ニューサイクリング 1966年1月号(No.19)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1966年1月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1966年1月号は、通巻19号です。

この号の表紙は「部品によるパターン」です。

通巻19号の目次をページ順に追うと、

18 第20回国民体育大会自転車レース

26 誰でも出来るスポーツ車のメンテナンス(第5回)

30 JCAの普及用パネル

32 私の見たヨーロッパの自転車工場(4)

38 スポーツ車部品の寸法(第7回)

55 いじわるせくしょん

56 日南の旅

60 富士スバルラインサイクリング

64 イタリー・レース用車"マジ―"のカタログ

66 フランス・チェンジその他"ユーレ"のカタログ

71 サイクリングレポート 道南の旅

72 サイクリングレポート 日光ナイトラン

73 サイクリングレポート 小河内ダム

74 新製品のメモ

76 PRコーナー

78 サイクリング東西南北

80 パニア―バッグ

84 交換案内

88 代理部だより

となっています。

主な記事の内容を以下にご紹介します。

※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。


「第20回国民体育大会 自転車」

第20回国体は岐阜県で開催され、自転車競技はトラック、ロード共に大垣で行われました。トラックはレーサーとともに実用車部門があります。写真が無いので実用車がどのようなものであるかはわかりませんが、記事には「本年からサイクリング車の使用が許された為、新記録が続出」とあります。ピスト競技は1000mタイムトライアル、400m速度競走、スクラッチ、ポイントレース、4000m団体追抜が行われ、各種目がレポートされています。ロードレースはトラックの翌日に行われています。ロードは一般、高校それぞれのレースレポートがありますが、その後に高校ロードの妨害について紙面が割かれています。これは先頭に出た2名の選手による妨害行為で十数名が落車し、うち2名が意識不明で入院する事故に関する関係者の話と投書が掲載されています。


「誰でも出来るスポーツ車のメンテナンス 第5回」

これは、横尾双輪館の横尾明氏の執筆による連載講座です。今回は「チエンホイールの交換」です。まず予備知識として1/8と3/32について述べています。いわゆる厚歯と薄歯の事で、当時は、多段のチェンホイールとフリーどちらにも1/8と3/32の製品がありました。これを理解しておかないと改造の際に合わない製品を選んでしまいかねません。次にチェンラインについて、これは本誌14号に詳しく出ているということで、簡単に説明しています。交換の実際についてですが、この当時のチェンホイールはコッタレスは一般的ではなかったようで、コッタードクランクの交換方法のみ説明されています。


「サイクリングとは」

ここではJCAで作成した初心者に向けたサイクリングの説明をしたパネルを紹介しています。これは「サイクリングの楽しさ」「サイクリングの分野」「コースのきめ方、えらび方」「正しい乗車姿勢」「サイクリングの種類と適当車種」「車種別ギヤ比の一覧」「三点調整法」「自転車の手入れ」の各パネル8枚が一組となったものでJCAに申し込みをすれば貸出してもらえると案内しています。


「私の見たヨーロッパの自転車工場」

この文は「杉野安 ペンとカメラ」と称した、当時の杉野鉄工所の社長であった杉野安氏による海外見聞録です。今回は「フェーラとMASI」と題して、イースターバカンスの期間中に訪れたイタリア・ミラノのフェーラ(見本市)とマジーの工房を訪ねた話です。ミラノの見本市では切手商が出ていたので数十枚の切手を購入したこと、見本市に自転車の展示は3社しかなかったが何れも折り畳み車を出していたことに驚いたと報告しいます。見本市では臨時駐車場としてベロドロームの駐車場が使われていたので、隣接のベロドロームを見学しに行きます。練習している選手はマジーが多かったことから筆者は興味を抱き、メーカーを訪問してみようと選手に尋ねるとこのベロドロームの下にあると聞き、すぐに向かいます。その工場は規模が小さく、筆者は土屋製作所より、東叡社より遥かに小さいと感想を述べています。工場ではマジーの主人と色々話をした、レーサーやレーサーの部品に関する氏の意見を書き記しています。


「スポーツ車、部品の寸法 〔第7回〕ネジの寸法」

サイクリングの楽しみは走ることはもちろん、自転車そのものをいじることも楽しみの一つです。この企画は主として寸法の面から自転車と部品およびその関連について解説していく連載となります。今回は自転車に使われているネジの規格について、ミリとインチそれぞれについてJISとBNAの規格の表を示しながら差異について解説しています。


「日南の旅」

綿貫益弘氏による、延岡から都井岬までを往くサイクリングエッセイです。


「富士スバルラインを行く」

アルプスサイクリングクラブ(AFC)のメンバー10名程で富士山サイクリングを行った時の様子を、萩原慎一氏が綴っています。10月のはじめ、AFCの一行は深夜の河口湖駅でトラックで届いたばかりの自転車の整備を行います。そのあと、週末の有料道路は徹夜であいているということを確認し、午前一時半頃一行は駅前を出発してスバルラインの入り口に向かいます。往復で百円の通行料を払ってゲートを後にすると、照明の無い闇の中を発電ランプから変えた乾電池ランプの灯をつけて登ります。四合目あたりからいくらか明るくなってきて、南アルプス連峰が見えるようになってきます。さらに上り続けると終点のゲートが見え、筆者は先頭から三十分ほど遅れた四時間半で登り切ります。到着後は付近を歩いて回り、熱いラーメンを食べて八時、いよいよ下りにかかります。舗装路での豪快なダウンヒルを楽しみ、早い者で一時間、筆者は途中一服しながら二時間かけて料金所まで下りてきました。このあとは、自転車をトラックに積み、人は電車で帰途につきます。

