ニューサイクリング 1965年4月号(No.13)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1965年4月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1965年4月号は、通巻13号です。
この号の表紙は「東京の街角で」です。
通巻13号の目次をページ順に追うと、
口絵 SALON DU CYCLE '64
14 サロン・ド・パリを見る
16 連載講座 誰でも出来るスポーツ車のメンテナンス(1) パンク修理(1)WOタイヤ
22 連載講座 スポーツ車・部品の寸法(5) チェンライン(1)
29 エッセイ ギヤ比について
30 カタログ紹介 サイクロ社 工具
34 コースガイド 平林寺・狭山湖コース
37 サイクリングレポート JASCAの初詣で
38 サイクリングレポート 定峰峠・長瀞サイクル
39 サイクリングレポート 三浦半島を走る
40 サイクリングレポート 柏原、一茶の旧蹟を訪ねる
64 サイクリング東西南北
67 いじわるせくしょん
68 パニアーバッグ
75 新刊紹介
76 編集後記
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
「パリショウを見る」
この記事は鳥山新一氏による、1964年の10月に開催されたサロン・ド・パリの視察記です。この展示会は自転車の他、自動車、オートバイ、モペットが展示されています。この頃のフランスは、自転車人口が1955年の1200万人から1964年には700万人へと激減した影響を反映して出展社は合併したメーカーが多くなっていたり、オーダーメイドのメーカーが極端に少ないという事です。特に高級ツーリング用車はルネルスのみだったようです。また、このショーは消費者向けに開催される日本の展示会と違い、当時のヨーロッパ諸国のショーは元来が商取引の場として考えられているため、一般消費者に向けたカタログや価格表は日本のショーとは比較にならないほど少なかったという事です。その一端が伺えるのが写真が掲載されているストロングライトのブースで、部品の展示は一つもなくカタログも置いていないで、商談用の設備があるのみです。
「誰でも出来るスポーツ車のメンテナンス 第1回 パンク修理 (A)W・Oタイヤ」
これは今月号から始まった連載講座で、横尾双輪館の横尾明氏の執筆によるものです。今回はワイヤードオン(WO)タイヤのパンク修理についてです。最初は、修理以前にパンクの約50%は空気が充分に入っていなかったことが原因なので、タイヤの空気圧を適正にしていればパンクの回数は半分に減るはずだといっています。次に基礎知識として、タイヤサイズ、タイヤの種類、チューブ、バルブ、インフレーター、アダプター、パンク修理道具について簡単に説明しています。パンク修理法については、前半の基礎知識を理解していることを前提に、写真も使用しながら修理手順を解説しています。
「スポーツ車、部品の寸法 〔第5回〕チェーンラインについて(1)ハンガー部分」
サイクリングの楽しみは走ることはもちろん、自転車そのものをいじることも楽しみの一つです。この企画は主として寸法の面から自転車と部品およびその関連について解説していく連載となります。今回はチェーンラインについてで、特にハンガ部分を中心に取り上げています。まずハンガ幅について、当時の日本には様々なサイズがあったようですが、スポーツ車の主流は68ミリまたは70ミリで、この頃は70ミリが多く使われているとされています。次にシャフトについてですが、これはJISで規定されているものの実際はメーカー独自のものがあったりして、当時の日本では100種類を超えるほどの種類があるのではといっています。ハンガ小物もシャフトと同様で、各種の寸法があります。これはJISの規格にワンの厚みが規定されていないという不備にもあると筆者は言っています。
「私のスポーツ車選択 ギヤ比について」
ここでは筆者の考えるサイクリング購入のポイントを述べています。筆者はそのポイントはギヤ比にあるといって、自転車遍歴を特にギヤ比に注目して触れています。最初の内装3段から始まって色々と資料を見て検討を繰り返し、最終的にアルプスのグリーンキャップを購入。これは8段変速で、調子は極めて良好であり本当に愛車というのがぴったりするといって話を締めくくっいます。
「カタログ紹介 サイクロ 工具 イギリス」
サイクロ社はベネルックスのディレイラーやフリーなどでよく知られているイギリスのメーカーですが、ここでは自転車用の工具カタログを取り上げています。カタログの表紙にはサイズは全てインチサイズだとありますので、日本のスポーツ車には合わないものもあるようです。最初に紹介されているのは線引き工具で、これはフレームや泥除けなどに飾り線を入れるためのもので、線の太さも数種類用意されています。他にはスポークにネジを立てる工具、フレームやフォークなどに使用するカッター、タップ、リーマーの類やフリーに使用する工具などが各種紹介されています。
