ニューサイクリング 1966年2月号(No.20)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1966年2月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1966年2月号は、通巻20号です。
この号の表紙は「自転車の切手」です。
通巻20号の目次をページ順に追うと、
18 特集 66年度スポーツ車 その傾向と各社推薦車
33 自転車競技ア・ラ・カルト
34 誰でも出来るスポーツ車のメンテナンス チエンホイールの交換 2
38 私の見たヨーロッパの自転車工場(5)
54 レース界の話題
56 五枚の地図の旅
66 九州横断道路
68 サイクリングレポート 紅葉の糸魚川街道を走る
70 サイクリングレポート 甲州遊行記
71 サイクリングレポート 馬籠の宿
72 サイクリングレポート 仙台・松島
73 いじわるせくしょん
74 新製品のメモ
76 PRコーナー
78 サイクリング東西南北
80 パニアバッグ
82 交換案内
88 代理部だより
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
「'66年度スポーツ車 その傾向と各社推薦車 その1」
この記事は今月号の特集です。当時、日本の自転車生産は実用的な生活用具からスポーツやレクリエーションの用具としての傾向が強くなっていました。そこで、この特集では1966年度の自転車の傾向と各メーカーが自薦した製品を紹介しています。マスプロメーカーは、どのメーカーも豪華な高級品を大きく打ち出す傾向があり、ハンドメイドメーカーはハンドメイドの良いところはどこにあるのかという点を強調する傾向がありました。
今回取り上げられているメーカーは、ブリヂストンタイヤ、日米富士自転車、丸石自転車、宮田工業、光風自転車、松下電器産業、城東輪業社、土屋製作所、東京サイクリングセンター、アルプス自転車工業、高橋商店、横尾双輪館、パターソンズハウス、トーエイ社となっています。マスプロメーカー各社は写真も交えて代表的な車種の詳細仕様とその他のラインナップを紹介しています。ハンドメイドメーカーは各社の特色を紹介したり、代表的なモデルやラインナップを取り上げています。
「自転車競技ア・ラ・カルト」
このページは、ベロ・クラブ・トオキョウが担当する連載です。今回は「東京オリンピック出場選手のその後(アマチュア編)」と題して、東京オリンピックに出場した選手達がオリンピック後にどうしているかを追っています。トラックの選手では、日本の班目選手がプロ転向せず、メキシコオリンピックを目指して活躍しいるとあります。その他、ソ連、トリニダード、オランダ、デンマーク、コロンビア等の選手動向も伝えています。団体追い抜きで優勝した西ドイツチームは、ほとんどのメンバーがプロ転向しています。ロードでは、オリンピック個人ロードで32位だったスペインのディアス選手がツール・ド・アベニールで優勝しています。
「誰でも出来るスポーツ車のメンテナンス 第6回」
これは、横尾双輪館の横尾明氏の執筆による連載講座です。今回は前回に引き続き「チエンホイールの交換」です。前回はチェンホイールの取付に関する解説でしたが、今回は関連した事項としてチェーンの切り方、つなぎ方、変速機の取付と調整のポイントを解説しています。まずチェーンの切り方ですが、工具はチェン切りを使用します。そして、チェーンを切る際はピンをプレートの内側へ少し出っ張るくらい残すように切ります。アンプルピンを使用するナローチェンとは大きく違う点になります。この後はチェーンのつなぎ方、チェーンの長さ、チェーンの寿命、そしてチェーンを変えた時にしばしば起こることについて触れています。変速機に関しては、後ろ変速機のテンションスプリングの強弱調整とプーリーのメンテナンスについて、前変速機の取付時の要点と調整のポイントについて解説しています。
「私の見たヨーロッパの自転車工場」
この文は「杉野安 ペンとカメラ」と称した、当時の杉野鉄工所の社長であった杉野安氏による海外見聞録です。今回は「ミラノからパリ」と題して、ミラノで訪れた「モーゼ」という名の自転車店で買い物をしたこと。そこで買ったスーパーゼニスのギヤクランクは、杉野が8年前に発売して他メーカーから陰口をたたかれたポピュラーダイナミックと同様の工作がされていたことに感激を受けます。ミラノでは他にも画廊を色々と回ったこと、商店は6時に閉店してしまうがショーウィンドウは電飾されてウィンドウショッピングを楽しめる趣向が凝らされていること。10時頃からは劇場、オペラ、キャバレー等が開き始め、ヨーロッパの本当の夜がスタートすると伝えています。フランスでは到着した空港から迎えの加藤一氏のクルマでパリへ移動するところまでとなっています。
目次にはありませんが、43ページには「弔 打保梅治氏」と題した、東叡社の創立者である打保梅治氏が68歳で亡くなられたことを伝える囲み記事が掲載されています。
「レース界の話題」
ここでは自転車競技関係の情報を伝えています。今回は日本アマ車連が発表した昭和41年度のレース予定と、フィリピンで開かれた第二回アジア大会の日本チームの結果等を掲載しています。
「五枚の地図の旅 吹雪と藁麦と鹿島槍」
