ニューサイクリング 1966年6月号(No.24)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1966年6月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1966年6月号は、通巻24号です。

この号の表紙は「上州暮坂峠」です。

通巻24号の目次をページ順に追うと、

口絵 暮坂峠 カメラサイクリング

 24 第1回全国都道府県対抗自転車競技大会

 28 全日本学生自転車競技新人戦

 29 東京都クロスカントリー

 30 レース界の話題

 31 いじわるせくしょん

 32 シクリスム概論(2)

 36 自転車競技アラカルト

 38 シクロ・ド・パリ (3) 

 44 誰でもできるスポーツ車のメンテナンス(8)

 48 スポーツ車、部品の寸法(8)

 64 冬の房総

 72 諏訪・軽井沢 一人旅

 78 サイクリングレポート 伊豆半島一周

 80 サイクリングレポート 金精峠の敗退

 81 連載第1回 緑の代償

 84 新製品メモ

 86 PRコーナー

 88 東西南北

 90 パニアバッグ

 99 交換案内

101 取扱店一覧

102 代理部だより

となっています。

主な記事の内容を以下にご紹介します。

※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。


「第1回全国都道府県対抗自転車競技大会」

この記事は5月に大分県の別府市で三日間にわたって開催された、トラックおよびロードのレースレポートです。初日と二日目はトラック競技が行われました。競技種目は1000mタイムトライアル、スクラッチ、ポイントレース、4000m個人追抜と団体追抜です。三日目はロードレースが行われており、記事では各日各レースの模様がレポートされています。ちなみにこの大会の記録ですが、1000mタイムトライアルの優勝タイムが1分14秒01で、4000m団体追抜は5分18秒65でした。


「全日本学生自転車競技新人戦」

この記事は、東京の立川競輪場で行われた大学1・2年生による大会のレポートです。当日は時折強く降る雨のなか行われた為にスクラッチが中止され、1000mタイムトライアルと4000m個人追抜のみが行われました。


「東京都クロスカントリー」

第6回となる同大会は、雨の降るなか八王子市で百余名の選手が参加して開催されました。十日ほどぐづついた天気のためにコースは最悪の状態にあり、ヨーロッパなみのクロスカントリーが展開されたとレポートしています。


「レース界の話題」

ここでは、自転車競技に関する話題を取り上げています。今回は日中交歓競技大会派遣選手決定と、大分県民大会高校の部で千米タイムトライアル1分12秒1、四千米団体追抜5分1秒6のそれぞれ高校新記録が出た事などを報じています。


「シクリスム概論 自転車競技の基本」

これは鳥山新一氏の執筆による、自転車レース全般に関して根本的な問題から手掛け、客観的、体系的に整理してまとめ上げようと企画した連載です。第二回は「第一篇 基礎篇 第一章 レースの本質」と題して、レースの本質を理解するために、もう一つ手前の、もとになる「スポーツ」そのものの正しい理解が必要とされるとして、「スポーツの概念と本質」「スポーツの定義」「スポーツの傾向と社会的背景」「スポーツにおけるサイクルレースの位置」について論じています。「スポーツの概念と本質」では、スポーツの本能説として6つの説をあげたうえで、かつてスポーツの領域であった「気晴し」的な活動は「レクリエーション」や「レジャー活動」といわれるようになり、当時においてのスポーツは「身体活動としてのスポーツ」の場合が多くなっているとしています。「スポーツの定義」では、1964年10月に開催された「国際スポーツ・体育協議会」第3回総会で提案されたスポーツの定義を紹介して、スポーツは本質的には「競技」であり、「技」に直結する価値を追求する身体活動だとしています。「スポーツの傾向と社会的背景」では、「スポーツの大衆化」「アマチュアとプロの境界問題」等の視点からサイクルクラブやサイクリストについて論じています。「スポーツにおけるサイクルレースの位置」では、日本と欧米における自転車とサイクルレースに対する意識の違いを紹介するとともに、「エネルギー代謝率と時間から見たスポーツ」のグラフを使いながらサイクリングにおけるレースとツーリング、その他のスポーツとの位置関係を示しています。


「自転車競技ア・ラ・カルト」

このページは、ベロ・クラブ・トオキョウが担当する連載です。今回は「アワーレコード」と題して、1893年にヘンリ・ディグランジェが出した35.325km/hから始まるアワーレコードの記録更新の歴史を紹介。また、アワーレコードに挑んだ際にジャック・アンクティルが使用した自転車のフレーム・スケルトンとアッセンブルを紹介しています。


