ニューサイクリング 1963年4月号(No.4)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1963年4月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1963年4月号は、第4号です。
この号の表紙は「洛北百井峠にて」です。
第4号の目次をページ順に追うと、
口絵 63全国ニューサイクルフェアーから サイクリング風景
6 特集・春を楽しむサイクリングコースガイド
8 雄大な景色に富む ー熊本県ー
11 全県公園といえる ー香川県ー
12 初冬の塩尻峠
13 天城の峠路
14 田口峠の悪路
15 素晴らしい鳴門の潮 ー徳島県ー
16 中部山岳地帯へ挑む ー岐阜県ー
16 苦しかった御前山
17 佐渡への旅
20 秘境へのあこがれ ー富山県ー
21 冬の湘南海岸
22 名所旧蹟のメッカ ー愛知県ー
22 記念すべきナイトラン
23 いろは坂と奥日光
24 温暖な気候と風土 ー静岡県ー
26 文明開化発生の地 ー神奈川県ー
27 朝霧高原の富士
28 千年の歴史を彩る ー京都府ー
32 街道を外れた所に ー東京都ー
33 東京ー札幌ツアー
34 初めてのクライミング
36 武蔵野の一角
38 マップリーディング ー地図は読むものである
40 大きな地図を小さくたたむ方法
44 コースのお誘い 伊豆大島一周道路/フェリボートで房総へ
48 自転車を汽車で送る
57 交換案内
58 ツーリング記 サロベツ原野(下)
64 初心者のために ーブレーキとリムの調整ー
66 よみもの ゴールは保土谷だ
68 自転車競技随想
74 自転車百科事典『エンサイクルペディヤ・ヤポニカ』(つづき)
78 新しい自転車モールトンとはこんな車
80 サイクリング少年団の組織
82 新製品ガイド
86 サイクリング東西南北
92 パニアーバッグ
96 編集後記
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
「特集 春を楽しむ・・・《サイクリングコース》ガイド」
今月号の特集記事で、全国各地のサイクリング協会およびサイクリングクラブの協力によって、モデルコースを複数紹介しています。
「熊本県 雄大な景色に富む」
県内のコースを「家族向き」「初心者向き」「健脚向き」の3つに分けて計18コースを紹介しています。
「香川県 全県公園といえる」
どこでも初級、中級向きとなるとして、「高松起点で高松に帰るコース」「丸亀を起点にしたコース」「善通寺を起点にしたコース」「琴平を中心としたコース」「小豆島コース」を紹介しています。
「初冬の塩尻峠」
特集記事の中にちりばめられた「忘れられないコース」と題した企画の囲み記事で、読者によるサイクリング紀行の短文投稿。冬の平日、塩尻の町を出て塩尻峠そして御野立公園へ登った話です。
「天城の峠路」
特集記事の中にちりばめられた「忘れられないコース」と題した企画の囲み記事で、読者によるサイクリング紀行の短文投稿。前年の10月に社内旅行の折り、仲間3人で天城路を走った感想です。
「田口峠の悪路」
特集記事の中にちりばめられた「忘れられないコース」と題した企画の囲み記事で、読者によるサイクリング紀行の短文投稿。ある年の秋に行政は長野県の管轄で、経済は群馬県に依存している集落を訪れた際の、峠が上から下まですべて担ぎで翌日会社に行かれなくなったと電報を打つ羽目になったという話です。
「徳島県 素晴らしい鳴門の潮」
徳島市を中心としたコース選択で、日帰りできる「鳴門コース」「大阪峠コース」「徳円寺コース」「眉山コース」「五滝コース」「土柱コース」、宿泊が必要な「太滝寺山コース」「蒲生田崎コース」「大歩危コース」「轟の滝コース」を紹介しています。
「岐阜県 中部山岳地帯へ挑む」
岐阜市を中心にしたモデルコースを、初級向け3件、中級向け8件・本格的コースを6件の計17コースを紹介しています。
「苦しかった御前山」
特集記事の中にちりばめられた「忘れられないコース」と題した企画の囲み記事で、読者によるサイクリング紀行の短文投稿。氷川側から担ぎで挑んだものの一度敗退した御前山に秋川側から再挑戦に挑み、何とか登り切った時の話です。
「佐渡への旅」
特集記事の中にちりばめられた「忘れられないコース」と題した企画の囲み記事で、読者によるサイクリング紀行の短文投稿。朝、日本橋を出発して妙技まで、昭和33年に東京・佐渡間を3日間かけて走った交歓ツアーの初日の模様を伝える話です。
「楽しかった木曾路」
