ニューサイクリング 1988年3月号(No.284)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1988年3月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1988年3月号は、通巻284号です。
カラーの口絵は、「魔物について」「ニューグッズハンティング シマノ サンテ」です。
284号の目次をページ順に追うと、
20 私をとらえる魔物について
32 雨の上越国境 清水峠を越える
42 私作!カーボンフレーム始末記 (1)さて、どうしよう
50 ニューパスハンティング 静岡・竜爪山
60 秩父山地にて(6)荒川を遡る
70 ガソリン1リットルで977km マイレッジマラソンに見る自転車パーツ
76 使ってみたら サムライ
80 モノディスプレイ
90 UCI Calender '88 プロフェッショナル、トライアスロン
92 チーム・エプソン・ボスコ結成 高橋松吉、新しい旅立ち
94 "びわ湖国際サイクルロードレース"の背景
98 ニューパスハンティング実走レポート
102 杉野 安の舌万歩計から フロマージュ
106 NCサロン
108 気になる風景 文化複合
109 NC代理部
となっています。
主な記事を以下にご紹介します。
「私をとらえる魔物について」は、'85年開始の連載企画です。「愛好家にとって自転車は魔物のようなものだろう」という一文で始まるこの企画は、オーナーにとって、そして読者にとっても魔物といえる自転車を紹介しています。今回は、競輪選手がオーナーのワタナベのグランツーリズモが登場しています。NC誌メカニカルアドバイザー新田眞志氏による解説は「シクロ・ツーリズムに関する考察」です。
「雨の上越国境 清水峠を越える」は、水上から清水までの峠越えサイクリング紀行です。筆者は、自宅から水上まで雨の中をクルマで移動。天候が回復してきたので、意を決して出発します。土合駅、一の倉沢を過ぎて芝倉小屋あたりまで来たところで本格的な雨となってしまいます。進退の検討をした結果、そのまま進むことにします。雨具を身に着け、自転車を押しながら進み、白樺避難小屋にたどり着き休憩した後、ようやく峠にたどり着きます。峠では避難小屋で着替えと食事をして、衰えない雨風の中を下りにかかります。道は悪くないのですが、危険を避けて自転車を押しながらの下りとなります。その甲斐あって、筆者は無事に清水の町まで降りることができ、ここで話を締めくくっています。
「私作!カーボンフレーム始末記 (1)さて、どうしよう」は、自転車技術研究所勤務の井上重則氏がカーボンフレームを自作する過程を報告した連載です。今回は、上司の許可を得てカーボンフレーム製作にかかるのですが、フレーム製作の経験がないのでまずそのあたりの勉強から始めます。いざ製作となりますが、ベースとなるのは試験で使用し廃品となったディスクホイールのカーボンパネル。そのため、あれこれと試行錯誤したり考えを巡らせて何とかフレームの完成までこぎつけます。今回はここまでで、テストは次号へと続きます。
「ニューパスハンティング」は、林道や峠を主体に地図や写真を多数掲載して案内しているコースガイド企画の連載です。今回は「赤石山脈をみはらす山岳ルート」と題し、静岡の竜爪山を紹介しています。コースは静岡駅をスタートし、長尾川沿い、平山林道を走って薬師岳をパスします。ここからの下りは俵峰、俵沢を経由して安部川沿いの道を走って静岡駅に至る44.5kmです。
「秩父山地にて(6)荒川を遡る」は、サイクリングで訪れた場所を題材としたエッセイです。今回は、荒川にまつわる話です。はじめは新説と謳って「荒川の水源は正丸峠である」「私は毎日、神流川の水を飲んでいる」の二つの話を紹介しています。荒川を遡るサイクリングは、千住大橋を起点として右岸を上流に向けて走り始めます。荒川大橋、戸田橋を過ぎて笹目橋で左岸へ渡り、秋ヶ瀬、上江橋に至ります。入間川との合流点となるこの橋で右岸へ移りさらに上流を目指します。サイクリング道路は大芦橋で終わっていましたが、そのまま土手上や河川敷の道路を継いで走りますが、最後は連れの意見で定峰峠へ向かうこととなり、荒川遡上行は途中で終わっています。
「ガソリン1リットルで977km マイレッジマラソンに見る自転車パーツ」は、レースに出場したチームメンバーである筆者が燃費競争であるマイレッジマラソンのマシンを検証しています。マシンに使用されているパーツはそのほとんどが自転車用の部品で、タイヤもチューブラーが使用されています。トラブルとしては、エンジンの振動によってフリーのフタがネジロック材を縫っても緩むことが挙げられています。
「使ってみたら サムライ」は、新製品のテストレポートです。京セラから発売された「サムライ」は独特な形状をしたハーフサイズのフィルムカメラですが、一眼レフ、3倍ズーム、自動巻き上げ、オートフォーカスを装備しています。テストはサイクリングでの使用を想定したシーンで行っています。機能的には露出補正機能が便利ではあるが、裏返しの弱点にもなっているとのことですが、総合的には多くの人にとって使いやすいものだと評価しています。
「モノディスプレイ」は、新製品情報のコーナーです。今月号は、タイムのビンディングペダル、カンパニョーロの「レコードSGR-1」「シンクロ2」「オメガ・ストラーダ」「ラムダ・ストラーダ」「カムシン」、ブルックス「プロフェッショナルS」、レジナ「SL」等を紹介しています。
「UCI Calendar '88 プロフェッショナル、トライアスロン」は、プロフェッショナルとトライアスロンのUCI公式レースの年間スケジュールを掲載しています。
「チーム・エプソン・ボスコ結成 高橋松吉、新しい旅立ち」は、彦根プリンスホテルで開催されたチーム結成パーティーの取材記事です。記事では欠席となった大門宏以外のチームメンバー、大石一夫、山田隆博、橋詰一也、高橋松吉の各選手のコメントを掲載しています。
「"びわ湖国際サイクルロードレース"の背景」は、準備が進むレースのプロモートを行っている組織の織田義郎氏と長義和氏に話を聞いています。話題は、主催・特別協賛などのこの企画の背景にあるものの形についてと、技術的革新の面についてです。
「ニューパスハンティング実走レポート」は、読者による実走レポートです。今回は、'87年6月号で紹介された「越前自然歩道・越知山、花立峠、銀杏峠」と'85年7月号で紹介された「塩嶺王城スカイライン」のレポート計3件が寄せられています。
「杉野安の舌万歩計から」は、杉野安氏執筆による連載です。これまでスギノ・レーシングチームの活動をNC誌にたびたび掲載してきた杉野安氏ですが、このシリーズはレース以外の物事にまつわる話となります。今回のテーマは「フロマージュ」です。11月のパリは牡蠣のシーズンという話題から入り、大変動の中にあるフランス自転車業界の動向に触れています。チーズの話は、モトベカンの旧自転車工場の重役用食堂で出されたサンカンタンのチーズにまつわるエピソードを紹介しています。
「NCサロン」は、自転車に関する各種の情報や読者投稿などを掲載するコーナーです。今回の「INFORMATION」は、イベント2件とキャンペーンの情報を掲載しています。
「気になる風景」は、筆者の気になるコトやモノについて思ったことを綴っている随想の連載です。今回は「文化複合」と題して、異なる文化の複合について語っています。
1988年3月号の裏表紙広告は、ブリヂストンサイクル「レイダック」でした。
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