ニューサイクリング 1963年3月号(No.3)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1963年3月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1963年月号は、創刊3号です。
この号の表紙は「壁掛けのだるま自転車」です。
創刊3号の目次をページ順に追うと、
口絵 八ツ岳山麓を訪れる
5 サイクリング入門特集 わかりやすいサイクリング読本〈初心者のために〉
7 (1)サイクリングとは何だろうか・・・サイクリングの本質と根本的な考え方
9 (2)サイクリングのやり方は?・・・・・・サイクリングの内容的な一応の区別
11 【MEMO】サイクリングの歴史
12 (3)スポーツ用具としての自転車・・・・・機能と性能から自転車を考える
13 【MEMO】サイクリング用車の車種
16 (4)服装はどんなものがいいだろうか・・・具体的なものをあげて
17 (5)サイクリングに持っていくもの・・・・携行品のいろいろについて
18 (6)サイクリングコースの考え方・・・・・プランニングからその考え方まで
20 (7)自転車の正しい乗り方と扱い方・・・・いろいろのテクニックの基本動作など
24 (8)サイクリングを面白くする知識・・・・マップリーディングから交通法規など
26 (9)楽に走るための自転車のプラン・・・・改造、2台目のオーダーなど
28 (10)サイクリングにはこんな仲間が・・・サイクリング協会 クラブのこと
30 (11)自転車を使う遊びのいろいろ・・・・ゲーム、コーラスのこと
32 (12)長距離の自転車旅行について・・・・無銭旅行その他のこと
34 フランス製品の輸出カタログ『Frexa/フレクサ』11社にのぼる解説
41 第3回CSCゼミナールレポ・サイクリング自転車優良店研修会
42 『北海道・サロベツ原野』(大学のクラブ活動報告から)
50 『アマゾンジャングル』(続)
60 思い出物語・私のサイクリング1年生のころ
80 自転車レース・エッセイ『東京オリンピックが近かづいた』
86 サイクリング界の動き『サイクリング少年団をつくるには』
86 『岐阜に初声をあげたサイクリング少年団』
88 自転車百科事典『エンサイクルペジアヤポニカ』(タ~テ)
92 新製品ガイド
94 サイクリング協会とクラブのページ
98 『交換案内』
100 パニアバッグ(読者サロン)
102 編集後記
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
「サイクリング入門特集」
※目次では掲載ページが5ページとなっていますが、5ページは目次のページで本文は6ページから掲載されています。
「特集 サイクリング入門講座 わかりやすいサイクリング読本 初心者への、わかりやすいサイクリングの話」
この特集は、これからサイクリングを始めてみようと思っている人のために、その初歩からわかりやすく、主に考え方を中心に説明したものです。その内容は、次ページ以降12項目に分けて掲載しています。この特集をよく読んで理解し、回り道をしないサイクリングを始めてもらいたい。また、ここに書かれていることはほんの初歩の事なので、これから先の事は各自が研究したり、考えたりして本当のサイクリングの面白みをわかってもらいたいとしています。
「1 サイクリングとは何だろうか」
特集の内容その1で、サイクリングの本質と考え方を述べています。ここでは「サイクリング」を、普段使いの実用的な使い方ではなく、遊びのため、気分転換のため、旅行のためなどに使う、狭い意味で自転車に乗ることと定義しています。そして、サイクリングの楽しさはスピード感、自然の中にひたり切って行く喜び、肉体を使う喜びなど。これらがサイクリングの本質だと説いています。
「2 どんなやり方があるだろうか」
特集の内容その2で、サイクリングの内容的な種類について述べています。サイクリングは他のスポーツのようにルールがあって、それに従ってやらないと成り立たないものではありません。ここでは一応の区分けとして、散歩的な「ポタリング」、朝から夕方まで一日に70kmから100km超の距離を走る「ラン」、1泊以上の「ツーリング」、キャンプ道具を持って旅する「サイクルキャンピング」と分けてその内容を解説しています。
「サイクリングの歴史」
特集に中にあるコラム記事です。明治初期に自転車が輸入された頃からの、日本のサイクリングの歴史を紹介しています。
「3 スポーツ用具としての自転車」
特集の内容その3で、機能や性能から考えたサイクリング用自転車について述べています。当時の自転車は実用車がそのほとんどを占めており、これでサイクリングをすることはトラックでドライブに出かけるようなものだと例えています。サイクリングをスポーツの一つととらえるならば、サイクリング用車はスポーツ用具の一つとして考えるべきとして、サイクリング用車としての要件や車種について説明。そして、サイクリング車を買うにあたって注意すべき点などを解説しています。