目次には掲載されていませんが、18ページにも特集記事の中にちりばめられた「忘れられないコース」と題した企画の囲み記事で、読者によるサイクリング紀行の短文投稿が掲載されています。数年前の5月連休に、NCTC創立五周年記念で上諏訪から木曽路を3日間走った時の思い出話です。
「富山県 秘境へのあこがれ」
景観に恵まれ、ツーリングの醍醐味に事欠かないとして、「滑川、魚津方面」「上市、大岩方面」「大川寺公園と雄山神社」「神通峡」「城山一周コース」「山田温泉コース」「庄川峡コース」「倶利伽羅古戦場と宮島峡」「雨晴海岸と氷見阿尾城跡」「宇奈月温泉と宮崎海岸」の10コースを紹介しています。
「冬の湘南海岸」
特集記事の中にちりばめられた「忘れられないコース」と題した企画の囲み記事で、読者によるサイクリング紀行の短文投稿。夏の喧騒とはうって変わった静寂がある鎌倉、江の島、鵠沼などの海岸を走る話です。
「愛知県 名所旧蹟のメッカ」
県内各地を4つに区分し、初心者向けとして「高蔵寺より古虎渓へ」「森林公園と竜泉寺」「犬山と入鹿池」、一般向けとして「新箱根より蒲郡へ」「形原から三ヶ根山」「香嵐渓、勘八峡」、健脚向けとして「南知多の磯巡り」、一泊向けとして「渥美半島めぐり」「鳳来寺、長篠古戦場」「岩古谷公園」の各コースを紹介しています。
「記念すべきナイトラン」
特集記事の中にちりばめられた「忘れられないコース」と題した企画の囲み記事で、読者によるサイクリング紀行の短文投稿。喧嘩中であった彼女が忘れて行った定期券を届ける為、夜中に40kmほど走って届けに行った思い出話です。そして、これが機縁でヨリを戻すことができたとも。
「いろは坂と奥日光」
特集記事の中にちりばめられた「忘れられないコース」と題した企画の囲み記事で、読者によるサイクリング紀行の短文投稿。数年前の晩秋、懸命に峠道を登ってようやく中禅寺湖にたどり着いた時の思い出を語っています。
「静岡県 温暖な気候と風土」
県内各地を4つに区分し、初心者向けとして「吐月峯・大崩・登呂」「奥山半増坊と井伊ノ谷」、一般向けとして「伊豆西海岸を行く」「御前崎・佐倉ヶ池・牧ノ原」「獅子ヶ鼻と鳥羽山」「浜名湖めぐり」、健脚向けとして「天城山越え」「中部山岳、大井川上流めぐり」「佐久間ダム」、一泊向けとして「富士五湖一周」の計10コースを紹介しています。
「神奈川県 文明開化発生の地」
神奈川県サイクリング協会企画部が選定した、日帰りの「横浜市内巡り」「横浜近郊一周」「古都鎌倉探勝」「釣りを楽しむ」「三ツ池大倉山梅林」「三浦半島一周」「湘南平」「道了尊廻遊」「風光明媚な真鶴岬」「相模湖」の各コースと、一泊二泊の「湘南箱根大観山」「中津渓谷(塩川の湯)」「丹沢ヤビツ峠」コースを紹介しています。
「朝霧高原の富士」
特集記事の中にちりばめられた「忘れられないコース」と題した企画の囲み記事で、読者によるサイクリング紀行の短文投稿。3年ほど前の11月に、泊まり合わせたサイクリストと途中まで一緒に走り、西湖から青木ヶ原を走って沼津まで帰った時の思い出です。
「京都府 千年の歴史を彩る」
NCTCのメンバーが選んだ「嵯峨野散策コース」「京都の東と南 岩屋不動(雲ヶ畑・志明院)」「洛南コース」「天神川(湖南アルプス)」「双輪の醍醐味北山コース(4ルート)」を紹介しています。
「東京都 街道を外れた所に」
編集部と各クラブが選んだ14件「武蔵野の忘れられた古刹 幡随院」「千ヶ尾古墳コース」「滝山城跡コース」「相模コース」「平林寺コース」「登戸コース」「畑峠、名栗溪谷」「榎峠、射山渓」「二ツ塚峠、秋川溪谷」「故峯峠、秋川溪谷」「古利根野田方面」「都内公園めぐり」「安行・野田鷺山方面」「南多摩丘陵」を紹介しています。
「東京・札幌間ツアー」
特集記事の中にちりばめられた「忘れられないコース」と題した企画の囲み記事で、読者によるサイクリング紀行の短文投稿。テーマと違い、記録を整理しているので一番印象に残ったものはないということで、記憶に新しいツアーを挙げています。
「初めてのクライミング」
特集記事の中にちりばめられた「忘れられないコース」と題した企画の囲み記事で、読者によるサイクリング紀行の短文投稿。初夏の頃、奥多摩の大ダワ峠に担ぎで登った時の思い出と、峠に着いた時の感想を語っています。
「武蔵野の一角」
特集記事の中にちりばめられた「忘れられないコース」と題した企画の囲み記事で、読者によるサイクリング紀行の短文投稿。自然を好む筆者が自身で考えた、池袋を出て武蔵野を走り新宿に至る120km程を走った、コースを紹介しています。
「マップリーディング 」
