ニューサイクリング 1966年8月号(No.25)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1966年8月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1966年8月号は、通巻25号です。

この号の表紙は「奥多摩溪谷」です。

通巻25号の目次をページ順に追うと、

口絵 スイスのツーリング

 24 座談会 長距離サイクリングを語る

 36 キャンプを楽しもう

 38 旅行車のアイデア

 42 誰でも出来るスポーツ車のメンテナンス(9)

 46 オホーツク紀行

 52 奥武蔵・山王峠

 56 鎌倉と切通し

 58 シクロ・ド・パリ (4) 

 74 シクリスム概論(3)レースの本質

 78 自転車競技ア・ラ・カルト

 80 第1回自転車業界親善ロードレース

 82 自転車競技場について

 85 連載小説・緑の代償 第2回

 88 新製品ガイド

 90 PRコーナー

 92 東西南北

 94 パニアバッグ

 99 交換案内

101 取扱店名簿

102 代理部だより

となっています。

主な記事の内容を以下にご紹介します。

※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。


「座談会 長距離サイクリングを語る」

この記事は、今井編集長と5人の参加者による長距離サイクリングをテーマにした座談会です。会談の議題は「長距離ツーリングの型」「プランのこと」「自転車のこと」「荷物について」「服装について」「食べ物について」「キャンプのこと」「マナーのこと」「青少年問題とサイクリング」「トレーニングについて」「故障について」「その他のこと」となっています。


「キャンプを楽しもう」

ここではサイクルキャンピング、特にクラブなどの大人数で行う場合の装備などについて解説しています。装備についてはテント、シュラフ、灯火、水筒、薬品、裁縫道具、炊事用具となっています。他にはメンバーの役割としてリーダー、会計係、装備係、食料係、炊事係、設営係、記録係、整理係等をあげてそれぞれがやるべきことをあげています。


「旅行車のアイデア」

ここでは「アルプスローバーをつくる」と副題を付け、アルプス自転車の萩原慎一氏がこの年の春に東京新宿の小田急デパートのサイクル・ショーで発表した「ローバー」を紹介、その仕様や特徴について写真も交えながら説明しています。ローバーの概要は、フレームはハイテンのプレーン管で72°X72°、ホイールは650B、駆動系はプロダイトリプルにサンツアーバーニーのFDとユーレーアルビーのRDとなっています。またローバーで盛り込まれた新しい工夫点として、「ダイナモ起倒装置」「自転車持ち上げ用」「シートクロス」「フロントバッグのクイックレリーズ」「キャリヤー」「チエン受け」「泥除の取外し装置」「セパレーツ式パニヤバッグ」をあげ、各点の目的や特徴を解説しています。そして、一部のアイデアは実用新案として出願中であるとも記しています。


「誰でも出来るスポーツ車のメンテナンス 第9回」

これは、横尾双輪館の横尾明氏の執筆による連載講座です。今回は「カンパニヨロの分解掃除 ハンガー部分」と題し、前回に引き続き問い合わせが多かったというカンパニョロ製品の分解整備を取り上げています。今回位取り上げているのは、BB関係です。まず用意すべき工具ですが、ここではBB周りの工具とともにクランクを抜くための工具も取り上げています。分解の手順は、ここもクランクを抜くところから説明しています。組み立て調整ではポイントとして、リテーナーにグリスを塗る際はボールに平均して付着する程度にすること。ワンの締め込みはシャフトにガタの出ないギリギリ軽い回転のところからさらに1/8回転ほど締めこむ、それからリングをはめてきつくしめることとしています。


「岬紀行のうち オホーツク紀行」

これは綿貫益弘氏によるエッセイで、北海道ツーリングに訪れた際の道北を行ったときの模様を綴っています。


「奥武蔵 山王峠・仁田山峠」

これは、筆者が晩秋から初冬に変わろうとしている11月に奥武蔵へ走りに行ったサイクリング紀行です。青梅駅で輪友と待ち合わせてから出発した筆者は、青梅街道を村山、瑞穂と行ってから秩父街道へ入ります。一面の畑の中を走り抜け、藤橋から笹仁田峠を越えてから小休止にします。休憩後は山王峠の登りにかかり、峠を越えて下っていくと工事のために行き止まりとなっていました。そこで先へ行くのはあきらめて昼飯とします。食後は新たなコースの検討をして、仁田山峠に向かうこととします。しかし、担いだり藪こぎしたりしながら峠を捜しますが、見つかりません。そして、ようやく峠を見つけますがそこは藤巻峠となっていました。その日はそのまま下って帰途につきますが、後日飯能市役所に問い合わせたところ、もとは藤巻峠だったものがいつの頃からか仁田山峠と呼ばれるようになったという事でした。


