ニューサイクリング 1965年11月号(No.18)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1965年11月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1965年11月号は、通巻18号です。
この号の表紙は「交通博物館で」です。
通巻18号の目次をページ順に追うと、
口絵 第20回国民体育大会 自転車
18 特集 スポーツ車の部品を見る 第1回チェンジギヤ
31 いじわるせくしょん
32 私の見たヨーロッパの自転車工場
36 カタログ紹介「ミルレモ」
42 誰でも出来るスポーツ車のメンテナンス
45 新製品メモ
46 私のヨーロッパ駆け歩き
64 サイクルレース 第4回全国都道府県対抗チームロードレース
66 サイクルレース 第6回東京都社会人対抗ロードレース
66 サイクルレース オリンピック合宿所を訪ねて
68 サイクルレース 第14回東北一周レース(記録)
70 サイクリングレポート 富士山へ自転車を
71 サイクリングレポート 中山晋平の生家をたずねて
72 サイクリングレポート オロフレ峠登頂記
74 サイクリング 東西南北
78 パニア―バック
80 外誌紹介
81 交換案内
88 編集後記 代理部だより
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
「特集 スポーツ車の部品を見る その1 チェンジギヤ」
今月号の特集で、当時のチェンジギア、一般に変速機といわれているものの傾向とその状況を編集部でまとめたものです。最初は「チェンジギアのことばと分類」として、当時あった変速機を機構上、取付場所、作動方法等の視点から分類するとともに、過去にあったものについて紹介しています。次に「チェンジギア小史」として簡単に歴史を振り返っています。以降は「リヤーディレイラー」「フロントディレイラー」「レバー・ワイヤー・その他」「ハブギヤ」と分けて、当時の製品写真もふんだんに使用して各方式の特徴や、メーカー・製品ごとの違いについて説明しています。特にディレイラー変化時期にあったためか、リアは「トッグルチェン式」「カム式」「ヘリコイド式」のスライドシャフトタイプにパンタグラフタイプ、フロントはスライドシャフトタイプ、スイングアームタイプ、パンタグラフタイプと多様な形式のものが紹介されています。
「私の見たヨーロッパの自転車工場」
この文は「杉野安 ペンとカメラ」と称した、当時の杉野鉄工所の社長であった杉野安氏による海外見聞録です。今回は「チネリー社のことなど」と題して、イタリアのチネリ社を訪問した話です。筆者は正午頃にチネリ社を訪ねますが、チネリ社長は挨拶のあと、昼食の約束があるから2時間後に再度訪問してほしいといって出かけていきます。筆者は昼食後チネリを再訪し、商談を行います。商談後はフレームと部品の製造工場を見学します。この頃、チネリは新しいクイックレリーズ装置を出しています。これはフリーを車体側に残したまま車輪を外せるようにした、日本では「インターチェンジ」と呼ばれていた製品で、当時チネリの最大の自慢だったようです。筆者は帰国後にベロ・クラブ・トウキョウが発行した「東京オリンピック 自転車競技」をチネリ氏に送り、自社の自転車がオリンピックで多数入賞している写真を見て感激しているような文面の礼状を受け取っています。
「カタログ紹介 ミルレモ」
ミルレモは当時の日本にもその全てではなかったようですが、様々な製品が輸入されていました。記事で紹介されている製品をざっと上げるだけでもハンドルバー、ステム、ハブ、チェンホイール、フリー、チューブラータイヤ、ブレーキ、ペダル、ガード、リム、ポンプ、ボトル、シュープレート、トークリップ、トーストラップ、工具、その他小物と多岐にわたっています。さらに各パーツごとのバリエーションも豊富で、例えばハブはスモールフランジが3種類、ラージフランジが4種類、ハンドルバーは7種類、チェンホイールは6種類などとなっています。
「誰でも出来るスポーツ車のメンテナンス 第4回」
これは、横尾双輪館の横尾明氏の執筆による連載講座です。今回は「センタープルブレーキの調整」です。当時外国製品、国産部品ともにサイドプルよりも制動力が高いということで、センタープルブレーキが花ざかりでした。しかし、その高い制動力も正しく調整されていればということで、調整の実際について述べています。ここでは、フレームの芯が出ていない、ホイールが狂っている場合は専門家に見てもらうようにとして、一般ユーザーが調整できる範囲について「ブレーキ本体が完調ではない」「ブレーキレバーが不調」「ブレーキワイヤが不調」なそれぞれの場合の原因とメンテナンス方法を解説しています。
「新製品ガイド」
こちらは自転車部品や用品などを紹介するコーナーです。今回は名古屋にある加藤自転車店の布製フロントバッグ、片倉自転車の「ポーターシルク」などが取り上げられています。
「私のヨーロッパ駆け歩き旅行」
