ニューサイクリング 1989年4月号(No.297)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1989年4月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1989年4月号は、通巻297号です。

カラーの口絵は、「魔物について」「2th ハンドメイドバイシクルフェア」「ワンショット 春の遅い高原」です。

297号の目次をページ順に追うと、

 16 スポーツサイクリング車宣言 新しいツーリング車CATの実像

 26 春の新車ディスプレイ VELO AUX PRINTEMPS '89

 36 ニューパスハンティング オール舗装快走コース 奥久慈構造谷を走る

 42 NCヌーベル トゥーリズム ジャポン ロードレーサーライクなオンロード・バージョン

 46 曽爾高原 気軽に出かけたワンデイ・サイクリング

 56 私をとらえる魔物について

 68 僕たちが運営する自転車レース 観客を楽しませるレース作りと運営のノウハウを多くの人の手に

 75 僕たちが運営する自転車レース シクロクロス・ミーティング第3戦を運営した僕達の実感

 80 忘れえぬ旅 清流と猪鍋と汽車ポッポ

 89 モノディスプレイ

 90 NCサロン

 94 ニューパスハンティング実走レポート

 98 杉野 安の舌万歩計から 月に吠える

104 気になる風景 花の下

となっています。

主な記事を以下にご紹介します。

「スポーツサイクリング車宣言 新しいツーリング車CATの実像」は、700Cホイールを装着したオールテライン(AT)自転車を指した、当時「CAT」と呼ばれた車種を取り上げた特集記事です。ここではCATという車種の詳細な解説と、「NCヌーベル トゥーリズム ジャポン」で製作したペガサスのオールテラインランドナー(ATR)もCATという呼称に改めるなど、車種体系についても言及しています。

「春の新車ディスプレイ VELO AUX PRINTEMPS '89」は、マスプロメーカー各社の新車紹介です。取り上げられているメーカーは「新家工業」「ブリヂストンサイクル」「丸石自転車」「松下電器産業・自転車事業部」「宮田工業」で、主な車種はMTB、ATB、ロードレーサーとなっています。記事では同時に、今井編集長による当時の自転車界の動向についての解説も掲載されています。

「ニューパスハンティング」は、林道や峠を主体に地図や写真を多数掲載して案内しているコースガイド企画の連載です。今回は「オール舗装快走コース 奥久慈構造谷を走る」と題し、棚倉破砕帯に沿った谷あいの道を紹介しています。コースは棚倉駅をスタートし、国道や県道を走って南下していきます。山深くなったあたりで県境となるピーク、さらに境の明神峠をパス、あとはずっと下って水戸駅に至る93kmです。

「実走NCオールテラインランドナー4」は前年の8月に始まった企画「NCヌーベル トゥーリズム ジャポン」で製作したペガサスのオールテラインランドナーの実走レポートを伝える連載です。今回は「ロードレーサーライクなオンロード・バージョン」と題し、仕様はスポルティーフバージョンと同じドロップハンドル、チューブラーホイールで、マッドガードははずしています。加えてフォークをオフセット58mmのものから48mmのものに変更しています。これによりハンドリングはよりクイックなものになったといいます。走りについては、太めのチューブラータイヤとソフトなフレームのおかげでマイルドな乗り心地ですが、ダンシングの際はパワーロスを感じるといいます。当時のロードレーサーはピストレーサーに近づいているようだが、サイクリング用ロードレーサーというものも必要なのではないかと提案しています。

「曽爾高原 気軽に出かけたワンデイ・サイクリング」は、筆者が同じく三重県に帰省中の輪友から誘われて奈良へサイクリングに出かけた紀行文です。移動の途中駅で合流した二人は名張駅からサイクリングをスタートします。青蓮寺ダムを経由して曽爾村へ入り室生火山群を巡ってお亀池に立ち寄り、国道へ出ます。国道を行く途中で先の行程について話し合い、走れるだけ走るとなりますが、最終的には家まで夜道を走りとおすこととなってしまいます。

