」は、長谷川弘氏による知多半島と渥美半島の自転車旅紀行です。二人で出かけた筆者は、急いで乗り込んだ列車に予定外のところまで連れていかれるというハプニングに見舞われます。行き当たりばったりの旅ではあるが、三河湾沿いを走り初日の宿に無事到着します。二日目は、知多半島を伊勢湾沿いに走り篠島へ渡って投宿します。三日目は、島から渥美半島へ渡ります。伊良湖岬へと渡った筆者たちは太平洋沿いを走り、途中から三河湾方面に向かってこの日の宿をとった田原町に入ります。最終日は田原から磐田まで走って車中の人となっています。

「気になる風景」は、筆者の気になるコトやモノについて思ったことを綴っている随想の連載です。今回は「'76 and '86」と題して、文化財保護の名のもとに無造作に変えられてしまう民族遺跡について語っています。

「'88読者年賀状コレクション」は、読者から編集部に届いた年賀状を紹介しています。紙面では届いた賀状の一部、15点を掲載しています。

「NCサロン」は、自転車に関する各種の情報や読者投稿などを掲載するコーナーです。今回の「INFORMATION」は、レースイベント2件と読者プレゼントを紹介しています。

「NC代理部」は、ベロ出版で取り扱っている商品の紹介ページです。今回は、NCオリジナルボトルとTシャツ、NC合本用ファイル他を紹介しています。

1988年2月号の裏表紙広告は、ブリヂストンサイクル「レイダック」でした。

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