ニューサイクリング 1967年11月号(No.40)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1967年11月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1967年11月号は、通巻40号です。
この号の表紙は「じてんしゃ その7」です。
通巻40号の目次をページ順に追うと、
口絵 第二回サイクリングトロフィーの記録から
22 ミニサイクル 新しいイメージの自転車
31 新車紹介
32 乗鞍・美ヶ原
40 想い出の夏
44 レポート 九州一周旅行
46 ESCA 夏の報告
48 あの道この道 慈光みち
52 日本の伝染病
54 第2回サイクリングトロフィー報告
60 PRのページ
61 あちらの雑誌
62 オーダーメイド読本(7)
67 ディレイラーについて
82 フランス通信 1時間レースのこと
86 イタリア通信 アンチドウピングについて
88 実業団ピスト大会
90 東北選手権・学生選手権の記録
92 代理部だより
94 東西南北
96 パニアバック
105 交換案内
108 ロードタイムトライアル
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
「MINI CYCLE 新しいイメージの自転車」
これは今月号の特集記事で、当時の日本では「小輪車」と呼ばれていた、現在ではミニベロとか小径車と呼ばれている自転車を取り上げています。冒頭の文では、「セーフティバイシクルの登場以来始めて自転車が持っていいるイメージを変えるほどの変化を与えている」といっているように、当時見慣れていた26インチホイールにダイヤモンド型フレームに対して、径の小さいホイールと今までよりも太い鋼管の変型フレームは異様な感じを与えていたようです。記事では自転車の歴史とミニベロの出現について触れた後、当時の映画や雑誌に登場したミニベロやミニベロの使われ方を紹介しています。後半では当時、国内外で販売されていたミニベロ、海外製ではモールトン、グラチェラ、レニアーノなど、国産ではBS・ピクニカや片倉・ポーターシルクなどを写真入りで紹介しています。
「ニューモデル拝見」
ここでは、メーカーやショップから発売された新型車を紹介しています。今回紹介しているのは「アルプス・クイックエース」です。当時は自転車をばらして輪行袋に入れて車内に持ち込むことができるようになっていました。また、近く輪行袋の車内持ち込みが全面的に緩和されるという時期でもありました。アルプス・クイックエースは、工具はペダルレンチのみで、あとはウイングナットやクイックレバーで分解できるようになっています。他にも特徴としてステムの引き上げ棒をやめてレバーで固定し、同時にヘッドをばらすようにしたこと。後泥除けはブリッジの所で切ってそこだけ取り外せるようにしたこと。後輪を外した時にチェーンがたるまないようにチェンフックを付けたこと等が挙げられています。
「乗鞍・美ヶ原」
これはこの年の夏、筆者が友人とともに4人でツーリングに出たサイクリング紀行です。初日筆者一行は新宿駅発の鈍行列車で松本まで行き、自転車を組み立ててから全舗装の道を上高地方面へ向かい、梓川を渡って島々にある旅館に泊まります。二日目は島々を出た後すぐにジャリ道となり、前川渡から安房へ向かう頃にはつづら折れがきつく押して上がり、番所原を抜けて国民休暇村ヒュッテで大休止します。このあとは二つ目のつづら折れにかかり、また押して上がっていきこの日の宿、位ヶ原山荘にたどり着きます。三日目は宿を出て途中で自転車を預け、剣が峰の頂上を目指します。頂上から戻った後は平湯温泉までダウンヒルを楽しみます。平湯からは安房峠を越えて中の湯を過ぎ、坂巻温泉まで行って宿を取ります。四日目は夜明け前に宿を出て沢渡、前川渡、奈川渡、島々を通って松本駅まで行き、昼食をとったあと松本城を見学します。この日は松本を後にして美ヶ原へ上り、山本小屋まで行きました。五日目は白樺平、長門、望月を通って岩村田に宿を取り、最終日は早朝から小諸、軽井沢、碓氷峠、安中、高碕、本庄、深谷、熊谷と通って帰宅しました。
「想い出の夏」