筆者は、クラブランで長野県内のサイクリングに出かけます。上野駅を出発した輪行の一行7人は、柏原駅(現黒姫駅)に降り立ちます。自転車を組み立てて出発するころから、雨が降り出します。少し様子を見ますが降り止む様子は無いので、ポンチョを着て出発します。一行は、一茶記念館と野尻湖に寄ってから戸隠へ向かいます。千メートルくらいまで登ったあたりから、雨が雪に変わってきます。それでも何とか戸隠牧場にたどり着いた一行はそこで昼食をとり、再出発すると今度は茶店を見つけます。ここでは暖かいそばを食べ戸隠の中社横まで一気に下り、ここの宿坊に入ります。翌日は、自転車の整備をしてから出発します。悪路に苦戦し、有料道路を自転車で通行できず回り道を強いられたりしながらも善光寺山門前の食堂までたどり着き、14人前のご飯をガッチリと詰め込みます。この日は行けるところまで行くことにして長野市を後にして再び走り始めますが、また通行止めに当たります。しかし、近くに渡し船があるという情報を得て何とか回り道をせず、さらに渡し船の船頭さんから安く泊まれる宿も教えてもらい、信州新町の宿へ向かって走り投宿します。翌日は自転車を完全に整備しなおしてから、峠越えに臨むべく出発します。まずは食料品店で食料を仕入れてから、先へ進みます。大町までは乗ったり押したりしながら登りを休憩も交えて行き、下りは一気に大町まで走り切ります。ここで山岳博物館を見た後は糸魚川街道を走り、豊科で遅い昼食をとってから松本駅まで行ってから自転車を輪行袋に詰めて急行に乗り、サイクリングを終わります。
「ツアーレポ 九州横断道路」
この記事は綿貫益弘氏によるレポートです。普段、NC誌に寄せている紀行文と違い、今回は「この春、九州横断道路を走ろうという人のために」として、サイクリングガイド風の文章となっています。筆者が訪れたのは前年の三月下旬でしたが、九重山麓の瀬の本高原では朝の気温がマイナス七度だったといいます。筆者は長崎から別府までを四泊五日で走っており、雲仙、阿蘇、九重と三つの山並みを越えるので、特にレースマンでもない限り三~四泊あたりの日程が無難だといいます。筆者のとったルートは、長崎から小浜、雲仙岳を登って島原へ抜けます。島原からはフェリーで三角へ渡り、宇土を経て熊本へ入ります。熊本からは少しずつ登っていき、赤水からの未舗装区間を走って阿蘇登山道で阿蘇を越えて一ノ宮まで行きます。一ノ宮の町はずれからは別府阿蘇有料道路が始まり瀬ノ本を経て牧ノ戸峠を越え長者ヶ原、水分峠から由布院へ出ます。由布院からは峠を越えると別府の町までダウンヒルとなっています。最後に筆者は、無理な走り方さえしなければ変化もあり、距離も手軽でよいコースであると締めくくっています。
「サイクリングレポート 紅葉の糸魚川街道を走る」
筆者はクラブのメンバーとともに、八時少し前に糸魚川駅に到着します。自転車を組み立てて九時頃ツーリングをスタートします。駅から糸魚川街道に出て走り、姫川温泉で昼食をとったあとは葛葉峠に向かいます。登りが終わると北小谷まではほぼ下りの道を行き、南小谷駅前の万屋で休憩をとります。ここからは自由に走ることとし、先行した筆者は簗場駅で木崎湖に宿を確保し、駅前の店で休みます。後続が追い付いてきたところで出発し、七時頃木崎湖の宿に入ります。翌日は南下して大町、穂高を抜けて昼頃に松本城公園へ到着します。公園で昼食を食べたあとは松本駅に行き、自転車を分解して輪行袋に入れて二日間のツーリングを終わります。
「サイクリングレポート 甲州遊行記」
筆者は8月の初めに3人でキャンプツーリングに出ます。都内の王子駅を出発した一行は国道20号を行き、大垂水峠を越え相模湖から大月を経由して河口湖に到着、テントを張ります。翌日は御坂峠を越えて石和町に昼前に到着します。ここで宿の予約をしてから昇仙峡へバスとタクシーで向かいます。景色を満喫して宿に戻ってからはビールを飲み食事をして休みます。最終日は宿を出てから葡萄園の並ぶ道を行き笹子トンネルを通り抜け大月から相模湖へ、そして津久井ダムを通って八王子、立川と走って新宿でフィナーレとしました。
「サイクリングレポート 馬籠の宿」
筆者がサイクリングで馬籠峠を越えて泊まった民宿の宿で床に就いた後、布団の中で振り返った今日の出来事、鳥居峠を越えている時の事を回想しています。
「サイクリングレポート 仙台・松島」
筆者は夏休みを利用して松島を訪れます。初日は午前一時に自宅を出発して国道六号を仙台まで移動し、翌日は昼前に松島に到着します。昼食後は松島を見学し、仙台に戻ってからは七夕祭りを見学します。三日目は仙台を出てから国道四号へ入り須賀川まで走って野宿、最終日は黒磯、矢板を抜けて宇都宮から国道123号に入り笠間から50号を走って水戸に帰り着きました。
「新製品ガイド」
こちらは自転車部品や用品などを紹介するコーナーです。今回はアルプス自転車の帆布製バッグ五種とサドルカバー、日東ハンドルの軽合金ハンドル「103」「104」「105」とステム「ハイクラウン」「ハイウエイ」等を取り上げています。
「PRコーナー」
このコーナーではカタログや書籍を紹介しています。今回は「ジャスカ総合カタログ」「ナショナルスポーツ車カタログ」「富士サイクリング車シリーズ」の各カタログと、ブリヂストンの「サイクリングガイド」が取り上げられています。
「サイクリング東西南北」
このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は日本サイクリング協会と各地のサイクリングクラブの会報内容紹介が掲載されています。
「パニアバッグ」
このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号は、自転車レースに関する質問、それと19号に掲載された紀行文に関する読者からの意見と、筆者の意見が掲載されています。
「代理部だより」
サイクル出版社で取り扱っている書籍等の取扱品の紹介コーナーです。今月号では「自転車競技の科学的練習法」「自転車競技入門」等書籍類12点と、雑貨1点が紹介されています。
1966年2月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士ツアーファイブ 富士ツアーエイト」でした。
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