ニューサイクリング 1989年3月号(No.296)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1989年3月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1989年3月号は、通巻296号です。

カラーの口絵は、「魔物について」です。

296号の目次をページ順に追うと、

 16 私をとらえる魔物について

 28 高橋松吉が語るチームプレイの真髄 エースとアシスト

 42 プロムナード宣言

 48 ニューパスハンティング 矢頭峠・清水峠・堀坂峠

 56 NCヌーベル トゥーリズム ジャポン 実走NCオールテラインランドナー スポルティーフバージョンで快走

 60 紀行 岩手北上山中

 72 オランダ・シクロクロス参戦記 泥沼と砂地に喘ぐ60分

 78 使ってみたら サンツアー スコープライト

 87 モノディスプレイ

 88 ニューパスハンティング実走レポート

 92 気になる風景 二人袴

 94 木器

 98 杉野 安の舌万歩計から ワインの旬

102 NCサロン

となっています。

主な記事を以下にご紹介します。

「私をとらえる魔物について」は、'85年開始の連載企画です。「愛好家にとって自転車は魔物のようなものだろう」という一文で始まるこの企画は、オーナーにとって、そして読者にとっても魔物といえる自転車を紹介しています。今回は、シマノに勤務する方がオーナーのATBが登場しています。NC誌メカニカルアドバイザー新田眞志氏による解説は「ATBのハンドルに関しての考察」です。

「高橋松吉が語るチームプレイの真髄 エースとアシスト」は、ミヤタ出身で当時ボスコに所属していた高橋松吉選手へのインタビューと、同選手の'88シーズンのレースを追ったドキュメンタリー記事です。インタビューでは、当時チームプレイの無かった日本のロードレース界にあって、チームプレイの重要性を説く高橋選手の考えを聞いています。そして、高橋選手率いるチームボスコの1年間の戦いぶりを追って、各レースの展開をレポートしています。

「プロムナード宣言」は、今井編集長による提案記事です。当時、従来の車種に加えてMTBやATBといった新たな車種が登場し、多様化が進んできたスポーツ車。そのようななかにあって、「逍遥」するための自転車として改めてプロムナードを見直してみようと提言しています。

「ニューパスハンティング」は、林道や峠を主体に地図や写真を多数掲載して案内しているコースガイド企画の連載です。今回は「伊勢松坂の峠を巡るスポルティフルート」と題し、矢頭峠・清水峠・堀坂峠を紹介しています。コースは松阪駅をスタートし、旧参宮街道を走ってから権現前を経由して山へ入っていきます。オール舗装ルートで矢頭峠、清水峠、堀坂峠をパスし、松阪駅に至る58kmです。

「実走NCオールテラインランドナー3」は前年の8月に始まった企画「NCヌーベル トゥーリズム ジャポン」で製作したペガサスのオールテラインランドナーの実走レポートを伝える新連載です。今回は「スポルティーフバージョンで快走」と題し、ドロップハンドル、チューブラーホイール、マッドガード仕様での実走レポートです。外見上はWO仕様とあまり変わらないが、走行性能の違いは歴然としているとレポートしています。また、この自転車はレギュラーモードでインデックスシフトを使用していますが、チューブラーホイールに装着しているナロー(ウルトラ)の6段でも問題なく使用できたと報告しています。

「紀行 岩手北上山中」は、二戸から遠野まで走ったツーリング紀行です。二戸から軽米町への道中はクルマに出会うことはほぼなく、人にしても集落の周辺でたまに会う程度。その一方、軽米から大野村へ向かう途中では道の真ん中に馬がいたりします。大野からは九戸村、山形村を経由して葛巻町へ入り、さらに国境峠を越えて岩泉町へ向かいます。途中雨にあった筆者は、大川駅で雨宿りがてら自転車を待合室におき、周遊券を使って電車で岩泉まで昼食を食べに出ます。大川駅に戻った時は雨も上がっていたので、川井村へ向かいます。最後は遠野へ向かい、北上山地のほぼ真ん中を貫くように走って来たツーリングを締めくくっています。

「オランダ・シクロクロス参戦記 泥沼と砂地に喘ぐ60分」は、長野県サイクルスポーツ発展協力者協会からオランダに1か月にわたり派遣された、選手とメカニックの2名の遠征報告です。

「使ってみたら サンツアー スコープライト」は、新製品のレビューコーナーです。スコープライトは単三電池を2本使用するバッテリーライトです。ボディは軽合金製で、ブラックの焼付け塗装が施されています。電球はクリプトン球を使用、レンズ部にはフォーカシング機構が付いています。ライトは明るく、ヘッド部は外して後部へ差すとスタンドになりローソクのように使えます。また、後部にはキーリングホールがあいているので、吊って使うことも可能です。自転車への取付は、ハブのクイック部で専用のホルダーを使用します。ホルダーはコンパクトですが、泥除け付きの場合はガード取付のダルマネジと本体が干渉するので多少の工夫が必要です。

「モノディスプレイ」は、新製品情報のコーナーです。今月号は、LOOKのツーリングシューズ「アルパイン AS-56」「エンデューロ AS-46」「シクロ AS-26」、吉貝の「DIA BRS500レバー」「984COLBAR」、タンゲ「プレステージ・コンセプト」等を紹介しています。

「ニューパスハンティング実走レポート」は、読者による実走レポートです。今回は、'88年4月号で紹介された「甲州 菱山深沢林道」の実走レポートが3件寄せられています。

「気になる風景」は、筆者の気になるコトやモノについて思ったことを綴っている随想の連載です。今回は「二人袴」と題して、マージナルについて語っています。

「木器」は、サイクリングエッセイです。筆者は自分を見つめなおす機会を持とうと、筆ペンとスケッチブックを携えてポタリングへ出ます。まずは三田市の酒蔵へ向かいスケッチをしたり仕込み時期を聞いてみたりします。そのあとは気になっていた焼き物の窯元を訪ねます。作業を見学した後、主人に昼食に呼ばれて共にします。食事の後は、気に入った器を手に入れて帰路につきます。帰りの道中は普段と違う一日になったと、満足感に浸りながら走っていきます。

「杉野安の舌万歩計から」は、杉野安氏執筆による連載です。これまでスギノ・レーシングチームの活動をNC誌にたびたび掲載してきた杉野安氏ですが、このシリーズはレース以外の物事にまつわる話となります。今回のテーマは「ワインの旬」です。全日本実業団の大会で山梨へ行った際に買い求めた葡萄と葡萄ジュースの話から始まりワインのことに及び、パリのレストランのワイン評価表を紹介しています。さらに台湾の紹興酒からスコッチウィスキーの話へと広がっていきます。最後は食の話で、名古屋の店で食べたふぐの寿司が忘れられないと締めくくっています。

「NCサロン」は、自転車に関する各種の情報や読者投稿などを掲載するコーナーです。今回の「INFORMATION」は、サイクリングキャンプ講習会の開催案内です。「LETTER TO EDITOR」は、前月号の「奥多摩走り旅」を読んだ読者からの便りと、「サイクリングヤマト便」に関する問い合わせと編集部の回答を紹介しています。

1989年3月号の裏表紙広告は、ブリヂストンサイクル「レイダック・テーラーメイド」でした。

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