この文は、筆者が友人と二人で輪行サイクリングに出た紀行文です。二人は輪行で移動、夕方に日光駅についてからは自転車を組み立て、待合室で夜を明かすことにします。しかし、深夜筆者は友人に声をかけて出発することにします。午前二時いろは坂のゲートを通り、坂を登り切ったところでテントを張って仮眠を取りました。翌日は明智平、中禅寺湖、湯ノ湖を抜け金精峠を越えて菅沼まで下ってから食事をとり、丸沼、白根温泉を過ぎて片品川の河原でキャンプ泊します。次の日は椎坂峠を越え沼田、渋川、伊香保と進み、この日は伊香保のユースホステルに泊まりました。翌日以降は榛名山まで走ったあと、高碕、長野まで汽車で移動してからまた自転車で走る予定としていましたが、長野で友人が風邪をひいてしまったため、水戸に帰宅することとなりました。
「サイクリングレポート 九州一周旅行」
筆者は宇和島から船で別府まで移動、初日は走り始めてからは宇佐神宮に寄ってから小倉まで進んで学校に泊まります。翌日からは、若戸大橋を渡ってから福岡、唐津、伊万里、佐世保、時津町、長崎まで三日かけて移動し、長崎市内で観光をしてから雲仙まで走って公民館で眠ります。次の日は島原港から三角港へフェリーで渡り、天草五橋を渡って熊本市内の公民館に泊まり、翌日は熊本城を見学して宇土、八代、水俣を通って川内市内の寺に泊まります。翌日は鹿児島まで行って桜島に渡り、都城市手前の村の公民館に泊まり、翌日は宮崎、戸農町の公民館泊、翌日は別府まで進んで風呂に入ってから公民館に泊まります。次の日は阿蘇に登り、やまなみハイウェイを走って湯布院で野宿しました。翌日は湯布院を出て志高湖に寄ってから別府のフェリー乗り場まで走ったあとは待合室で眠り、夜のフェリーで八幡浜港へ渡り、夜が明けるまで桟橋で眠ったあと60km余りを走って帰宅しました。
「ESCAラリー報告」
この文は、東日本学生サイクリング連盟(ESCA)の夏ラリーのイベントレポートです。このラリーには11校73名が参加し、上田、田沢温泉から鳥居峠を越えて浅間高原の車坂峠の高峰ロッジまでのコースを走って3日間で行われました。この年は「山岳サイクリング」をテーマとして開催されました。初日は上田駅に集合したあと田沢温泉までポタリング、晩はミーティング、情報交換を行いました。二日目は鳥居峠を上って峠の茶屋で昼食、午後は田代湖まで下ってから車坂峠を上りました。宿に到着後、この日の夜はキャンプファイヤーが行われました。三日目は朝から閉会式の後解散となり、小諸まで下りました。最後にはイベントを終えての反省点などを述べてレポートを終えています。
「あの道この道 慈光みち」
このコーナーは、現在でも残っている旧街道の道のりや名残などを紹介しています。今回は坂東三十三観音の十番(巌殿山 正法時)と九番(都幾山 慈光寺)を結んだ慈光道と呼ばれた巡礼街道を取り上げています。
「日本の伝染病」
今回は当時の日本における伝染病による死亡率を紹介しながら、欧米の先進国に比べて数倍から十数倍高い現状を取り上げています。このことから、知らない土地を走るサイクリストは特に注意しなければならないと勧告しています。他にも血液について、寒さは低血圧にとっても悩みの種であること、また当時は輸血血液の99パーセントを売血に頼っている状況を打破するためとして、献血の普及を訴えています。
「第二回サイクリングトロフィー」
ここでは10月に行われたサイクリングトロフィーの実施報告と結果紹介、またペーパーテストの問題と解答、実走テストの採点項目を解説しています。冒頭ではこの年のテストが昨年の「ベストサイクリスト」を選ぶ内容から「バッジテスト」的な「サイクリストならば最低これだけのことは知らなくてはならない」という内容で行われたことを伝えています。その結果としては、この年の上位入賞者の大部分が一般社会人クラブに所属しており、大学クラブの所属者達は全体に成績が悪く上位入賞者は二年ともなかったということです。
「PRコーナー」
このコーナーでは、カタログや書籍等を紹介しています。今回は、「東京サイクリングセンターカタログ」、JCAが教育関係者に配布するために作った「学校におけるサイクリング指導の手引」、県協会がまとめた「岐阜県サイクリングコース」、鳥山新一氏著の「ロードタイムトライアル入門」を紹介しています。
また今回は雑貨類として、本物のだるま自転車、テラコッタ風の置物、レースの絵があしらわれた赤ん坊用ブラウス等を紹介しています。
「あちらの本と雑誌」
このコーナーでは海外の書籍や雑誌を紹介しています。今回はイタリア・カペリ社が発刊したジモンディの子供の頃から当時までの活躍を描いた本、ツール・ド・フランスを特集した「ミロワール・デュ・シクリスム89号」「スポーティングサイクリスト9月号」、「ル・シクリスト7・8月号」を取り上げています。
「連載講座 オーダーメイド読本」