「サイクリング用車の車種」
特集に中にあるコラム記事です。ここでは用途や走り方によって6種類のものがあるとして「サイクリング用にも使える軽快車」「一般用のサイクリング車」「小旅行用」「本格的な旅行用」「サイクルキャンピング用」「タンデム」を挙げています。
「4 服装はどんなものがいいだろうか」
特集の内容その4で、サイクリング用の服装について具体的な例を挙げて説明しています。当時はサイクリングウェアが普及する前のようで、普段着のままでも少し工夫すればよい、服装選びはあなたのセンス次第としています。具体的には自転車の車体色に合わせる、また当時のサイクリストの例として、上は半袖のシャツに軽いセーター、オープンの長袖シャツにブレザーコートなど、下はショーツに白のソックスかニッカ―ホースなどを挙げています。
「5 サイクリングに持っていくもの」
特集の内容その5で、携行品について述べています。サイクリングには自転車に取り付けるタイプのバッグを使用する。食べ物は主食になるものとともに、ビスケットなどの間食も用意すると良いとしています。バッグの使い方は、工具類はサイドポケットへ、雨具や着替えは底の方に置き、地図や食べ物などよく出し入れする物はバッグのふたを開けて取り出しやすい位置に入れます。そして、この当時ではカメラはバッグに入れると機構が痛みやすいのでなるべく避け、肩ひもで上半身に斜めにかけるのが最も安全な方法としています。
「6 サイクリングコースの考え方」
特集の内容その6で、プランニングなどのことについて述べています。まず、サイクリングにはハイキングコースとか登山ルートといったような決められたものは無い。道があるところどこでもサイクリングコースだとしています。しかし、初心者には新聞などに載っているコース例は手引きとして役に立ちます。まずはコース例を走ってみて、次には自分なりのコースを考えてみるのも良いとしています。そして次の段階として、自分でコースを作っていくにはどうすればよいかや、プランニングについてのポイントを解説しています。
「7 自転車の正しい乗り方と扱い方」
特集の内容その7で、実際に走るときの正しい乗車姿勢、ペダリング、ブレーキの使い方、変速レバーの使い方について、写真も使って具体的に解説しています。最後には、ロードマンシップとして交通法規に従った走り、道路の左側走行、並走の禁止、後方の確認、右左折時の手信号などに触れています。
「8 サイクリングのための予備知識」
特集の内容その8で、地図の読み方や自転車についてまたそれ以外の知識の必要性について触れています。地図は国土地理院発行の5万分の1地形図が最適としています。地図読みは、地図の上が北であること、縮尺に合わせた距離感をつかむことをポイントとして挙げています。あとは、実際に走って地図を広げて周りの様子を見ることが一番の勉強法としています。他には気象にも強くなること、事故や故障時の対応方法について解説しています。そして、自転車以外のこととして、サイクリングで訪れる場所の歴史や風俗について知識を持って出かけるとより面白いサイクリングになるといっています。
「9 楽に走るための自転車のプラン」
特集の内容その9で、サイクリングに適した自転車についてより専門的な内容を述べています。最初は実用車をサイクリングに適するように改造するプランを紹介していますが、個々の改造は前後ギヤの交換くらいで、他の部品は種々の理由から交換は無理としている箇所がほとんどです。次のプランは二台目の自転車を手に入れるものです。初めは家にある自転車や何んとなしにサイクリング用車を買ってしばらくサイクリングをした後、自分の好みに合った車種の自転車を購入しようという話です。ここではその候補となる車種を「セミツアー車」「ライトロードスター」「クラブモデル」「ツーリングモデル」「オーダーメイド」「その他」に分け、それぞれの特徴を説明しています。
「10 サイクリングにはこんな仲間が・・・」
特集の内容その10で、サイクリング協会やクラブのことについて述べています。サイクリングは一人でも楽しめるが、グループでも違った面白さがあるとしています。当時の日本のサイクリングクラブは、その目的や運営方法が確立していない点はあるが、社交の場として考えるのがよいとしています。そして、クラブに入る前に確認すべきポイントを紹介しています。また、サイクリングの普及や情報提供を目的としたサイクリング協会を取り上げ、連絡先や活用方法を紹介しています。
「11 自転車を使う遊びのいろいろ」
特集の内容その11で、自転車を使って皆が遊ぶゲームを紹介しています。ここでは「タイムトライアル」「スピードジャッジテスト」「ヒルクライム」「遅乗り競争」「障害物競走」「野外ページェント」などを紹介しています。
「12 長距離の自転車旅行について」
