ニューサイクリング 1964年9月号(No.11)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1964年9月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1964年9月号は、通巻11号です。

この号の表紙は「秋川渓谷で」です。

通巻11号の目次をページ順に追うと、

口絵 日濠交換自転車競技大会

10 サイクリングの記録 九州縦断自転車旅行

17 サイクリングの記録 TCA高原ラリー参加記

18 JCA・毎日新聞社選定 コースガイドシリーズ(I) 誰にでも楽しめる南多摩丘陵

21 サイクリングの記録 日大クラブ歓迎ラン

22 ロングランをする人のために

27 私のロードレース参加記

32 国体の回顧と近づくオリンピック

47 スポーツ車・部品の寸法(3)

52 いじわるせくしょん

53 サイクリングの記録 江の島鎌倉独走記

53 サイクリングの記録 日立-飯坂往復記

54 サイクリングの記録 京都-東京ツアー記

57 サイクリングの記録 江東区民サイクリング

58 交換案内

66 サイクリング東西南北

68 パニアーバッグ

72 編集後記

となっています。

主な記事の内容を以下にご紹介します。

※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。


「サイクリングの記録 九州縦断自転車旅行」

早稲田大学サイクリングクラブに所属する筆者が他のメンバー3人と共に、小倉から鹿児島まで自転車で旅したツーリング紀行です。初日は先発した筆者一人、翌日は合流してきた二人も加えて部員宅に泊まり、3日目に四人揃ってツーリングに出発します。この日は唐津まで移動して先輩宅に泊まり、翌日は佐世保まで走ってユースホステルに宿泊します。5日目は長崎まで移動してここのユースに二泊し、6日目は長崎観光にあてます。7日目は長崎を出て諫早経由で島原に入ってユースに泊まり、翌日はフェリーで三角に渡って島原を走り、熊本まで行きます。熊本では同行者の叔父宅に二泊して阿蘇山観光を楽しみます。10日目は熊本から人吉へ向かいます。この日は雨だったため、八代から先走ることが困難になりトラックに載せてもらいます。トラックに乗って何とか人吉には到着しますが、自転車はひどい損傷を受けており、1台は走れないほどに。その日はクラブの部員宅に泊めてもらいます。翌日は家人の勧めで人吉にもう一泊することにします。12日目は人吉を出発して霧島方面へ向かい、えびの高原の国民宿舎に投宿します。最終日はえびの高原を後にして霧島国立公園を縦断して林田温泉から牧園町、隼人町を抜けて桜島に至ります。桜島では溶岩道路を走ったあと袴腰港から鹿児島へ渡り、九州縦断の旅を終えています。


「TCA高原ラリーに参加して」

これはTCA(東京サイクリング協会)が企画した、自転車用のトラックと観光バスを利用しての軽井沢ー小諸ー軽井沢ー安中の国道を走るイベントに参加した筆者によるサイクリングレポートです。東京を夜の10時に出発したツアー一行は、軽井沢到着後仮眠をとって6時から自転車を下ろしてクラブ単位で出発します。小諸の懐古園まで走り、また軽井沢まで戻ってから碓氷峠を下って安中までが基本ルートです。筆者のクラブはこのルートを変更して、小諸からは1000メートル道路を走って旧軽井沢を通って見晴台へ抜けるルートを取ります。参加しての感想は、TCAの指導者が募集要項に周辺の情報を紹介していればよかったのではと述べています。


「毎日新聞社 日本サイクリング協会選定 私のすすめるサイクリングコース入選コース」

これは毎日新聞社とJCAが選定した「第一回 神奈川県入選コース」に選ばれた「誰にでも楽しめる南多摩丘陵」コースの紹介です。全行程約40kmの日帰りコースで、スタート地点は中原街道の大綱橋際です。コースの推薦理由は、気ままな、のんびりとした、誰にでも楽しめるコース。農場あり、バーベキューあり、東京都、川崎市の両浄水場、など緑の中に続く多摩丘陵の変化に富んだ、サイクリングならではのコースとしています。コース案内は、コース全体図はありませんが、文章とコマ地図を使って詳細に案内しています。


「日大サイクリング同好会 歓迎ランの記」

筆者が大学に入学した当時、自転車競技の部は有名であったがサイクリングクラブは無かった。そこで翌年、大学にサイクリングクラブを発足させた、立ち上げから初のクラブランをするまでの記録です。当初発起人3人で始め、新入学の時期に会員を募集したところ30名を超えます。そして、会員がどの程度サイクリングを知っているかを測るため定例会もそこそこにクラブランを実施します。結果としては、多少のトラブルがあったものの予期以上の成果をつかんだと確信しました。


「ロングランをする人のために」

長距離の自転車旅行をやりたいという話をよく聞く。が、それを自転車でなければ味わえない喜びを追求するものとして考え、実行してほしいという思いを込めた、アルプス自転車の萩原慎一氏による文章です。

当時、筆者のもとには夏が近づいてくる頃になると日本一周を計画しているので援助を受けたいという手紙が十数通届きます。その全てに返事を出したり、会って話を聞いてみる人もいるが、残念ながら自転車を無銭旅行用の道具、あるいは旅費を節約する為の器材という考えで、自転車に対する知識は皆無の人が多いといいます。そのような人たちを筆者はサイクリストとは呼ばない、一周やさんであるとしています。