このコーナーは、これからオーダーをしたい、あるいはオーダーをしたけれど何となくしっくりこないという問題を持っている人達の視点で考えていく企画の連載です。第7回は「自転車の性能」のなかから車種別要求機能を取り上げています。今回からは数回にわたり、ルネルスとゴエランのカタログの完成車の中から参考になるものを取り上げて車種による要求機能について解説していきます。今月号では一般用車として、軽快車と運搬車に求められる機能について解説しています。紹介されている車種は、ルネ・エルスのカタログから「ヴィレ」と「ポーター」が取り上げられています。
「ディレーラーについてのお答え」
ここでは前月号の東北一周レースの記事に掲載された筆者のトラブルに関する意見に対して、前田鉄工所の専務である河合淳三氏が参考として「チェン外れの件」「トップノーマルについて」「テンショナーについて」に関して私見を述べています。
「L'ESSAI SUR LE CYCLISME FRANCAIS」
この記事は、フランス在住の加藤一氏によるフランス通信です。今回は最初に、世界戦が終わった後の日本選手による欧州での健闘ぶりと、パリ・ツールでのベテラン選手優勝の報を伝えています。またこの時期にパリで興味の中心になっていたのは、ジャック・アンクティルのアワーレコード挑戦にまつわるドラマでした。アンクティルはアワーレコードで新記録を樹立したもののその後のドーピングコントロールに現れず、まる一日行方不明となり、二日目に48時間後の検査を受けたことが問題となり、結果的にタイムはUCIに公式に記録されるが公認はされないというものでした。これと併せて、アワーレコードに挑戦しているベルナール・ギョイヨの使用車に関する審議についても伝えています。
「イタリア通信 アンチドウピングについて」
この文は、イタリア在住の日本人から寄せられたレポートです。今回は「世界選手権大会の残した問題」と副題を付け、イタリアのスポーツ誌の記事を取り上げています。記事ではモデルケースの一つとしてオランダの競技連盟による取り組みと調査結果、その結果に対する選手の反応を紹介。また、当時使われていた興奮剤のことやそれにかかわる人々のこと、それらを踏まえた勧告案も紹介しています。
「東西で初の実業団ピスト大会」
ここでは9月に岸和田競輪場に於いて、また10月に後楽園競輪場に於いて行われた、実業団連盟としては初となるトラック競技「第1回西日本実業団対抗大会」「第1回東日本実業団対抗大会」の競技結果が掲載されています。
「東北選手権・学生選手権の記録」
ここでは「第8回全日本学生個人選手権大会」「第19回東北選手大会」と、「第3回宮城県プロ選手権大会」の1000mタイムトライアルの競技結果を掲載しています。
「代理部だより」
ここではサイクル出版社の代理部で取り扱っている書籍他を案内しています。今回は、日本サイクリング協会発行の「サイクリングハンドブック」「誰でもできる楽しいサイクリング」「JCAモデルサイクリングコース(三分冊)」「自転車競技入門」、ベロクラブトオキョウ発行の「東京オリンピック自転車競技写真集」、日本アマチュア自転車競技連盟理事長の半生記「我楽多人生」、フランスのレース入門書「ラクルス・アン・テート」、NC誌増刊「六十七年自転車競技年鑑」他を紹介しています。
「サイクリング東西南北」
このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は八つのサイクリングクラブから寄せられたニュースと第60回広島市民サイクリング開催告知が掲載されています。
「パニアバッグ」
このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号は、文通希望、サイクリングブームに対する高校生からの意見、NC誌発行日への苦情、沖縄渡航に関する質問、網走の博物館で見た珍しい自転車の情報などが寄せられています。
「交換案内」
自転車や部品の売りたし買いたしのコーナーです。今月号は売りたしの完成車が36台と過去最高の台数が出品されています。
「第1回ロードタイムトライアルレザルト」
これはロードタイムトライアル同好会主催により、熊谷BSテストコースで行われた大会のレポートです。トライアルは丸タイヤ使用の第1グループ、WO使用の第2グループ、ジュニアの第3グループが30km、第4グループの女子が15kmの距離で行われました。トップタイムは47分39秒、女子は33分16秒という結果でした。
1967年11月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士キャンピングテン」でした。
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