「私をとらえる魔物について」は、'85年開始の連載企画です。「愛好家にとって自転車は魔物のようなものだろう」という一文で始まるこの企画は、オーナーにとって、そして読者にとっても魔物といえる自転車を紹介しています。今回は、奇術師の方がオーナーのレベルのクルスルートが登場しています。NC誌メカニカルアドバイザー新田眞志氏による解説は「塗装によるカラーリング部品のコーディネイトについて」です。

「僕たちが運営する自転車レース 観客を楽しませるレース作りと運営のノウハウを多くの人の手に」は、長野県サイクルスポーツ発展協力者会の活動について取材した記事です。会主催者の基本理念と行動や、レース運営のことについて聞いています。また、レース運営のマニュアル作りとその伝搬、そこから得られたことも語ってもらっています

「僕たちが運営する自転車レース シクロクロス・ミーティング第3戦を運営した僕達の実感」は、長野県サイクルスポーツ発展協力者会からレース運営を託された大学生による、レース運営レポートです。

「忘れえぬ旅 清流と猪鍋と汽車ポッポ」は、長谷川弘氏が輪友とともに恒例の正月サイクリングを行った時の紀行文です。初日は都内から輪行移動した静岡駅で自転車を組み立てた時はすでに薄暮で、駅からそう遠くない宿までの移動で終わります。翌日は富士見峠を越えて寸又峡温泉まで行く予定ですが、夕暮れが近くなったので井川からは輪行して宿に最寄りの奥泉駅まで行き、さらに宿に迎えを頼み投宿します。翌朝は峡谷見物をした後に林道を走って千頭へ向かいます。千頭で休憩を取った後は、大井川沿いに金谷まで、さらに小夜の中山を越えて法泉寺温泉まで走ります。最終日は海沿いを御前崎を目指して走り、雨が降り出してきた焼津で旅を終えることとしました。

「モノディスプレイ」は、新製品情報のコーナーです。今月号は、アラヤ「RM-17」、ソローニュ「GB-2086」「GB-2286」「GB-2586」「GB-2886」「GB-187」「GB-587」「GB1500」「GB367」「GB372」「GB786」「GB988」「GB888」「GB788」等を紹介しています。

「NCサロン」は、自転車に関する各種の情報や読者投稿などを掲載するコーナーです。今回の「INFORMATION」は、アイデア自転車の募集告知、ツーリングイベント2件の案内が掲載されています。「LETTER TO EDITOR」には、ハンドメイドバイシクルフェアに対する意見・要望が寄せられています。

「ニューパスハンティング実走レポート」は、読者による実走レポートです。今回は、'88年6月号で紹介された「広域基幹林道 越前2号線」の実走レポートが寄せられています。

「杉野安の舌万歩計から」は、杉野安氏執筆による連載です。これまでスギノ・レーシングチームの活動をNC誌にたびたび掲載してきた杉野安氏ですが、このシリーズはレース以外の物事にまつわる話となります。今回のテーマは「月に吠える」です。筆者が購入した書籍、萩原朔太郎の月に吠えるの復刻版がフランス綴じであったことから、話はフランス文学そしてフランスの自転車へと移っていきます。筆者は加藤一氏の案内で行ったパリサロンで、ルネ・エルスを初めて見ます。総ての展示車の中で一番きれいだったと感想を述べています。話は飛んで、月に吠えると一緒に買い求めた宮沢賢治の注文の多い料理店の内容に、そして料理繋がりで金沢で味わった蟹その他海鮮の味わいの話。さらに味わい繋がりで食べ物から自転車のデザインや芸術の話題にまでおよんでいきます。

「気になる風景」は、筆者の気になるコトやモノについて思ったことを綴っている随想の連載です。今回は「花の下」と題して、枝垂木の下での連歌について語っています。

1989年4月号の裏表紙広告は、ブリヂストンサイクル「レイダック・テーラーメイド」でした。

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