特集の内容その12で、日本一周や世界一周などの長距離・長期間のサイクリングについて述べています。当時多かった無銭旅行については、文字通りお金を持たずにぶらりと出かけるものではなく、本当の無銭旅行は周到な準備を整え旅行途中でアルバイトなどをしながら収入を得て生活する。自分の力で旅し、他人頼りにしないことだと説いています。そのうえで長距離旅行のコツ、堅牢な自転車と身体と精神について解説しています。
「フランス国内11社の共同提携による海外輸出グループ『フレクサ』の総合カタログ紹介」
この記事では、「France Export Association(FREXA)」に所属するフランスの自転車部品メーカー11社のうち8社の製品を取り上げて紹介している記事です。最初は「ANGENIEUX」社のCLBブレーキです。ブレーキキャリパーはセンタープルとサイドプルが各2種、カンティブレーキ1種の計5種類と、ブレーキレバーがフーテッドレバー4種とギドネットレバーが1種類、写真と共に製品概要を紹介しています。同様に「HURET」社のアルビー他の外装変速機など、「M.MAILLARD」社のアトム・フリーやノルマンディ・ハブなど、「POUTRAIT-MORIN」社のクリストフ・トークリップやゼファール・インフレーター、「RIGIDA」社のリム、「LAROCHE」社のメフィスト・リムやチューブラーのタイヤ、「ROBERGEL」社のスポーク、「IDEALE」社の各種サドルが取り上げられています。なお、「SEDIS」「SOUBITEZ」「NERVAR」3社の製品は紹介が省略されています。
「第3回CSCゼミナール サイクリング優良店研修会」
「第3回CSCゼミナール」は、サイクリングサービスチェーン(CSC)が加盟店に対して東京で開催した定期ゼミナールの開催報告です。
「サイクリング優良店研修会」は、西日本サイクリング協議会が小売店に対して行っている講習会を受けた人を対象にした特別研修会実施の報告です。兵庫県の宝塚で開かれた研修会には約90人が参加し、今後は優良店として活動することになります。
「北海道 サロベツ原野 15泊16日の夏期ツーリングレポート(上)」
このレポートは、北海道大学サイクリングクラブが8月に行った、札幌を出発して道北を巡る長距離ツーリングの記録です。出発前日に参加者全員が集まりますが、当初17名を予定したが10名となっていました。これは帰省で道外へ出たものが台風の影響などで戻ってこれなかったためです。ツーリングは予定通り行われ、初日は札幌から雨滝、二日目は雨滝から留萌、三日目は留萌から遠別、四日目は遠別から稚内と、二日目の55kmを別にすると毎日概ね100km前後移動しています。稚内に到着した翌日は休養日です。稚内を出発した日は鬼志別まで、翌日は鬼志別から枝幸まで、レポート前半の最後となる7日目は枝幸から興部まで、稚内以降は1日当たり70km走っています。このツーリングでは学生という事もあってか、宿泊は町の公民館や小学校などの公共施設を利用して宿泊しています。
「アマゾンジャングル(続)」
これは、西ドイツ生まれの筆者が、世界一周の最中に日本の京都で親しくなった日本人にあてた手紙を掲載したものです。今回の手紙はプヨで総督に会い、筆者がその土地の言葉が話せたため大変打ち解けて夕食に招待されます。そしてもう一つ、本来の目的であるガイド探しを依頼します。総督は一人のガイドを紹介してくれましたが、筆者とガイドとの料金交渉が不調に終わり、結局はガイド無しで行くことに決めます。以下は次号へ続きます。
「特集 ロンドンサイクルショー 国際的に有名なこの展示会に出品された数々の自転車」
目次には出ていませんが、53ページからは前年の11月にイギリスのロンドンで開催された「インターナショナル・サイクル・アンド・モーターサイクルショー」に展示された新型車を紹介しています。掲載されているのは「Royal Enfield」「JACK TAYLOR」「CARLTON」「RALEIGH工業」「TRIUMPH」「Moulton」の各社計7台となっています。
「私のサイクリング1年生のころ」
この記事は今月号の特集で、「先輩サイクリストたちがふりかえった初歩時代の思い出や失敗談」を集めたエッセイ集です。19人の先輩サイクリストが綴った文の題をご紹介すると、「実らなかった決心」「旅とサイクリング」「スピード、スリルそして自由」「破裂したポケット」「自転車と私」「横を向いたハンドル」「なつかしい甲州街道」「クラブライフの楽しみ」「ホコリたかきアイスキャンデー」「湘南アルプスへ散歩」「軽そうな自転車」「変なの?が走ってた」「詩の島と黒い漁師」「狂熱の青春だった」「親父に仕込まれる」「グロッキーの経験」「東京湾をめぐって」「ローソクランプの光」「親、子、そしてパンク」となっています。
※目次では掲載ページが60ページからとなっていますが、実際は58ページから掲載されています。
「自転車競技随想 東京オリンピックが近づいた 極東で初めて開かれるスポーツの祭典に期待して」