「毎日新聞社 日本サイクリング協会選定 私のすすめるサイクリングコース入選コース」
これは毎日新聞社とJCAが選定したサイクリングコースの紹介企画ページです。第3回は「埼玉県入選コース」に選ばれた「平林寺・狭山湖コース」の紹介です。全行程約73kmの日帰りコースで、スタート地点は池袋駅のロータリー。案内に全体図はありませんが、川越街道から平林寺、志木街道から所沢、狭山と進み多摩湖を半周して西武園、東村山、久留米、田無を経由して富士街道を通って練馬から池袋へ帰ってくるコースです。コースは文章とコマ地図を使って案内しています。
「サイクリングレポート JASCAの初詣で」
正月の二日、前田鉄工所の庭に集合したジャスカの会員会社の社長や社員とその家族総勢30名で奈良の法隆寺へ初詣サイクリングに出た道中記です。筆者は皆と出発したものの、途中松下の工場前で休むはずが筆者はそのまま進んでしまいます。はぐれた筆者は一人で奈良を目指しますが、途中休憩している所で後から来た本体と無事合流。その後は順調に法隆寺に到着し、記念撮影と昼食をとって帰途につきました。
「サイクリングレポート 定峰峠・長瀞サイクル」
中学生の筆者は朝、友人と共に群馬の自宅を出発し定峰峠を目指します。深谷、寄居を経由して落合から定峰への上りにかかります。筆者の自転車には変速機がないため、乗ったり押したりしながらなんとか峠にたどり着きます。峠では休みを取らず、峠の下の店まで一気に下って、その店でサイダーとジュースを飲みます。休憩後はノンストップで長瀞まで走って、ここで昼食。昼食後は長瀞を見物したあと帰路につきました。
「サイクリングレポート 三浦半島を走る」
筆者は輪友と共に9人で深夜2時過ぎに北本を出発し、1台も車が通らない中仙道を走って戸田経由で竹芝桟橋まで走ります。ここからは船に乗って勝山へ渡り、金谷まで走ったあとまた船に乗って久里浜へ渡ります。そこから城ヶ島へ向かい、灯台近くにテントを張ってその日はカレーの夕食後早めに寝ます。翌日も同じところに泊まるので、入江で遊んだり油壷へ見学に行ってボートに乗ったり水族館に入ったりして城ヶ島へ戻り休みます。最終日は城ヶ島から逗子を経由して途中昼寝したり、東京へ入ってからも長い休憩を取りながら城ヶ島を出た翌日の昼過ぎに北本へ着いています。
「サイクリングレポート 柏原、一茶の旧蹟を訪ねて」
長野に住む筆者が、野尻湖へ日帰りサイクリングに行った報告です。途中に寄った一茶記念館での写真を紹介しています。
目次にはありませんが、54ページから「PRページ」が掲載されています。今回取り上げているのは光風自転車の「ケンコースポーツカタログ」、三ヶ島製作所の「三ヶ島ペダルカタログ」、宮田工業の「ミヤタ自転車カタログ」、前田鉄工所の「グランプリカタログ」、「ジャスカ総合カタログ」、松下電器の「ナショナルスポーツ車カタログ」のカタログ各種があります。その他に、サイクル時報社が毎年出版している「関東輪界電話便覧」と、極東製作所発行の「サイクリング教室パンフレット」も紹介しています。
目次にはありませんが、56ページからは「交換案内」が掲載されています。今回も売りたし買いたしが合計8ページに割った掲載されており、活況を呈しています。
「サイクリング東西南北」
このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は各クラブからの情報の他、JCA中央講習会と東日本学生リーダー講習会の案内が掲載されています。また、この年度はJCAが指導普及用としてサイクリング用車を200台購入するが、規格を決めて発注することとなったというニュースが掲載されています。
「パニアバッグ」
このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号は、前月号で読者から質問があって編集部が詳細不明と回答していた「マルハフレーム」について、別の読者から情報が寄せられています。質問では「ラウターワッサーバー」「ブルックス10号」「ダウンヒルレバー」とはどのようなものかといったものが寄せられています。
「新刊紹介」
今回の新刊はフランスの「CYCLISME(シクリスム)」を取り上げています。内容は入門者向きの簡単な知識や手続きなどが多く載っています。
1965年4月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士レッツゴーセール」でした。
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