「シクロ・ド・パリ」

これは、杉野安氏によるパリ訪問記です。今回は「小さなレースのこと」と題してロードの草レース観戦記を記しています。レース観戦に当たっては、パリ在住の加藤一画伯にアテンドを依頼し、レース当日はトト・ジェラルダン氏の案内で観戦することとなります。観戦したレースは草レースといっても108名が参加して169kmを走る町と町の対抗レースで、この程度の規模のレースは毎週のように行われている。しかし、フランスでのサイクリングの盛り上がりは日本の一部プロスポーツに群がる群衆の熱っぽいものではなく、淡々として生活そのものの一環と化している地についたものであり、筆者はそのことを羨ましげに見てきたと語っています。


「誰でも出来るスポーツ車のメンテナンス 第8回」

これは、横尾双輪館の横尾明氏の執筆による連載講座です。今回は「カンパニヨロの分解整備」と題し、問い合わせが多かったというカンパニョロ製品の分解整備を取り上げています。最初に取り上げているのはハブで、まず用意すべき工具を紹介しています。ここにはカンパのハブスパナをあげていますが、入手困難な場合は自作してもよいとして、スパナの寸法図を載せています。ハブの分解・組立は11点の写真も使用してその手順を説明しています。調整については文字で説明できないので、新品時の回転を指で覚えておくべきとアドバイスしています。次はリアディレイラーのブーリーです。ここでも必要な工具を紹介していますが、カンパから出ている6ミリの六角レンチがついた8ミリのT字型ボックスレンチが大変便利だといっています。手順は分解と組立調節について11点の写真も載せて手順を解説しています。


「スポーツ車、部品の寸法 〔第8回〕フレーム関係とチエンライン関係の寸法」

サイクリングの楽しみは走ることはもちろん、自転車そのものをいじることも楽しみの一つです。この企画は主として寸法の面から自転車と部品およびその関連について解説していく連載となります。今回はフレーム関係、チェンライン関係、ブレーキの寸法を取り上げています。フレーム関係の寸法は、当時のJIS規格は実用車向けでありスポーツ車としては不充分だとしています。例として、ハンガ幅は当時のJISでは70mmとしていますが、市販品では68mmのものが多くなってきいている。フロントエンド幅は、JISが93mm、工業会規格が94mm、BNAで96mm、カンパと三光舎は100mmとかなりまちまちになっています。チェンライン関係も当時のJISで42mmまたは45mmとなっているが、カンパは43.5mmとなっているので共存を考えた規格とすればよいのではと提言しています。部品関係では代表としてブレーキの寸法、特にブリッジ半径について現在規定されている4種類を2種類程度にできるのではないかと表を用いながら示しています。

※本文では題名で「第8回」となっていますが、正しくは第9回となります。


「サイクリングひとり旅 冬の房総」

銀座の百貨店に努める筆者による、ソロサイクリング紀行です。筆者は1月に三日間の連休を取らなければならなくなったので、房総半島を走ろうと決めてサイクリングに出ます。初日は都内の自宅から小松川、市川を経由して千葉市内から茂原街道へ入ります。だらだらと長い登りを二時間近く走り続けた後休憩を取り、そこからの下りは一気に駆け下りて茂原市内へ入ります。さらに大原から御宿へ抜け、勝浦まで自宅から130kmほど走ってこの日の宿を探して投宿します。翌日は小湊、安房天津、鴨川、江見町、千倉と走って白浜まで50kmほどを走ります。この日はここで旅館を探して泊まりました。最終日は白浜を発った後、館山市内を通って金谷まで走ってから久里浜行きのフェリーに乗って帰路につきました。


「諏訪・軽井沢 一人旅」

高校の卒業式を終えた筆者は、休みを利用して一人でサイクルツーリングに出ます。初日は都内の自宅を出たのちに環七から甲州街道を経て八王子から大垂水峠を越えて相模湖を抜けて、そのまま大月へ向かいます。大月からは笹子トンネルを通り、この日の宿泊予定地だった甲府も通過して韮崎まで走って宿に入ります。翌日は向かい風の中、予定地の諏訪まで走り湖畔にある美術館を鑑賞してから湖に近い旅館を探して泊まります。翌日は甲州街道で茅野まで行ってから蓼科へ向かい蓼科有料道路に入ります。有料道路の途中には大河原峠への道があるはずなので探しながら上りますが標識はあるものの道が見つからず、峠まできたのであきらめて下ります。ところが、下った先の料金所を過ぎたところで峠で休憩した際にカメラを忘れてきたことに気づきます。来た道をまた上ってカメラは無事回収できたものの、その遅れで予定した小諸まではたどり着けず、夜遅くなってからなんとか立科町の旅館に投宿しました。最終日は立科から望月、小諸を経由して軽井沢に入り、念願の碓氷峠を下ります。松井田町を通過し、ダウンヒルの勢いをかって高崎まで飛ばして行き、そのまま国道17号へ入って東京を目指します。熊谷あたりから雨が降り出し、びしょ濡れになりながら夜九時に自宅へ帰りつきました。


