ニューサイクリング 1966年10月号(No.27)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1966年10月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1966年10月号は、通巻27号です。
この号の表紙は「全日本選手権ロードレース」です。
通巻27号の目次をページ順に追うと、
口絵 全日本選手権ロードレース
24 全日本アマチュア自転車競技選手権大会
34 全日本大学対抗選手権自転車競技大会
42 全国高等学校対抗自転車競技選手権大会
48 関東自転車選手権
49 宮城県民大会の記録
49 東京都選手権の記録
50 ツールドフランス66
52 シクリズム アラカルト
54 シクリスム概論(5) レースの歴史(1)
58 世界選手権ロードレースの記録
68 紀行 島根半島
72 サイクリングレポート 東京・浜松サイクリング
74 サイクリングレポート 単身日光を行く
75 連載小説 緑の代償 第4回
78 外国自転車紹介
80 外誌紹介
82 PRコーナー
84 新製品ガイド
86 東西南北
88 パニアバック
99 交換案内
102 代理部だより
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
「全日本アマチュア自転車競技選手権大会」
この記事は「この夏のサイクルレース特集」と銘打った特集の一つです。この年の大会は7月に3日間にわたり、トラックレースは1日目2日目に大宮公園自転車競技場で、ロードレースは3日目に大宮から秩父を往復するコースで行われました。トラックは各レースの予選から決勝まで各レースの様子を伝えています。スクラッチ予選は、過去の予選上位の選手が順当に勝ち上がっています。決勝では前年国体優勝者の法政大の永野芳栄選手と中京大1年の中谷勝選手の対戦となり、中谷選手が2本連取で優勝しています。10000mポイントレースの予選は、千葉の長澤義明選手が逃げて大量点を稼いだ以外は点のつぶしあいとなりました。決勝ではナショナル自転車勤務の吉井猛選手が逃げてポイントを稼ぎ優勝しています。1000mタイムトライアルは、大分の今村満選手が2位を1秒以上離すタイムで優勝しました。4000m個人追い抜きは千米で優勝している今村選手が順当に勝ち上がり、決勝も制しています。
ロードレースは、大宮をスタートして正丸峠から秩父へ下り、東松山市から大宮へ戻る150kmのレースです。午前7時にスタートした66名の選手は街中を抜けて山へ入っていく頃からパンクやトラブルで棄権する選手が増えてきます。そのようななか、正丸峠をトップで通過したのは法政大の伊藤春雄選手、つづいて東京の榎本兼二選手、やや遅れて千葉の長澤義明選手と埼玉の藤倉文夫選手が続きます。このまま伊藤選手が130km過ぎまで逃げますが、体調不良で棄権してしまいます。そして、伊藤選手と走っていた榎本選手は後続の第2グループに吸収されてしまいます。ゴールではスプリントを制した早稲田大の中原選手が優勝、2位に法政大の阿部選手、前半からトップを追っていた埼玉の藤倉選手は3位に千葉の長澤選手は4位に入賞しました。
「全日本大学対抗選手権自転車競技大会」
この記事は「この夏のサイクルレース特集」と銘打った特集の一つです。インカレ22回目の開催となるこの大会は、8月に3日間の日程で徳島県の小松島でピストとロードの競技が行われました。ピストは小松島競輪場で2日間にわたって、1000mタイムトライアル、タンデムスクラッチ、スクラッチ、1000m速度競走、10000mポイントレース、4000m個人追抜、4000m団体追抜の7種目が行われました。3日目はロードレースが、小松島をスタート・ゴールとする155kmで争われました。大学別の総合成績は、日本大が69点で総合優勝し、2位以下は6位までは法政大、中京大、立教大、早稲田大、中央大と続いています。
「全国高等学校対抗自転車競技選手権大会」
この記事は「この夏のサイクルレース特集」と銘打った特集の一つで、8月に青森で行われた「秩父宮杯第17回全国高等学校対抗自転車競技選手権大会」と「第11回全国高等学校自転車道路競走中央大会」のレースレポートです。この年のインターハイトラックレースは、3日間にわたり約600名が参加して青森市営競輪場で七種目が行われました。この年は8月にもかかわらず日中の気温が20度に届かないという日が続き、選手たちはコンディショニングに苦労したようです。決勝は、大分、青森、宮城の選手が優勝しています。インターハイ4日目は、ロードレースが行われました。当時、この大会だけがとっていた形式の各校3名づつ1分おきにスタートする方式のレースで、タイムによって順位が決まります。結果はトラックには選手が出場しなかった宮城の高校が優勝しています。そして、総合では大分の高校が優勝し、優勝旗が初めて九州の地を踏むこととなりました。記事の最後には「インターハイの苦言と反省」と題した投書が掲載されています。
