ニューサイクリング 1989年2月号(No.295)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1989年2月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1989年2月号は、通巻295号です。

カラーの口絵は、「魔物について」「ワンショット 春を待つ林道」「ニューグッズハンティング スギノテクノ テンションディスク846」です。

295号の目次をページ順に追うと、

 14 私をとらえる魔物について

 26 山口弘一レポート メカニック イン USA 第4信

 32 '88USCF カーボンマシンに迫る

 36 ニューパスハンティング 箱根芦ノ湖西岸から湯河原峠、十国峠

 46 NCヌーベル トゥーリズム ジャポン

 50 ヒューマン・バイシクルへのプロセス 空白を生んだ製品

 56 '89読者年賀状コレクション

 66 随筆 自転車を着る

 70 杉野 安の舌万歩計から 金沢

 76 アマトップレベルのステージレース コモンウェルズ 走った!戦った! 僕たちの131日間、1824km

 84 奥多摩走り旅

 90 近畿ロード 勝利へのスリップストリーム

101 モノディスプレイ

102 使ってみたら サカエFX アナトミックベンドハンドル

104 気になる風景 異文化

106 '88バイシクルフェア

108 NCサロン

となっています。

主な記事を以下にご紹介します。

「私をとらえる魔物について」は、'85年開始の連載企画です。「愛好家にとって自転車は魔物のようなものだろう」という一文で始まるこの企画は、オーナーにとって、そして読者にとっても魔物といえる自転車を紹介しています。今回は、大学院生がオーナーのトーエイのクラブモデルが登場しています。NC誌メカニカルアドバイザー新田眞志氏による解説は「マッドガードの付いた快走用モデルに関する考察」です。

「山口弘一レポート フロム アメリカ メカニック イン USA」は、元3RENSHOのビルダーで当時USCF(アメリカ自転車競技連盟)の公認メカニックを務めていた山口弘一氏によるアメリカからのレポートです。第4信となる今回の便りは、次のオリンピックに向けアメリカは2チーム体制となる事と、筆者が担当するフレーム製作について伝えています。チームは従来のナショナルチームとオリンピックにターゲットを絞ったチームUSAという体制になり、チームUSAはメンバーチェンジ無しの4年計画での運営になるということです。フレームについては、ソウルオリンピックでカーボンフレームが良い成績を出せなかったので、クロモリフレームに変更となり、筆者は多忙になってきていると報告しています。

「'88USCF カーボンマシンに迫る」は、山口弘一氏からレポートと共に編集部に送られてきたアメリカチームがソウルオリンピックで使用したフレームの部材サンプルを自転車技術研究所の井上重則氏に送り考証を依頼したレポートです。分析結果は推論ですが、部材の品質やその製法にまで及んでいます。

「ニューパスハンティング」は、林道や峠を主体に地図や写真を多数掲載して案内しているコースガイド企画の連載です。今回は「展望抜群の裏道マウンテンルート」と題し、箱根芦ノ湖西岸から湯河原峠と十国峠を紹介しています。コースはバス輪行した仙石原をスタートし、湖尻から芦ノ湖西岸を行き箱根峠、湯河原峠をパスします。さらに十国峠を目指しますがミスコースがあり取材時はロスをしていますが、本文には正しいルートも案内しています。最後は岩戸山を走って熱海駅に至る39.5kmです。

「エポック!ツーリング車の新指向 実走NCオールテラインランドナー」は前年の8月に始まった企画「NCヌーベル トゥーリズム ジャポン」で製作したペガサスのオールテラインランドナーの実走レポートを伝える新連載です。今回は「クロスカントリーバージョンでトレッキングパス」と題し、オールラウンダーハンドル、700×35Cのブロックパターンを装着しガード無しとした仕様での実走レポートです。装着したタイヤはダート・舗装路ともに良好でした。また、5気圧と高めの空気圧であったがソフトな乗り心地のフレームのおかげでダート走行時の振動も相殺されているとレポートしています。

「ヒューマン・バイシクルへのプロセス 空白を生んだ製品」は、スギノテクノのテンションシートホイールの製品および開発者の人物紹介です。

「'89読者年賀状コレクション」は毎年の恒例となっている、読者から編集部に届いた年賀状の紹介コーナーです。この年は、編集部が選んだ56件の年賀状が誌上で紹介されています。