「サイクリングレポート 伊豆半島一周」

筆者は全自走で伊豆半島一周のサイクリングに出ます。初日は夜6時に出発して60kmほど走った藤沢新道のバス停でシュラフに潜り込みます。翌日は箱根越えにかかりますが、箱根に差し掛かる頃に雨が降り出します。雨具を身に着けて自転車に乗ったり押したり休んだりしながら上って行き、下りも深い霧に注意しながら三島まで走ります。三島で昼食を食べた後は、道を間違えたりしながらも修善寺まで行って国民宿舎に投宿します。翌日は松崎までの予定で船原峠を越え、土肥、黄金崎、安良里港、田子港を経由して日が暮れる前に松崎の民宿に到着します。次の日は松崎から蛇石峠を越え、下賀茂、石廊崎、下田を巡ってから柿崎の民宿に入ります。翌日は下田有料道路から山道へ入り、八幡野、伊東、熱海と走って湯河原の旅館に泊まります。最終日は好天のなか、真鶴半島に寄ってから真鶴有料道路を走り、江ノ島、鎌倉を過ぎて日のあるうちに帰宅して旅を終えています。


「サイクリングレポート 金精峠の敗退」

筆者は4月の初め、金精峠越えに出ます。初日は雨でしたが予定通り出発し、国道一号を走って川崎、横浜、東京駅前を通り過ぎ、熊谷あたりで雨がやんでからも走りその日は前橋まで行きます。二日目は好天のなか金精峠を目指します。国道17号を走り、沼田からは国道120号に入り先へ進みます。途中で道路状況を聞くと金精峠は雪の為通行不可とのこと。しかし、筆者は登れるところまで行ってみようと車を進めます。途中までは行けたものの、やがて雪が出てきて最後は峠の8キロほど手前で一面雪となり走行を断念。今来た道を下っていきました。


「緑の代償」

これは今月号から始まった連載小説です。主人公のミッチーこと姿実知子は、ラッキーこと福山はるみからの電話を受けます。その内容は、中学時代のクラス会でサイクリングをしようというものでした。その中の一人がスポーツ車を買ったという話を聞いて、ミッチーも弟と共同でサイクリング車の購入を画策します。そこで弟にスポーツ新聞を取りに行かせ、次号へ続きます。


「新製品ガイド」

こちらは自転車部品や用品などを紹介するコーナーです。今回は三ヶ島製作所のペダル「ミカシマスマッシュ」「ミカシマミニ」「ミカシマデミ」、前田鉄工所のディレイラー「コンペティションツイン」、島野工業の「333ボスタイプフリー」等を取り上げています。


「PRコーナー」

このコーナーでは、カタログや書籍を紹介しています。今回は「日米富士新車カタログ」「シマノ工業製品カタログ」「ブリヂストンパーツカタログ」「丸石スポーツ車カタログ」「極東のボルトカタログ」と、ディレイラーについてのいろいろな問題をわかりやすく説明した冊子「サンツアーテキストブック」が取り上げられています。


「サイクリング東西南北」

このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は協会、サイクリングクラブ、大学クラブからの情報が掲載されています。


「パニアバッグ」

このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号は、キャンプ車の写真を集めていますといった依頼や、チェンの寿命について、フレーム角度について、リムの種類についてといった質問などが寄せられています。


「本誌特約取扱スポーツ車販売店」

ここには、ニューサイクリング誌を販売しているスポーツ車販売店が掲載されています。今回は北海道から鹿児島県まで31都道府県の店が紹介されています。


「代理部だより」

サイクル出版社で取り扱っている書籍等の取扱品の紹介コーナーです。今月号では「東京オリンピック自転車競技写真集」やニューサイクリング誌の合本用ファイル等が紹介されています。


1966年6月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士ファストテン 富士コメットファイブ」でした。

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