「関東自転車選手権」
この記事は「この夏のサイクルレース特集」と銘打った特集の一つです。第18回となるこの大会は平塚競輪場で行われたトラックレースの競技会で、一般および高校の一部種目のレースレポートと全種目の競技結果が掲載されています。
「第19回宮城県民体育大会」
この記事は「この夏のサイクルレース特集」と銘打った特集の一つです。国体予選も兼ねて宮城県営自転車競技場で行われた大会の一般の部と高校の部の各競技結果を掲載しています。
「1966年度東京都自転車競技場選手権大会」
この記事は「この夏のサイクルレース特集」と銘打った特集の一つです。ピストは立川競輪場で、ロードは八王子発着の50.5kmのコースで行われた、高校および一般の各競技結果を掲載しています。
「ツールドフランス66」
この記事はこの年のツール・ド・フランスの大会後の動きをレポートしています。レースを途中棄権したジャック・アンクティルのリタイア原因や、今後のチーム移籍の可能性についてのはなし。他には、この年のツールに日の丸をつけていたチームがあったこと。また、アマチュアのツールといわれるツール・ド・ラブニールの注目選手についての話題も記しています。
「自転車競技ア・ラ・カルト」
このページは、ベロ・クラブ・トオキョウが担当する連載です。今回は「1000mT.T.に強くなろう(2)」と題して、1000mタイムトライアルに強くなるためにはどうしたらよいかということに触れています。ここでのアドバイスは、タイムが1分30秒から40秒くらいの初心者に向けたものとしています。練習については目標タイムを決め、「毎日走ること」「速く走ること」「身体全体を鍛えること」のポイントをあげ、それぞれの具体的方法について解説しています。
「シクリスム概論 自転車競技の基本」
これは鳥山新一氏の執筆による、自転車レース全般に関して根本的な問題から手掛け、客観的、体系的に整理してまとめ上げようと企画した連載です。第五回は「第一篇 基礎篇 第二章 レースの歴史」となります。今回は前半に、1868年にパリで行われた最初のレースや1900年のUCI結成、1934年の日本自転車連盟設立などの歴史を紹介しています。後半では、日本に於ける自転車競技会が世界から遅れている状況や初期の混乱などについて語っています。
「世界選手権西ドイツで開かる」
この記事は、ニュルブルクリンクにある1周22.81kmのサーキットで行われた182.48kmのロードレースと、フランクフルトにある1周400mの競技場で行われたピスト競技の日本人選手の成績を伝えています。
「記行 島根半島」
これは、国立公園大会後に島根半島を巡った今井編集長による紀行文です。標高900メートルにある鳥取の大山で行われた国立公園大会のサイクリングで米子まで降りてきたこの日は、最高気温が36度にも達する暑い日でした。大会の解散式の後は、思い思いに自分のプランにつれて散っていきました。編集長達4人のグループは、コーヒー屋探しから始まりました。コーヒーの後は、米子から境港まで暑さのなかひたすらに走るサイクリングとなりました。ここまでの走りにうんざりしてしまった筆者は、走りたかった他の3人も連れて三保関まで船を使うことにしました。まだ日の高いうちに美保関港に着いた一行は、地蔵峠灯台まで行こうと走り始めます。ところが岬は遠く、自転車を担いだり引いたりしていましたが、しまいにはそれも出来なくなり自転車を置いて無人の灯台まで行くこととなりました。この日は港のすぐ前の旅館に泊まりましたが、疲れの為一杯のビールで皆熟睡となりました。翌日は筆者のプランで杢井越を越えて豊浦へ抜けるルートを走りましたが、上りは胸を突くような急坂で下りも乗って下りられないような所がありました。ここからは半島の北側を西へ向かう予定でしたが、道は越えてきた道よりももっとひどいという事で、船を出してもらい法田まで移動します。そこからはまた担いだり押したりの道を行き、七類までたどり着いたところで昼とします。午後はまた海沿いのルートを西へと崖道を担いだり押したりしながら進み、北浦にたどり着きます。筆者はさらに西へ向かいたかったのですが、どうしても行って見たい松江の街のプランを変更できないので、ここから松江に向かいました。最後の日は、松江から米子まで国道の良い道をまっしぐらに走って、変化の多い旅を終わりました。
