ニューサイクリング 1967年3月号(No.31)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1967年3月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1967年3月号は、通巻31号です。

この号の表紙に題名はついていません。

通巻31号の目次をページ順に追うと、

24 座談会 アジア大会よもやまばなし アジア大会のエピソードや、これからの選手に贈る有益な話の数々

34 シクリスム概論(9)

40 自転車競技アラカルト

42 ドイツ漫遊 ヨーロッパの旅から

49 純日本式の最初の自転車

50 天草一人旅(2)

58 富山・横浜五日間本州横断旅行

74 カタログ紹介 バールの工具

80 新製品メモ

83 PRコーナー

84 パニア バッグ

88 東西南北

89 交換案内

98 編集後記

となっています。

主な記事の内容を以下にご紹介します。

※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。


「座談会 アジア大会よもやまばなし その反省と今後について」

この座談会は今井編集長の司会で、タイで行われたアジア大会に参加した監督・コーチ・選手ら6人が出席して行われました。その内容は大会の運営について、競技内容や現地での練習について、今後のことなどが話題に上がりました。大会の運営は大きな大会が初めてという事でまだまだだといいます。特にアジア連盟には上訴委員会が無く、競技中の妨害行為についての解決に問題がありました。競技はトラックとロードが行われましたが、トラック競技では平面トラックで行われた種目もあり、事前の練習に苦労しました。その他には競技以外でのタイ現地での出来事や次のオリンピックへの対策などが話し合われました。


「シクリスム概論 自転車競技の基本」

これは鳥山新一氏の執筆による、自転車レース全般に関して根本的な問題から手掛け、客観的、体系的に整理してまとめ上げようと企画した連載です。第9回は引き続き「第一篇 基礎篇 第三章 レースの型式と種類」で、レース種目の概要を論題としています。今回もトラックレース種目の用語と概要の解説です。今回取り上げている種目は、フランス名POURSUITE(プルスィート)、イギリス名PURSUIT(パーシュート)と呼ばれる追抜競技です。当時は様々な追抜き競技が行われていましたが、最も一般的に行われていたのは個人追抜と団体追抜です。基本ルールは現在と同様です。それ以外の種目では、オーストラリアンという3人から8人で行う個人追抜、イタリアンと呼ばれるチームスプリントのような種目、またダブルアンドトリプルハーネス、リレー、マディソンといった種目が紹介されています。


「自転車競技ア・ラ・カルト」

このページは、ベロ・クラブ・トオキョウが担当する連載です。今回は「入門書がほしい」と題し、自転車競技に関するアドバイスについて触れています。この当時、断片的な情報が載ったパンフレット以外、日本には自転車競技に関する理論的な入門書が一冊もありませんでした。その要因は当時の日本の自転車競技が未熟で、自転車競技を理論づけられる人が日本人にいなかったためとしています。また、ヨーロッパの入門書を翻訳出版したものもありませんでした。そのようななか、東京オリンピックを契機にベロ・クラブが組織され、世界の自転車競技を後輩へ伝えようという目的で「東京オリンピック自転車競技写真集」が製作されました。そして、この年の課題として日本の自転車競技の記録集を作ることと、自転車競技の入門書を製作することを挙げています。


「ドイツ漫遊」

この文は、山王スポーツ社長の高橋長敏氏によるドイツ訪問録です。筆者はオーストリアから空路でドイツのフランクフルトに移動します。ホテルに入った後は、列車でハイデルベルクを訪れます。観光を終えてフランクフルトに戻って、夜はフランクフルトの街を気ままに歩きまわりました。翌日は飛行機でコロンボ空港へ飛び、そこからホテルをとってあるボン市へ行き、チェックイン後に市内観光を楽しみました。


「純日本式の最初の自転車」

この記事は、上田市で開業医をしていた埴亀齢が自ら製作した自転車を写真と共に紹介しています。


「天草一人旅 その二」

この文は、今井編集長による天草を巡ったサイクリング紀行の連載です。本渡で迎えた二日目はこの日も北風が強く寒い日でした。寒いと気勢が上がらず億劫になった筆者は、牛深まで船で行くことにします。昼過ぎに着いた牛深は風がおさまり、気温も上がってサイクリング日和になりました。港の前で昼食をとったあと、一番見たい隠れ切支丹の中心をゆっくり走るつもりの予定で北に向かって走り始めます。牛深から亀浦に抜け、キリシタンの遺跡が多い洋角湾周辺を走って回ります。夕刻に崎津に入り、途中であった人に教えてもらった旅館を探して投宿しました。


