ニューサイクリング 1964年6月号(No.10)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1964年6月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1964年6月号は、通巻10号です。

この号の表紙は「安乗灯台」です。

通巻10号の目次をページ順に追うと、

口絵 伊勢志摩の旅から

10 特集・サイクリングクラブ サイクリングについての四つの章 クラブのあり方と役割

12 クラブ入会のえらび方

14 クラブの運営と組織

15 クラブ結成のしかた

18 全国サイクリングクラブ総覧

34 カメラ紀行 沖縄一周自転車の旅

54 中級講座 スポーツ車・部品の寸法(2) フレーム構成要素

59 交換案内

64 エッセイ チェンジギヤについて(1)

68 文献紹介 明治時代のサイクリングハンドブック

72 サイクリング東西南北

74 パニアバッグ

となっています。

主な記事の内容を以下にご紹介します。

※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。

「特集・サイクリングクラブ サイクリングについての四つの章 第一章 クラブというもの その役割とあり方」

今月号の巻頭特集で、サイクリングクラブについて考える企画です。第一章は総論的な話です。昭和31年頃にサイクリングブームとなった際は全国で200以上のクラブができたが、組織や運営体制などが確立されなかったために一つも残らなかった。クラブ組織はイギリスで発達したものだが、社交クラブ的な性格を持っている。日本ではそのようなクラブはなかなか根付かないと思うので、日本的なクラブのあり方を考えていく必要があるとしています。


「第二章 クラブのえらび方 良いクラブの見分け方と入会」

特集の第二章は、現在あるクラブに入ろうと考えている人に対してのアドバイスを述べています。まずクラブを選ぶ際は、近所にあるなど地域的なものではなく、会のやり方や雰囲気が自分に合っているかが大きな要素である。その為にはクラブランや会合に1・2回参加させてもらうのがよいとしています。入会するには大抵入会金と会費を先に払うこととなる。すると、クラブのバッジやペナントやワッペンのいずれかは渡してくれる。また、会報を発行しているところは毎回送ってくれる。公式行事はクラブランやミーティングが一般的で、他に会員同士のプライベートな付き合いが出てくるのもクラブの良さです。


「第三章 クラブの運営 ミーティング、クラブランのあり方」

特集の第三章は、クラブの運営についてのアドバイスです。公式行事では主にミーテイングとクラブランがありますが、この二つについて述べています。ミーティングのことは開催場所や会議内容、ミーティングへの進め方について解説しています。クラブランは会員同士の親睦を第一と考えて開催頻度やコース設定をするのがよいとしています。最後に会報について、これはやはり重要な連絡の手段となり、クラブ活動の実際の表れになるとしています。


「第四章 クラブの作り方 設計と方針のたて方」

特集の第四章は、クラブを作るときの順序や方法について説明しています。ここではクラブを作るときに是非考えて欲しいこととして、例えばレースに力を入れているとかツーリングの実施や研究に重きを置いている等、何か特徴を持ったクラブにしてほしいとしています。


「全国サイクリングクラブ総覧」

今月の特集最後の記事で、東北から近畿そして北九州市にある31のサイクリングクラブの情報を掲載しています。


「カメラ紀行 沖縄一周自転車旅行」

これは「カメラ紀行」とあるように、文章とともに写真をふんだんに掲載したサイクルツーリング紀行です。この頃は旅行ブームで沖縄旅行もコースが組まれていましたが、筆者は独自に手続きを進めて旅行準備をします。最初は県庁の海外渡航係に行って沖縄渡航に関する手続きを行い、パスポートに代わる身分証明書の発行を受けるところまでを綴っています。その後は旅の様子、鹿児島出航から沖縄本島の各所と帰りの那覇港出航までの風景を24枚の写真とその説明文で伝えています。


「スポーツ車、部品の寸法 〔第二回〕フレームを構成する寸法要素」

サイクリングの楽しみは走ることはもちろん、自転車そのものをいじることも楽しみの一つです。この企画は主として寸法の面から自転車と部品およびその関連について解説していく連載となります。今回はフレームの寸法について取り上げて、フレーム設計時の要素として「フレームサイズ」「トップチューブ長」「BBハイト(ハンガー下がり)」「フロントセンター」「ホイールベース」「チェンステイ長」「シートアングル」「ヘッドアングル」「オフセット」「トレール」をあげ、それぞれの常識的な寸法とその根拠などを解説しています。


「交換案内」

自転車や部品の売りたし買いたしのコーナーです。当初1ページから始まったこのコーナーも今月号では5ページに増えています。そして、売り物の完成車コーナーを見ても「トーエイスピードマスター」「ホルクススポーツモデル」「エバレストロードレーサー」「ケンコーレコードエース」「片倉シルクスピードマスター」他全16台出ており、趣味としてのサイクリングそしてスポーツ車がだいぶ普及してきている様子が見て取れます。


「さいくりんぐ えっせい チェンジギヤについて(一)」

このエッセイは今井彬彦編集長による連載です。題名はチェンジギアとつけていますが、ここでは理論的なことなどではなく、チェンジギアの機能やメカニズムに筆者なりの興味や憧れがあり、仕事上からの付き合いによって考えさせられることも多いので、気楽な気分で書いてみたいと述べています。初めはチェンジがみな違っているということで、当時編集長が持っていた5台の自転車を紹介しています。一番多く乗るのは旅行車タイプのゴールデンゼファーで15スピード。日常用や散歩用に使っているのが、ローヤルノートンの4スピード。娘と兼用になっているのが、トーエイのミキストフレームのハブギヤ3スピード。息子が乗り回しているのが、アルプスのクラブモデルタイプで6スピード。持ち主がはっきり決まっていない最後の1台は、サンノーのチューブラーで8スピードとなっています。さらに、欲しいものとしてランドナー又はフェデラルの10スピードと12スピードのタンデムをあげています。今回は最初に挙げた15スピードの自転車を取り上げてギヤ比の考察や、皆とサイクリングに出かけた際に4スピードに乗る友人から聞いた話から実走時の15スピードの効果を実感した話などを語っています。そして、今後はフロント3段のミドルをもう少し小さくしてみようという計画を語っています。最後には追記として、この原稿を書いて出張後プライベートでサイクリングに行き、転倒して大腿骨を骨折したため入院して寝返りさえ打てない。連載は病状を見ながら続けると報告しています。


「明治時代のサイクリングハンドブック 解説と紹介」

ここでは明治29年に少年園というところから発行された「自転車術」という本の内容を紹介してます。この頃は自転車に関する用語も確立していなかったので、本書の序文で用語とその説明をしています。一例をご紹介すると「輪」は俗に所謂自転車にして、欧語のサイクル又はシクルに当たる。「乗輪」は自転車に乗りて進行することを云う。又輪行とも云う。などが出ています。この本は全七章からなっており、各章は「第一章 輪の発明並に改良の成績」「第二章 輪の効用説明」「第三章 輪に対する非難」「第四章 輪を通信上に使用の成績」「第五章 輪を軍事用に使用の成績」「第六章 輪の種類及び付属機器並に乗者の服装」「第七章 輪の乗用練習法及び注意要件」となっています。


「サイクリング東西南北」

このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は宮城県サイクリング協会の事業計画と、各地のサイクリングクラブからの情報が届けられています。


1964年6月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士ツアーエイト / 富士ツアーデラックス」でした。

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