これは高橋長敏氏による海外見聞録です。筆者は自分の店を1か月留守にしてヨーロッパへ向かいます。日本からアンカレッジ経由でヨーロッパへ入った筆者は、マドリード、サンセバスチャン、トレド、パリ、ロンドン、アムステルダム、ミラノ、ビセンザ、ローマ、ベニス、ヴェロナを訪問します。話の内容は現地で見聞きしたことを中心にしていますが、自転車に関連した話はあまりありません。また、途中で突然レースの話に飛んだりスポーツやトレーニングの話が出てくるなど、色々と話題が変わっていきます。
「第四回全国都道府県対抗自転車チームロードレース」
9月に八王子で全国19都府県を代表する20チーム60名の選手によって行われた、チームロードレースのレースレポートです。
「第六回東京都社会人対抗自転車ロードレース」
この年から関東近県のチームを迎え入れ、9月に開催された大会のレース結果報告です。
「オリンピック合宿所を訪ねて」
このレポートは、小田原で行われたオリンピック代表候補合宿の視察記です。小田原城を見下ろす丘の中腹にある合宿所を基点にロード選手は厚木方面へのロード練習に出ます。午後は同じコースを行ったり、時にはグランドを走ることもあります。ただし、トラックの選手と違い、グランドを走る場合でも最低1時間は休まずに走ります。トラックの選手は宿舎のすぐ下にある競技場で練習します。午後の練習が終わると入浴と食事になりますが、その後はほとんどの選手がテレビを見ることも無く休むそうです。
「第14回三笠宮杯 東北一周自転車競走」
ここでは第14回三笠宮杯 東北一周自転車競走の結果を掲載しています。結果は1区(仙台ー一関)、2区(一関ー盛岡)、3区(盛岡ー八戸)、4区(八戸ー青森)、5区(青森ー大館)、6区(大館ー秋田)、7区(秋田ー湯沢)、8区(湯沢ー山形)、9区(山形ー福島)、10区(福島ー平)、11区(平ー相馬)、12区(相馬ー仙台)まで各区間ごとの全12チームの順位とタイムが掲載されています。
「サイクリングレポート 富士山へ自転車を」
8月中旬、筆者を含む一行15名は富士山頂を目指して沼津を出発します。初日は御殿場を経て山中湖にキャンプ泊します。二日目は山中湖を発ってから富士吉田まで行き、吉田登山口からスバルラインで五合目まで登ります。五合目からはサイクリングの服装から登山の服装に着替え、自転車を担いで頂上を目指します。この日は八合目まで登って宿泊所に泊まります。三日目は午前三時に起きて登山道を登り、無事頂上でご来光を拝みました。その後は下山を開始、砂走りを一気に下り、五合目からはダウンヒルを味わいながら沼津までの帰路につきました。
「サイクリングレポート 中山晋平の生家をたずねて」
9月上旬、筆者は商用の為出かけますが、いつも乗る電車ではなく、自転車で行くこととします。目的は途中、中野市にある中山晋平の生家を訪れるためです。筆者は迷いながらも中山家にたどり着き、家に表札があったので声をかけると家人が出てきます。そこでは家人と中山晋平の事をひとしきり話したことを綴ってレポートを締めくくっています。
「サイクリングレポート オロフレ峠登頂記」
8月上旬、旭川に住む筆者は早朝旭川駅を汽車で発ち、札幌経由で洞爺駅まで移動します。事前に送っておいた自転車を受け取り、輪友二人とともに十時半頃洞爺駅前を出発します。展望台まで登った後は洞爺湖温泉街までダウンヒルを楽しみ、洞爺湖畔を走ってから昭和新山へ向かいます。山を下りた後は壮瞥を抜けてオロフレ峠への登りにかかります。峠までは三時間以上かかり、また上りの途中から霧が出始め峠につく頃には景色が全く見えない状況になります。後続の二人が登ってきたら早々に下り始め、一時間もかからずに登別温泉に到着します。一行は予約しておいたユースホステルに入り食事と風呂を済ませて床につきました。
「サイクリング 東西南北」
このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は各地のクラブからの情報の他、クラブ機関誌として浦和サイクリングクラブが発行した「クラブライフ第5集」と名古屋にある同人誌的な機関誌「かたつむり」が紹介されています。
「外誌紹介」
このコーナーでは海外誌の紹介をしています。今回取り上げているのは「ル・シクル」の1965年7月号で、この号には日本のヴェロ・クラブ・トーキョウが作った東京オリンピックの自転車競技を収めた本からの転載記事が掲載されています。他には雑誌としては「ル・シクリスト」、書籍ではイギリスで発行された「サイクルレーシング」と、フランスで発行された「レ・ジャイアンツ・デュ・シクリズム」が紹介されています。
「交換案内」
自転車や部品の売りたし買いたしのコーナーです。今月号は売りたしの完成車でレニヤーノやルネルスといった外国車が出ているのが目につきます。
1965年11月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士サイクリング車シリーズ '65 後期 オーディナリータイプ その2」でした。
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