「随筆 自転車を着る」は、「外なる内なるダンディズム」と謳った加藤一画伯による随筆文です。昭和10年代、学連の自転車選手は女の子にもてたという話。そして、競技や練習に向かう途中は教練服に向かいハンドルで走り、競技場や練習場所についてから競技用のジャージやレーシングシューズに履き替えていた。競技者そのものの姿で街中を走ることはしなかった、これが当時学生だった筆者たちのダンディズムだったといいます。そして、各大学の中でも立教のミッドナイトブルーのジャージに付いていた白いサンポール(セントポール)のシンボルのフランス王朝のマークは、形の美しさも含め全く素晴らしいデザインだったといっています。ところが、この記事の執筆当時では何を着て自転車に乗るべきか困っているといいます。ロードレーサーに乗るときはレース着で乗るが、ランドナーで街を散歩しようというときはニッカ―スタイルかせめてショートパンツでないとサマにならない。これも一種の美学かもしれないといっています。

「杉野安の舌万歩計から」は、杉野安氏執筆による連載です。これまでスギノ・レーシングチームの活動をNC誌にたびたび掲載してきた杉野安氏ですが、このシリーズはレース以外の物事にまつわる話となります。今回のテーマは「金沢」です。この頃の筆者は金沢に執着して何度となく訪れ、九谷焼を目当てに県立美術館を訪れています。そして、この地は日本に於けるリムの誕生の地であり、チェーンのふるさとでもあるといっています。100年位前、誕生当時の木リムは輪島塗りの木地を作る職人達が生産を担当していました。チェーンも初代アラヤさんの決断によって北陸から生まれました。話は九谷焼のことに戻り、この九谷焼を使った加賀料理のことへと移ります。当日はお弁当のみであったが、それでさえなかなかの工夫と卓抜の味を持っていたといいます。

「アマトップレベルのステージレース コモンウェルズ 走った!戦った! 僕たちの131日間、1824km」は、エプソンボスコに所属する大石一夫選手によるレース参戦記です。オーストラリアで行われたコモンウェルズ・バンク・サイクル・クラシックにサンツアーチームの一員として出場することとなった大石選手。レースは全18ステージで争われ、レポートは各ステージ毎の展開を伝え、レース終了後の大石選手による感想で締めくくっています。

「奥多摩走り旅」は、都内の自宅から200kmあまりを1泊2日で走ったサイクリング紀行です。初日は自宅を出発して奥多摩湖を経由して今川峠を越えて小菅に確保した宿に入ります。翌日は朝から松姫峠の登りにかかります。峠を越えてからは下りなので、ゆっくりと楽しみながら猿橋まで走ります。猿橋に寄った後は自宅までひた走り、日暮れ前に帰着して今回のサイクリングを終えています。

「近畿ロード 勝利へのスリップストリーム」は、ゴールスプリントを制した川崎正志選手のレース展開を中心に伝えているレースレポートです。

「モノディスプレイ」は、新製品情報のコーナーです。今月号は、アラヤ「ADX-5」「NEW RM-20」、フジトシのレーシングシューズ、パールイズミのウェア「'89春夏コレクション」等を紹介しています。

「使ってみたら サカエFX アナトミックベンドハンドル」は、新製品のレビューコーナーです。従来の一定のアールで曲げられていたハンドルに対し、ドロップの最も深い部分にフラットセクションを設けた形状のハンドルです。このハンドルを長時間使ってみての感触は、フィット感は良好であり、リーチ寸法も短いので小柄なライダーや女性にとっても良いのではとしています。

「気になる風景」は、筆者の気になるコトやモノについて思ったことを綴っている随想の連載です。今回は「異文化」と題して、異質なものとの共存について語っています。

「欧米のスポーツバイシクルフェア」は、前年の12月に自転車文化センターで開催された展示会のフォトレポートです。

※目次では表題が「'88バイシクルフェア」となっていますが、本文では「欧米のスポーツバイシクルフェア」となっています。

「NCサロン」は、自転車に関する各種の情報や読者投稿などを掲載するコーナーです。今回の「INFORMATION」にはレースイベント2件とツーリングイベント1件の情報と、書籍発行の情報が2件掲載されています。

1989年2月号の裏表紙広告は、ブリヂストンサイクル「レイダック・テーラーメイド」でした。

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