ニューサイクリング 1966年9月号(No.26)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1966年9月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1966年9月号は、通巻26号です。
この号の表紙は「笛吹川上流」です。
通巻26号の目次をページ順に追うと、
16 ナイトラン特集 サイクリングでお月見に行こう
30 私のオランダサイクリング
37 いじわるせくしょん
38 第10回全国サイクリングラリー
40 第8回国立公園大会
42 誰でもできるやさしいメンテナンス フリーの分解掃除
57 ツールドフランス66
60 シクリスム概論 4 レースの本質(3)
64 自転車競技アラカルト
66 自転車競技場について その使い方とエチケット
68 日中交歓大会・レース界の話題
71 連載小説 緑の代償 第3回
74 東西南北
76 パニアバッグ
78 季節のちがい
83 交換案内
85 取扱店名簿
86 代理部だより
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
「ナイトラン特集 サイクリングでお月見に行こう」
この記事は今月号の特集で、11件のナイトランコースのガイドが掲載されています。冒頭には今井編集長による「ナイトランの楽しみ その魅力と心得など」と題したナイトランの楽しさと、ナイトランをする際のライティングおよび自転車の事前点検と走らせ方について注意点を記しています。コースガイドは「仙台 野草園」「長野 田毎の月」「東京 大澄山」「横浜 小机城址」「金沢 金沢郊外」「名古屋 八事興正寺」「滋賀 琵琶湖」「広島 軍津浦輪」「千葉 証誠寺」「埼玉 調宮神社」「滋賀 石山寺」と題した各コースのガイドが掲載されています。
「私のオランダサイクリング」
これは高橋長敏氏がオランダのアムステルダム周辺を自転車で巡ったサイクリング見聞録です。ロンドンからアムステルダムへ到着した筆者は、ホテルにチェックインした際に貸し自転車を頼みます。翌日は借り出した自転車で街へ出ます。途中、学生たちのサイクリングを見つけたので合流させてもらい、一緒に郊外まで走ります。途中で学生たちと別れた筆者は用件を済ませたあと、様々なことに思いを巡らせながらホテルへ向かってペダルを踏んでいきました。
「第10回JCAラリー山形大会」
この記事は、港サイクリングクラブの植原郭氏によるイベントレポートです。筆者は午前三時過ぎに山形駅に降り立ちます。後続の列車が到着し始めると、太宰氏、京都の山根氏、浜松の御薗井氏などの知った顔が、そして他にも続々とサイクリストたちが姿を現し、自転車を組み立てて会場へ向かいます。受付から開会式までが終わると、600名程の参加者はサイクリングに出発します。途中で昼食をとったあと、蔵王への登りにかかります。宿舎の蔵王ホテルに到着後は入浴、夕食、交歓会、キャンプファイヤーと続きます。翌日は朝食後、自転車はトラックで参加者はバスで蔵王エコーラインを登ります。下りは途中までバスで下り、この後は自転車を受け取ってダウンヒルを楽しみます。解散地の米沢では市内パレードの後、閉会式会場へ向かいます。そして、翌年の岐阜での再会を約して解散となりました。
「第8回国立公園大会」
この記事は、鳥取県大山南麓の鏡ヶ成国民休暇村で開催された大会のイベントレポートです。サイクリング班は、毎年参加している東京のサイクリストに地元のサイクリストを加えた構成です。大会はスムーズに進行し、翌日の朝から始まった野外活動隊の活動では、サイクリング班は米子まで下りっぱなしという全舗装の道を走ります。米子で解散となった後、東京からのサイクリストはそれぞれのグループでその後の2・3日を山陰を楽しみました。
「誰でも出来るスポーツ車のメンテナンス 第9回」
これは、横尾双輪館の横尾明氏の執筆による連載講座です。今回は「ボスタイプフリーの分解掃除(1)」と題し、サンツアー、シマノ、アトム、レヂナのボスタイプフリーを取り上げています。用意すべき工具は、特殊な工具や手製の工具をあげています。なお、フリーの蓋はずし工具が無い場合は、フリーが多少痛むものの目打ちとハンマーでもできるとしています。分解掃除の実際は、文と16枚の写真を使用して手順をひとつづつ説明しています。
※本文では題名で「第9回」となっていますが、正しくは第10回となります。
目次にはありませんが、56ページには「サイクリングトロフィーとは」と題した鳥山新一氏によるサイクリストトロフィーの由来と、日本で行うサイクリストトロフィーの内容を説明しています。また、40ページには「第一回サイクリングトロフィー実施要項」が掲載されています。
「ツールドフランス66」