この文は高橋長敏氏の執筆によるもので、オリンピックに対した現状を走路と用具に分けて検証しています。まず運営面では、ピストトラックとロードレースコースは開催1年前には完成してほしいと述べています。これはやはり、習熟度の違いが戦績に影響するからだとしています。次に選手やトレーニングについての現状と、今後のトレーニング方法について意見しています。最後に競技の道具、自転車についての考えを述べています。今後国産でも良い部品ができるであろうとしていますが、出来なければ外国製の良い部品を使用しても良いといっています。そして、今欲しい国産部品について具体的に例を挙げています。
※目次では掲載ページが80ページからとなっていますが、実際は76ページから掲載されています。
「サイクリング少年団を私はこう見る(中) サイクリング界の動き サイクリング少年団をつくるために」
この記事は、当時JCAの理事であった山田鉑雄氏による、サイクリング少年団に対する意見を述べたものです。今回は少年団の結成と運営について考察しています。まず、団の成り立ちを二つの型に分けていますが、何れにも親切な大人の奉仕が必要だと説いています。そして、少年団の結成や育成について具体的な内容を説明しています。
※目次では掲載ページが86ページからとなっていますが、実際は82ページから掲載されています。
「岐阜にも初声をあげたサイクリング少年団 全国各地に動きを見せ始めたスポーツ少年団のサイクリング版」
これは12月18日付の中部日本新聞岐阜市民版に載った記事、岐阜サイクリングクラブが近く結成予定のサイクリング少年団の団員募集と、その後を追った取材記事です。申し込みは近隣の中学生から男女合わせて5名の申し込みがあり、3名の問い合わせもありました。年明けには指導者を含む14名が参加して初会合を開いたこと。そして中旬には、犬山までのサイクリングを行ったことと、その道中の出来事を伝えています。
※目次では掲載ページが86ページからとなっていますが、実際は84ページから掲載されています。
「自転車百科事典 エンサイクルペジアヤポニカ 《タ~テ》」
『エンサイクルペジアヤポニカ』は、過去「サイクル」誌に掲載されていたものを、同誌廃刊に伴い、ニューサイクリング誌に続きを掲載することになったものです。筆者は当時、大学の図書館勤務で、仕事の傍ら自転車関係の資料を収集していた方です。取り上げられている語句は、自転車に関する用語・書籍・映画と広範囲で、今回は「タ~テ」までとなっています。
※目次では掲載ページが88ページからとなっていますが、実際は86ページから掲載されています。
「新製品ガイド」
今回は、東京ブレーキの従来とはピボテッドブロック(アウターの受部)の位置が逆のサイドプルブレーキ、三ヶ島の本格的レース用ペダル「ユニーク」、三光舎が試作している新型パンタグラフ式ディレイラー、前田鉄工の5段フリー、吉貝のロッド式フロントディレイラーなどを紹介しています。完成車では、東京サイクリングセンターがカンティレバーブレーキ付きの新車発表の予定、光風自転車の「ケンコーK300型」と輸出用10段変速付試作車、アルプスの「ニューエコー」が取り上げられています。
※目次では掲載ページが92ページからとなっていますが、実際は90ページから掲載されています。
「協会とクラブのページ」
このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は創刊号で紹介した女子高のクラブが正式なクラブに学校から認められたとの報告が届いています。他には港サイクリングクラブの会報が100号に近づいたことや、サイクリング協会の活動についての意見交換会が開かれたこと他、各地のクラブからの情報が掲載されています。そして、自転車工業会の変速機部会とは別に、変速機とそれに関連するメーカーによって変速機協会が発足したというニュースがあります。発足時のメンバーは、前田鉄工、杉野鉄工、吉貝機械金属、大同工業、島野工業です。
※目次では掲載ページが94ページからとなっていますが、実際は92ページから掲載されています。
「交換案内」
自転車や部品の売りたし買いたしのコーナーです。売りたしのコーナーには完成車として、ワンダーフォーゲル、ケンコー、サンノー、BS、エバレストなどが出ています。
※目次では掲載ページが98ページとなっていますが、実際は96ページに掲載されています。
「パニアバッグ」
このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号はサイクリング車の組み立て、ホイール組とダイナモの取付方、変速機の取付に関する質問が届いています。また、東京サイクリングセンターへ行き、自身でフレーム交換を行った話が寄せられています。他にも各地からのサイクリング事情などが報告されています。
※目次では掲載ページが100ページからとなっていますが、実際は98ページから掲載されています。
1963年3月号の裏表紙広告は、ナショナル自転車「ゴールデンタイヤを全機種に」でした。
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