「コースガイド 鎌倉と切通し」

これは鎌倉周辺を回遊する20km程のコース案内です。出発地は建長寺で扇ヶ谷の切通しを登り化粧坂切通しを抜けて西に進み、有料道路を少し走ったあと極楽寺に向けて走って極楽寺切通しを下り海岸へ出ます。海岸からは鳥居をくぐって逗子方面への道を走り、鶴ケ岡八幡宮を経由して建長寺に戻ります。


「シクロ・ド・パリ」

これは、杉野安氏によるパリ訪問記です。今回は「ルネルスとスポーツ車と」と題して前回号で観戦したレースの翌日に加藤一氏とともにルネルスを訪れたことと、その他のパリにある自転車店も訪れたことを書いています。


「シクリスム概論 自転車競技の基本」

これは鳥山新一氏の執筆による、自転車レース全般に関して根本的な問題から手掛け、客観的、体系的に整理してまとめ上げようと企画した連載です。第三回は「第一篇 基礎篇 第一章 レースの本質」で前号からの続きとなります。論題は「レースのポイント」「勝利のための対策」の二つです。「レースのポイント」では本質的に異なった二つのグループ「タイムトライアル」「一般のレース」について十分理解する必要があるとしています。両者の違いは「競走の対象」がタイムトライアルでは「対時間」であり、一般のレースでは「対他選手」となり、「結果の判定」がタイムトライアルでは「より少ない所要時間」一般のレースでは「相手より先にゴール」としています。そして「勝利のための対策」では、それぞれのレースタイプにおける勝利のために必要な要素「平均速度向上」「加速性能向上」をあげ、各要素を高めるための方策を数式やグラフを示しながら解説しています。


「自転車競技ア・ラ・カルト」

このページは、ベロ・クラブ・トオキョウが担当する連載です。今回は「一周レースのこと」と題して、当時の日本で「東北一周」「琵琶湖一周」に続く「関東一周レース」が計画されていることからヨーロッパにおける一周レースを紹介しています。ここでは現在グランツールと呼ばれている3大レースと「ツアー・オブ・ブリテン」を取り上げています。


「第1回自転車業界親善ロードレース大会」

この記事は6月に自転車メーカーや部品メーカーから70名の選手が参加して船橋サーキットで開催された大会のイベントレポートです。レースは中央大会出場経験者の第1部とそれ以外の第2部に分け、どちらも3kmのコースを20周する60kmで争われました。結果は第1部・第2部・団体のいずれも光風自転車が1位となっています。


目次にありませんが、81ページには「第3回関東高等学校自転車競技選手権大会」の大会レポートにレース結果と、「第19回都民体育大会自転車競技大会」のケース結果が掲載されてています。


「自転車競技場について」

編集部によるこの記事は「その使い方とエチケット」と副題をつけて、自転車競技場で練習する際に必要なことを「服装と用品」「競技場に行くまで」「競技場についたら」「練習開始」「練習中は」「練習が終わったら」「帰るとき」「パンクしたら」「トラックレーサー以外で走るとき」の項目に分けて、それぞれの注意点とアドバイスを記しています。


「緑の代償 第2回」

これは24号から始まった連載小説です。ミッチーは弟に取りに行かせたスポーツ新聞の投書欄を示し「売りたし買いたし」にサイクリング車買いたしの投稿をします。数日後、はがきが届き、五彩園という名の花屋を営む相手先である片山佑次のもとに赴いてサイクリング車を無償で譲り受けます。そしてその時に、クラス会のサイクリングを片山佑次とともに行くことを約束します。サイクリング当日、先頭を行くミッチーはふと自転車を止めて振り返り、大きく遅れていたラッキーと片山の行動をみて「あっ!」と思ったところで次号へ続きます。


「新製品ガイド」

こちらは自転車部品や用品などを紹介するコーナーです。今回は藤田サドル工業の「フジタプロフェッショナル」と「ヒューペルライダー」、三光舎のディレイラー「PV」と軽合鍛造ハブ等を取り上げています。


 90ページからのコーナーに「PRコーナー」とのページタイトルはありませんが、「第1回サイクリングトロフィー開催」と「〈佐渡を楽しむサイクリング〉会員募集」と題したイベント告知が掲載されています。


「サイクリング東西南北」

このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回はJCAと室蘭サイクリング協会、全国高体連自転車競技部やサイクリングクラブの会報内容が紹介されています。


「交換案内」

自転車や部品の売りたし買いたしのコーナーです。この頃の部品の希望価格を見ると、数百円から数千円程度となっており、時代を感じさせます。


1966年8月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士キャンピングテン 富士セフティエイト」でした。

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