「富山~横浜 五日間本州横断」

横浜に住む筆者は、富山に住む友人に会う機会を利用してのツーリングを計画します。自転車は貨車輸送で富山のユースホステルに送り、帰りのコースをツーリングすることにします。初日は自転車を受け取ってから走り始めますが、途中から雨が降り出します。滑川あたりでいったんやみますが、朝日町あたりでまた強い雨が降り出します。その後は雨の中を走り続け、親不知を抜け糸魚川市内に宿をとります。二日目も雨模様のなか糸魚川街道を走り大町へ出て松本へ向かう予定で走り始めます。この日は雨の中予定通りの行程を行くことができましたが、食事をとろうと寄った店が二軒続けて本日休業となっており、菓子屋のカステラや商店で買ったパンなどで空腹を満たしました。午後は仁科三湖に寄り、大町を抜けて松本に入り、予約したユースホステルに到着しました。翌日は同宿の3人と松本城を見学してから出発します。この日は国道19号から20号と走り、塩尻峠を越えて茅野に入り蓼科白樺有料道路を走って白樺湖のユースに投宿します。翌日はユースホステルを出てから大門峠、鈴蘭峠を走って茅野市から富士見町を経由して韮崎まで行きます。途中でこの日予約したユースホステルまでの道を尋ねますが、時間もかかるし途中の山道も危険だと聞きます。とりあえず韮崎駅前まで行ってから、やむなくユースをキャンセルし、近くの旅館に泊まります。最終日は自転車の手入れをしてから出発、双葉、甲府、石和、勝沼と走って、笹子トンネルを抜け、さらに大月、上野原と走って午後5時近くに相模湖に辿り着きます。ここからは暗くなった中を走り、8時過ぎに横浜へ帰りつきました。


目次にはありませんが、66ページには「自転車デザインコンクール 入選発表」と題した「第2回自転車デザインコンクール」で入選した作品3台を写真入りで紹介しています。入選作は3台とも小径車で、うち1台は折り畳みも出来るようになっています。


「カタログ紹介 VAR」

フランスのパリに会社と工場があるバール社は、二輪車に関する各種の工具を専門に作って全世界に輸出しています。今回紹介しているのは1966年度のカタログで、全部で51ページありますが、ここで取り上げているのは最初から3分の1ほどの自転車用だけになります。カタログページの写真と共に紹介している工具は「フリー外し」「フリーチェンホイールのバイス、ギヤ外し、チェン切り」「ハブ、ブレーキ、チェンホイール用工具」「クランク、ハンガー工具」「スポーク用工具」「車輪組立用工具」「自転車組立スタンド」「特殊プライヤー」「プライヤー」「スパナ類」「リーマ・ドリル」「ダイス・タップ」とバラエティに富んでいます。


「新製品ガイド」

こちらは自転車部品や用品などを紹介するコーナーです。今回は島野工業の「333 スカイラークディレイラー」、三共ゴムのエバトップチューブラータイヤ5種等を取り上げています。


目次にはありませんが、82ページには「読者サービス行事お知らせ」と題して、「軽井沢・神津牧場を楽しむサイクリング」と「サイクルレース映画観賞会」の二つのイベント開催告知が掲載されています。


「PRコーナー」

このコーナーでは、カタログや書籍を紹介しています。今回は、島野工業の「変速機のしおり」、東叡社の「オーダーメイドのポイント」、山王スポーツ発行の「プジョーカタログ」、片倉自転車の「片倉シルク号カタログ」が取り上げられています。


「パニアバッグ」

このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号は、「700Cとは何ですか」や、「本誌の到着が一か月も遅れてくるがどうしてか」といった質問が寄せられています。


「サイクリング東西南北」

このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回はJCAと各地のサイクリングクラブから寄せられたニュースが掲載されています。


「交換案内」

自転車や部品の売りたし買いたしのコーナーです。今月号は、完成車の売りたしにナショナルの60段変速(フロント4段xリア5段x内装3段)が出ています。


1967年3月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士スパートフォア 富士シングルエイト」でした。

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