※目次では題名が「紀行 島根半島」となっていますが、本文では「記行 島根半島」となっています。
「サイクリングレポート 東京・浜松サイクリング」
中学生の筆者は最後の夏休みに、東京から浜松のサイクリングに出ます。初日は新宿の自宅を出発し、多摩川大橋、横浜新道、東海道と進んで湯本から箱根を越え、この日の宿泊地強羅に到着します。翌日は国道1号線を行き、芦ノ湖、三島、沼津と進みますが、富士宮でパンクしてしまいます。夕方で時間がなかったため、清水までトラックに載せてもらい、三保のユースホステルまでは無理をして乗っていきました。翌朝はまずパンク修理をし、11時頃ようやく出発します。海岸沿いの道を走り、途中登呂遺跡を見学してから先へ進み、快調に走って浜松までたどり着いています。
「サイクリングレポート 単身日光を行く」
筆者はナイトランを含めた2日間の予定で、日光へソロサイクリングに出ます。初日はナイトランで都内から千住、草加と国道4号を走り、宇都宮を経由して日光駅に午前3時に到着して仮眠をとります。午前8時に日光駅を出発し、東照宮を見学してからいろは坂を登って中禅寺湖まで走ります。そのあとは湯ノ湖を見に行ってから、その日の宿がある湯元温泉まで行って投宿します。翌朝は自転車の整備をしてから華厳の滝を見に行きます。そのあとはブレーキブロックを新品と交換し、いろは坂を下ります。そして前日のコースを順調に戻り、午後6時に無事帰宅しました。
「緑の代償 第4回」
これは24号から始まった連載小説です。ミッチーは、二人が応接間に消えたと聞いて心穏やかではありません。帰りも気勢が上がりませんでした。数日たってミッチーはラッキーからから手紙を受け取ってお見舞いに訪れます。そこでミッチーはラッキーの自転車を五彩園へ取りに行き、佑次にラッキーからのお礼の品を届けるように頼まれます。
「輸入フランススポーツ車」
この記事では、フランスのジタン社およびプジョー社の自転車を紹介しています。ジタンで取り上げているのはロードレーサー3車種と「プリシクレット」という名の小径車の4車種です。プジョーはロードレーサー2車種とマッドガード付きモデルを2車種取り上げています。各車種はいずれも写真が掲載されており、紹介文には簡単な仕様も記してあります。
「外誌から」
ここでは海外の雑誌で自転車を取り上げた記事を紹介しています。ひとつは「パリ・マッチ」というスポーツ専門紙で、892号ではパリ・ルーベでのジモンディ選手とアンクティル選手の写真を紹介しています。もうひとつは「ミロワール」誌のツール・ド・フランス特集号を取り上げています。ここではガリビエ峠付近での2枚の写真を掲載しています。
「PRコーナー」
このコーナーでは、カタログや書籍を紹介しています。今回は「日東ハンドルカタログ」「吉川ブレーキカタログ」「ノートン自転車カタログ」と、日本サイクリング協会発行の「JCAコースガイド」が取り上げられています。
「新製品ガイド」
こちらは自転車部品や用品などを紹介するコーナーです。今回は吉川製作所のギドネットレバーとブレーキ調整用具、三光舎の「プロキオンディレイラーII型」、三ヶ島製作所の新型クイルペダルと新型ストラップ、前田鉄工所の「サンツアーツイン」、マファックの白デルリンのフラットハンドル用レバーとフーテッドレバー用のゴムケース等を取り上げています。
「サイクリング東西南北」
このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は十勝・静岡県・広島県の各サイクリング協会、東京都と広島自転車競技連盟からの情報や、各サイクリングクラブのニュースが掲載されています。
「パニアバッグ」
このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号は、六段変速、ハンドルの交換、サイドプルブレーキ、ツーリングの準備についての質問他が寄せられています。
「交換案内」
自転車や部品の売りたし買いたしのコーナーです。今月号は完成車の売りたしが20台以上出ており、エバレストやアルプスが複数台出品されています。
1966年10月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士セフティエイト 富士ツアーフォア」でした。
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