この記事は萩原慎一氏による、サイクリングをする際に必要となるマップリーディングについて解説したものです。冒頭では「地図は読むものであって見るものではない」といっています。使用する地図は地理調査所(注 現国土地理院)の二十万分の一および五万分の一が最も良い。そして等高線や各種記号を理解すること、また磁石も必要だとしています。そして一番大切なことは、方向感を忘れず常に地図と比較して現在位置を確認することだとしています。
「大きな地図を小さくたたむ方法」
地図製作にも携わった経験のある和田文平氏が、ある会合において大きな地図の畳み方についてボーイスカウトからの出席者に聞いた方法が良いということで紹介しています。地形図を例に挙げて、折り方をイラストも交えて説明しています。そして、編集部注として文章だけではわかりにくいとして、編集部へ返信切手と共に地図を送ってこられれば、折って返信しますと案内しています。
「新しいコースのお誘い 黒潮と御神火と椿の島 伊豆大島一周道路 横須賀久里浜からフェリボートで房総半島金谷に渡る」
このコーナーではサイクリングの新たなコースを紹介しています。一つ目はこの年の2月に開通したばかりの大島一周道路です。東京都内の竹芝桟橋から船で7時間、到着した元町港から案内はスタートしています。島の回り方は時計回りが良いようだといっています。元町から岡田港までは完全舗装ですが、その先は砂利道で急な上り下りが続きます。椿の見れる泉津を過ぎ亜熱帯植物が茂る大島自然公園を抜けて南へ向かうと、長い坂が続きます。坂の途中にある樹齢800年といわれる桜株を過ぎると、2月に開通した新道路となります。路面は火山灰系の砂利で、波浮港までの12kmです。波浮から先は上り下りが続きます。一周は52kmで、この案内では朝5時に到着と共に走り始め、その日の午後2時の帰りの船に乗れると案内もしています。
もう一つのコース案内は、東京を出て横浜から久里浜まで走り、そこからフェリーに乗って対岸となる千葉の金谷に渡ります。金谷からは勝山、冨浦を経て館山の那古観音へ案内しています。日帰りの場合はここから折り返し、泊りの場合は木更津から東京へ東京湾を一周するコース、または白浜から鴨川方面へのコースを挙げています。
「自転車を汽車で送る サイクリストの行動半径をひろげて旅を楽しむ方法」
この記事では自分で自転車を持って電車などに乗るいわゆる「輪行」ではなく、国鉄の手荷物扱い所で自転車の受け渡しを行い、自身が自転車を運ばずに目的地の駅まで移動する方法についての説明です。手続きは手荷物扱い所で事前に買った切符に荷札2枚と手数料135円が必要なこと、一列車の制限が5台なので早めに手続したほうが良いとアドバイスしています。また、この制度を利用してのサイクリングのプランニング例を五つ紹介しています。
この記事の後には「輸送の方法と種類」と題して編集部がこの当時に自転車を送る方法「手荷物扱い」「小荷物扱い」「貨物扱い」「トラック便」「持込方法」について個別にその概要と輸送上の注意点を解説しています。そしてその他の方法として、当時、競輪選手と自転車競技連盟に登録されているアマチュア選手のみに許可されていた、自転車を分解して客車の中に持ち込む方法、現在でいう輪行、について解説しています。
「サイクリングの思い出から」
目次では「口絵 サイクリング風景」とでています。本文は53ページから、サイクリング中に撮影した写真が4枚掲載されています。撮影者は今井彬彦氏および山根徳太郎氏です。
「5月1日から交通標識が新しくなります」
当時、英文の入った占領時代のものも含めて標識が乱立していたものを整理して、標識が改正されることを伝えるニュースです。記事では新標識31種類をイラストとともに紹介しています。
「北海道 サロベツ原野 15泊16日の夏期ツーリングレポート(下)」
このレポートは、北海道大学サイクリングクラブが8月に行った札幌を出発して道北を巡る長距離ツーリングの記録です。ツーリング後半は、興部から計呂地までの75km、計呂地から網走までの69km、網走から弟子屈までの86km、弟子屈から和琴までの51km、和琴から留辺蘂までの93km、留辺蘂から上川までの93km、上川から旭川までの53km、ツーリング最終日は旭川から141kmを走って午後6時ごろ札幌に帰着しています。
「サイクリング・メモ 初めて自転車を買ったとき こんなことに注意しよう」
「サイクリング・メモ」は「初心者のために」と銘打った、サイクリングを始めたばかりの人に向けた各種の情報を届けるコーナーです。今回は、ホイールとブレーキの調節について解説しています。まずはホイールを左右にゆすってハブにガタが無いかを確認する。次にリムに触れが無いかを確認し、最後はブレーキキャリパーの取付にゆるみが無いかを確認する。そして、それぞに狂いやゆるみがあった場合のそれぞれの調整方法を説明しています。