次にサイクリストが長期の旅に出発するまでにすべきことを述べています。まず旅の目的を考えること、目的も無しに走るのではあまりにももったいない。そして、旅先の事について予備知識をできる限り仕入れておくこと。その地の気候や風土、風俗や習慣など色々なことを知っているとそこを訪れた時の印象がより強くなり旅の楽しさが増す。1日の走行距離は60kmを平均として5日から1週間に1日は休養とすべきとしています。筆者は旅と旅行は違うといいます。観光や商用など目的地のみが目的であるのが旅行である。旅とは出発までを楽しみ、目的地を、そして帰り途も楽しみ、帰ってその旅の成果の整理をも楽しむものであるとしています。

ロングランでの走り方は、変速機をうまく使ってペダルの回転を一定に保ち、平均して走ることだとしています。長い道のりは早く走って疲れて長く休むより、ゆっくり走って短い休憩を確実に取ってゆく方が結局早いことを銘記しておくべきといっています。最後に、自転車の知識は多く持てば持つに越したことはない。そして、早期修理を心がけるべきとも言っています。


「私のロードレース参加記」

自称ポタリングのお兄さんである筆者。ふとしたことでレースに興味を持ったことから、一般及び高校生あわせて80名が参加するロードレース大会に参加することとなった筆者によるレース参戦記です。


「第十九回国体の回顧と近づくオリンピックについて」

これは新潟県で開催された国民体育大会の自転車競技、トラックとロードレースの高橋長敏氏によるレースレポートです。そしてその後には近づいてきた東京オリンピックに向けた日本の現状について、期待と要望を述べています。


「スポーツ車、部品の寸法 〔第3回〕キャリパーブレーキ」

サイクリングの楽しみは走ることはもちろん、自転車そのものをいじることも楽しみの一つです。この企画は主として寸法の面から自転車と部品およびその関連について解説していく連載となります。今回はブレーキ、特にスポーツ車で使用されているキャリパーブレーキについて取り上げています。最初はサイドプル・センタープルブレーキの寸法と車輪との関係で、使用する車輪の種類やガードと適合するキャリパーのアーチ寸法について表やイラストを用いて解説しています。次はカンティレバーブレーキの特徴は装着に際しての注意点などを述べています。


「サイクリングレポート 江の島鎌倉独走記」

都内に住む中学生がゴールデンウィークの休みを利用して行ったサイクリングのレポートです。朝自宅を出発して国道1号で川崎、横浜、戸塚、藤沢を過ぎ、国道を離れてからは江の島を目指します。さらに、由比ガ浜を進み江の島にたどり着きます。その後は鎌倉の大仏を見物してから帰路につきます。


「サイクリングレポート 日立-福島の温泉郷 飯坂町を往復して」

筆者は輪友とともに3人で五月の連休を利用して、筆者達の住む日立から松島まで2泊3日のツーリングへ出ようと計画を立てます。初日は市内の銀行前に集合して予定通りに出発します。県境を越え矢吹を過ぎて郡山を抜けた先で食事をとります。食後は福島を目指して走り始めますが、一人が腹痛を起こします。運よく知人の運転手が通りがかったので、病人を福島まで運んでもらいます。一行の二人が福島に着くと病人は回復していたので、再び3人で飯坂温泉に向かいます。飯坂温泉で温泉につかった後は雨が降っていましたが、宿泊予定地まで走り知人宅に到着します。翌日は雨になったため、松島行きは断念して飯坂の町を観光して、夜は帰りのコースを検討した後に早めの消灯としました。最終日は天気も晴れ、まずは郡山を目指します。郡山までは全面舗装で順調に進みますが、この先は二級国道で山間に入っていきます。しかし、道中はトラブルもなく順調に平市まで抜け、夕暮れ頃には日立市の出発地点とした銀行前に到着してツーリングを終わります。


「サイクリングレポート 京都-東京ツアー記」

学生である筆者が友人とともに春休みを利用して、京都から実家の東京まで走ったツーリングレポートです。初日は京都を出発して国道1号を行き津を目指しますが、朝から吹雪で鈴鹿峠も越えられそうにないので土山町あたりのお寺に泊めてもらうことにします。翌日は晴れ、途中アクシデントはあったものの峠を越え、亀山から津、松阪を過ぎて伊勢に寄ってから鳥羽まで走って旅館に泊まります。三日目は鳥羽で観光をした後に船で伊良湖へ渡ります。田原街道を走って田原に寄り、さらに豊橋まで行って宿に入ります。翌日は豊橋を出てから浜名湖、藤枝を経由して焼津で食事をした後は静岡まで行って泊まります。五日目は登呂遺跡を見学した後海岸線を走って三保の松原を過ぎ、清水で観光して国道1号線を走り途中で寄ったパン屋さんの好意で泊めてもらえることに。最終日は、予定が遅れているので伊豆半島行は中止にして箱根越えに向かいます。途中で雪が降り出しますが、小田原に降りる頃には雨に変わり、そのまま走って横浜にある友人の姉宅に到着して旅を終えました。


「サイクリングレポート 区民サイクリング」

目次には江東区とありますが、本文内容は墨田区で開催された区民サイクリングで、運営を引き受けた両国サイクリングクラブの市川博保氏による開催報告です。


「交換案内」

自転車や部品の売りたし買いたしのコーナーです。今月号は8ページに渡って掲載されています。完成車多数、部品も三光舎やサンツアー、杉野に交じって、カンパ、ユーレー等外国製品も見られます。


「サイクリング東西南北」

このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は協会・クラブの情報、他に日本橋高島屋で「ニューサイクルフェア」が、石川県の金沢でも自転車展が開催されたことを伝えています。


「パニアバッグ」

このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号は、読者からの質問が多数寄せられてます。


1964年9月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士ツアーエイト / 富士オールランダー」でした。

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