この記事はこの年のツール・ド・フランスの大会レポートです。この年はジャック・アンクテイル、レイモン・プリドール、フェリーチェ・ジモンディらの選手が注目されていました。しかし、所属チームがツール不参加となったため、ジモンディは出場せず、アンクティルも途中棄権となります。そして、この年はアンクティルと同じフォードチームに所属するルシアン・エマールが優勝しました。
「シクリスム概論 自転車競技の基本」
これは鳥山新一氏の執筆による、自転車レース全般に関して根本的な問題から手掛け、客観的、体系的に整理してまとめ上げようと企画した連載です。第四回は「第一篇 基礎篇 第一章 レースの本質(3)」となります。論題は「レース結果を支配する諸要素」です。まず二大要素として「乗員」と「自転車」をあげています。そしてこの二つの要素が前回あげたレースに勝つための要素「平均速度向上」「加速性能向上」との関係性について考察しています。考察に当たっては、鳥山研究所作成の「自転車競技における主要関連因子一覧表」を示したうえで、乗員サイドと自転車サイドそれぞれの視点からレースに勝つために力を注ぐべき事柄を明らかにしています。
「自転車競技ア・ラ・カルト」
このページは、ベロ・クラブ・トオキョウが担当する連載です。今回は「1000mT.T.に強くなろう(1)」と題して、1000mタイムトライアルを走ることの意義を語っています。1000mを走ることは、自転車選手として要求される2大要素である瞬発力と持久力が同時にわかります。したがって、1000mのタイムによってその人の自転車選手としての大体の強さがわかるので、1000mT.T.に強くなることを目指そうといっています。
「自転車競技場について」
編集部によるこの記事は「その使い方とエチケット(2)」と題して、前号の自転車競技場で練習する際の注意点に続き、試合に臨んでのエチケットを述べています。その内容は「招集には早く応じる」「試合時の自転車の乗り方」「役員の指示に従う」「応援はフェアに」となっています。他には編集部から連盟へ着替え場所の設置を意見として挙げています。
「日中交歓自転車競技会」
これは、北京で行われたトラックレースのレポートです。日本アマチュア自転車連盟は、選手8名役員4名で北京入りします。競技場は333mのバンクで、試合形式は日本と少し違うものがありました。1000mでは通常のタイムトライアルの他、フライングの1000mや1万メートルの個人追い抜きなどがありました。結果は全ての種目に於いて中国選手が勝利しました。
レース界の話題としては、世界選手権大会派遣選手が決定したこと、第15回宮城県高校総合体育大会自転車競技の結果などが掲載されています。
「緑の代償 第3回」
これは24号から始まった連載小説です。ミッチーは、佑次がはるみの足を触っている所を目撃します。はるみは転んで怪我をしてしまい自転車に乗れなくなったので、佑次の後ろに乗って五彩園まで戻って手当てすることにします。ミッチー達はそのままサイクリングを続け、五彩園で落ち合うことにして再出発します。ミッチーは道すがら、はるみはよく幸運をつかむ少女で自分はその正反対だと思いを巡らします。五彩園にたどり着いたミッチーは、はるみたちと先に戻ったクレーンに佑次とはるみの居所を聞いたところで次号へ続きます。
「サイクリング東西南北」
このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は広島サイクリング協会ニュースと広島自転車競技連盟の事業計画、各サイクリングクラブのニュースが掲載されています。
「パニアバッグ」
このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号は、チューブラーのリムセメントと両面接着テープの使用についてや、リアエンドとディレイラーの互換性についての質問などが寄せられています。
「季節のちがい」
この文は6月号に掲載された、残雪の為に計画を遂行できなかった二つの紀行文を読んだ菅沼達太郎氏が、地域や標高の違いによる積雪や気温の変化度合いについて具体例を挙げながら解説しています。
「交換案内」
自転車や部品の売りたし買いたしのコーナーです。この頃の完成車の希望価格を見ると、国産で1万円台から4万円台となっており、フレームは1万円を越えるものは稀となっています。
「本誌特約取扱スポーツ車販売店」
ここには、ニューサイクリング誌を販売しているスポーツ車販売店が掲載されています。今回は北海道から鹿児島県まで29都道府県の店が紹介されています。
1966年9月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士キャンピングテン 富士ツアーファイブ」でした。
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