「ゴールは保土谷だ」
これは2ページほどの読み物です。主人公は学校の後輩二人と練習がてら東海道へ走りに行きます。ゴールを保土谷に設定し、各々のペースで走りだします。主人公は途中、オートバイと出会い競いながら走ります。ヤマハの2サイクルが追い付いてきたときは、後ろにつくもののすぐに話されてしまいます。ホンダの250と出会ったのは下り、坂が終わるまで競り合います。坂が終わってオートバイは抜きざまに「九十出てましたよ」といって去っていきました。
「自転車競技随想」
この文は高橋長敏氏の執筆によるもので、今回は自転車競技に関する書物、ロードレースや機材について記述しています。当時は自転車競技に関する書物が日本では殆ど出版されてこなかったが、このたびイタリアの選手だった学者の翻訳書が出版されることとなった。このおかげで、オリンピックを前にして本場の解説を知ることができると感謝しています。ロードレースについては、長時間トレーニングの効果に関しての意見と、戦法としてのチームロードレースの走法や先頭交代について解説しています。レース機材のことは、トラックレースの短距離系に使われているブロックチェーンのことと、トラック長距離やロードレースに使われているチェーンについての日本メーカーへの要望。雨天時や暑熱時における、サドルのプラスチック製と革製の差異と優劣についてと、スポークの組み方について考察しています。
「自転車百科事典 エンサイクルペジアヤポニカ 《テ~ト》」
『エンサイクルペジアヤポニカ』は、過去「サイクル」誌に掲載されていたものを、同誌廃刊に伴い、ニューサイクリング誌に続きを掲載することになったものです。筆者は当時、大学の図書館勤務で、仕事の傍ら自転車関係の資料を収集していた方です。取り上げられている語句は、自転車に関する用語・書籍・映画と広範囲で、今回は「テ~ト」までとなっています。
「交換案内」
自転車や部品の売りたし買いたしのコーナーです。売りたしのコーナーにはサンノーの完成車、部品はDNB、三光舎、関東ギヤの物などが出ています。
※目次では掲載ページが57ページとなっていますが、実際は77ページに掲載されています。
「新しいタイプの自転車 モールトンとはこんなもの」
モールトンは、1963年9月に英誌「エンジニアリング」に詳細が発表されました。そして、その抜粋がフランスの自転車雑誌「ル・シクル」誌に掲載されていたので、ニューサイではル・シクルの内容を紹介しています。ここでは、発表された5タイプ「スタンダード」「デラックス」「サファリ」「スピード」「ストアウェイ」のサイド・シルエットと概要が掲載されています。
「サイクリング少年団を私はこう見る(下) サイクリングの新しい組織 指導者のために」
この記事は、当時JCAの理事であった山田鉑雄氏による、サイクリング少年団に対する意見を述べたものです。今回は少年団の指導者について触れています。指導者として必要なのは活発な活動やルール作りだとして、活動プログラムの計画方法や内容案、ルール策定上の注意点などを挙げて解説しています。
「新製品ガイド」
今回は、大日本自転車製のフレーム「DIJET」と、それを使用して東京スポーツが完成車として発売した「COLT」を紹介しています。部品では、3月号でも触れた三ヶ島製作所の「ユニーク」ペダルと、三光舎の新型ディレイラーについて詳しく紹介しています。また、三光舎の外装変速機については、改正された種類名称の一覧表が掲載されています。
「サイクリング東西南北」
このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は最初に「第七回全国サイクリングラリー」の開催要綱(案)が掲載されています。他にも各地のクラブの年度事業計画や会報に掲載されたニュースが紹介されていたり、クラブと活動内容紹介のレターが寄せられています。
「パニアバッグ」
このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号は変速機やロードレーサーに関する質問や要望等10件の投稿が掲載されています。そして、それに対する編集部からのコメントが付けられています。
1963年4月号の裏表紙広告は、城東輪業ワンダーフォーゲル号「スポーツマンデラックス」でした。
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