「カタログ紹介 マジー イタリー」

マジーのカタログはハンドクラフトのレーサー専門メーカーらしく、三つ折りの簡単なものです。表紙には競走車専門、トラック・ロードとあります。カタログにはトラックレーサーとロードレーサーがそれぞれ1台ずつ掲載されていますが、詳細な仕様などは出ていません。他には、マークを見せるためにヘッド部のアップと、折り畳み式のローラー台を載せたページがあります。カタログは各ページとも、伊仏英独の各国語で説明が書かれています。


「フランス・チェンジその他"ユーレ"のカタログ」

ここで紹介しているカタログは1964年から1965年のもので、A4判ほどの大きさで11ページのものです。説明文によると全製品をダニエル・ルボアー(ルブール)の筆による絵で出しているとあります。最初に紹介しているのはリアディレイラーの「アルビー」と「スベルト」です。次はフロントディレイラーの「#600」、ディレイラーレバーのシングルとダブルが取り上げられています。これら変速関係の部品は完成図イラストともに、分解図も掲載されています。ケーブルトンネル・スポークディスクのページにはアウターバンドやケーブルストッパなども出ています。チェンリングのページにはリングのみでクランクは出ていません。メーターのページは丸形2種類とおむすび型1種類のメーターがあります。最後に紹介されているページはエンドやチェンガード、ウイングナット、工具類を掲載しています。


「サイクリングレポート 道南の旅」

筆者一行は全道サイクリングラリーに参加する為、前日の九時過ぎに千歳空港を出発します。二時間ほど走って苫小牧に入った筆者たちはラーメン屋で昼食とします。太平洋を望みながら国道36号を進んで四時過ぎに室蘭へ到着します。ここで当日の宿泊場所を探してお寺に交渉し、三軒目で受け入れてもらえます。翌日はラリーに参加して行事や市内パレードを楽しみました。


「サイクリングレポート 日光ナイトラン」

筆者は仕事を終えた後にそのまま日光を目指して走り始めます。7時に草加を抜け越谷、春日部と国道を走り9時過ぎに利根川を渡って茨城県に入ります。橋の下で寝袋に入りますが、二時頃雨で目が覚めたので仕方なく出発します。四時に小山駅に着いたので待合室で寝袋に入ります。七時半には再出発し、九時過ぎに宇都宮から日光街道に入り雨の中を進んで12時半、日光駅に到着します。食事をとったあとは登りにかかり、いろは坂は途中から押したりしながらも三時過ぎに中禅寺湖まで走り、観光案内所で探してもらった旅館に投宿します。翌日は自転車の整備をした後、華厳の滝を見に行ってから帰路につきます。前日登って来た道を快調に下り、途中も追い風に乗って進み予定よりも2時間早く帰宅しました。


「サイクリングレポート 小河内ダム」

筆者は輪友とともに仕事の終わった六時に都内を出発して、宿泊地である青梅に向かいます。途中1台の自転車のハブギヤが不調となりますが、予約しておいた宿に夜遅くに到着します。翌朝は、自転車の修理をしたあと小河内ダムを目指します。宮の平を抜け氷川までは五日市線に沿うように道を行き、氷川からは坂とトンネルの多い道を進んで目的地のダムに到着しました。


「新製品ガイド」

こちらは自転車部品や用品などを紹介するコーナーです。今回はリオターのプラットフォームペダル、藤田サドルの帆布製バッグ二種とバーエンド、三ヶ島のペダルスピン、吉貝のダイヤフロントチェンジ、前田鉄工所の「サンツアースキッター」などが取り上げられています。


「PRコーナー」

このコーナーではカタログや書籍を紹介しています。今回は「光風自転車カタログ」「城東輪業社パーツカタログ」「三光舎PFカタログ」「DNBユニットハブ・ディレイラー説明書」「関東輪界電話便覧」と日東ハンドルの製品を買うとついてくる「軽合メダル」を紹介しています。他に書籍として毎日新聞社とJCAが募集したサイクリングコースの入選コースをまとめた「みんなが選んだサイクリングコース」と、フランスで発行された「シクリスム」も取り上げています。こちらの2冊は「代理部だより」にも販売品として紹介されています。


「交換案内」

自転車や部品の売りたし買いたしのコーナーです。今月号は売りたしのコーナーのみ4ページの掲載となっています。


「代理部だより」

サイクル出版社で取り扱っている書籍等の取扱品の紹介コーナーです。今月号では「自転車実用便覧」「東京オリンピック自転車競技写真集」等書籍類が11点と、雑貨としてネクタイピンが紹介されています。


1966年1月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士セフティファイブ 富士ツアーフォア」でした。

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