ニューサイクリング 1968年1月号(No.42)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1968年1月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1968年1月号は、通巻42号です。
この号の表紙は「じてんしゃ その9」です。
通巻42号の目次をページ順に追うと、
口絵 旅のスケッチ帖から
18 特集 新春双輪随筆
32 新連載 ヨーロッパのみやげ ミニミニアムス
38 信州の峠二題 杖突街道 高峰高原と車坂峠
43 雨の三国山越え
48 レポート 新しい道を求めて
49 レポート 峠越え失敗記
51 レポート 秋の三陸海岸へ
52 レポート 暮坂峠
54 泥んこ道のポタリング
56 セフティラリイ始末記
58 あの道この道 日光例幣使街道 その2
61 課外講座 酒・さけ・サケ
口絵 読者からの年賀状
78 フランス ムッシュウ プロオとアワレコード
84 イタリア CTPクラブラン参加記
86 連載 シクリスム概論
90 レースの記録
92 連載 オーダーメイド読本
97 外国雑誌紹介
98 ニューモデル拝見
99 新製品メモ
100 JCAモデルコース・勉強会
101 アクセサリー・PRコーナー
102 東西南北
103 性能テスト
104 パニアバッグ
108 代理部だより
110 北海道初の自転車道路
113 交換案内
115 代理店名簿
116 編集後記
116 表紙のことば
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
「'68新春双輪随筆」
これは今月号の特集で「新春双輪随筆」と書いて「はつはるさいくりんぐえっせい」と読ませています。ここには、9編のエッセイが掲載されています。掲載されているエッセイの題名筆者を掲載順にご紹介すると、「冬ざれに思う」興津武雄氏、「アイデア」菅沼達太郎氏、「国破れて自転車あり」高橋長敏氏、「自転車百年」坪井弥太郎氏、「自転車競技と8ミリ」野村謙三氏、「夜行日帰り」萩原慎一氏、「サイクリング賛歌」前田安雄氏、「転落・下痢・転落」山田鉑雄氏、「OB界のこと」今井彬彦編集長となっています。
「ヨーロッパのみやげ 第1話 ミニ・ミニアムステルダム」
これは今月号から始まった連載で、沼勉氏の執筆による2か月間にわたりヨーロッパを旅した海外自転車見聞録です。筆者はアンカレッジを経由して、オランダ・アムステルダムに降り立ちました。オランダは自転車王国といわれる通り自転車が道路を支配しており、当時は朝夕は自転車が道路の三分の二以上を占めており、自動車は道路の端をソロソロ遠慮して走っていました。また道路ばかりでなく、街角や広場、駅、学校には自転車置き場が完備されており、汽車には自転車専用の貨車が接続されていました。筆者はその他にも、オランダに滞在した2週間の間に感じたこの国で自転車が普及した理由や自転車のタイプ等、オランダ自転車事情について綴っています。
「信州の峠二題 春の巻 杖突街道のんびりの記」
この文は、クラブの仲間とともに行った輪行サイクリング紀行です。筆者は雑誌「サイクル」に掲載された今井編集長執筆の「信州紀行」を読んでいつか全部走ってみようと思い、杖突峠にハンドルを向けました。一行の7人は新宿発の最終鈍行に乗って茅野駅まで行き、自転車を組み立て駅前の食堂で朝食を済ませてから出発します。走り始めてすぐに峠の上りが始まり、最初の休憩地までは揃ってきましたが、以降は自由に走ることとしました。筆者は別の道を見つけ、担いで登るような道を進みます。道は峠の茶屋の裏側に通じており、先に行ったメンバーよりも早く茶屋に着きました。一時間ほど休憩をした後は少し上がった峠を越え、下りにかかり高遠方面へ向かいます。高遠の少し手前で道を折れ、目的地の山室鉱泉の宿にまだ日の高いうちに到着しました。翌日は、宿の主人に教えてもらった高遠へ出る旧道を走り、高遠で観光してから伊那まで下りました。一行は伊那北駅で自転車を送る手配をし、あとは列車に乗ってビールで乾杯しながら二日間のツアーを締めくくりました。
「信州の峠二題 秋の巻 高峰高原と車坂峠」
この文は、クラブの仲間とともに行った輪行サイクリング紀行です。筆者はクラブの仲間とともに8人で上野駅を最終の夜行で出てから高碕乗り換えで長野原まで行きます。自転車を組み立てて朝食を済ませ、駅前からの登りを走り始めます。田代から鹿沢温泉方面に進み、この後の本格的な登りを押したり乗ったりしながら車坂峠までたどり着きます。ホテルで熟睡した翌日は、小諸までの17キロをスローペースで下って行きます。小諸では懐古園に寄ってから国道18号を走って軽井沢、碓氷峠を下りて横川の駅へ。ここで自転車を預け、座席指定の急行に乗って家路につきました。
「雨の三国山越え」
筆者はクラブの十周年記念として始めた峠越えツーリングの3回目として、秩父越えのニューフェースとして登場したルートを選びました。しかし「すげえ峠だ」という下馬評の為、皆信越線廻りのルートで出発してしてしまい、三国山越えは筆者ともう一人のみになってしまいました。初日は正丸峠を越えて中津渓谷を進んで中双里の宿に到着します。翌日は渓谷沿いの林道を進んでいきますが、山越えの林道は全面通行禁止となっていました。工事で発破を使っているためで、通行許可が出るまでゲート前で二時間半ほど待たされます。走り始めるころは雨が降ってきていて、道はグシャグシャの泥んこ道と化しており押して登るよりありませんでした。峠の下りは川のようになった轍のおかげでホイールはきれいに洗いあがり、下りきる頃には天候も急速に回復してきました。そして、筆者は最後のひと踏ん張りでクラブの仲間が待つ松原湖に向かいながら、こんなに道の存在を強く印象付けるものはサイクリングに他にあるのだろうかと思うのでした。
「サイクリングレポート 新しい道を求めて」
筆者は夏休みのある日、思い立って午後からサイクリングに出かけます。走る予定は、醒ヶ井養鱒場そばの林道を奥へ入り、榑ヶ畑の集落を抜けて汗ふき峠をこえて多賀へ抜けるコース。夏休みで混んだ養殖場は素通りし、急になってきた道をひたすらにペダリングします。さらに進むと道も相当悪くなってきたので、降りて押すことにします。登山標識をたよりに狭い道を悪戦苦闘しながら上がっていくと家が見えてきました。ここは榑ヶ畑と呼ばれる消滅集落です。これをさらに進むと汗ふき峠に辿り着きます。ここからは下りですが、しばらくは急な道で押しており、乗れるようになってからは家までダウンヒルを楽しみました。
「サイクリングレポート 峠越え失敗記」
予備校が夏休みに入った筆者は、朝早く目が覚めたので写生を兼ねたサイクリングに出ることにします。キャンピング車にサイドバッグを4つ付け、キャンプ道具と写生道具を積んで家を出ます。奥多摩街道を走って奥多摩湖へ向かいますが、青梅市街は通らずに山側を走りました。急な登りを何とか走り切ってダムに到着し、弁当を食べて休憩していると同年代サイクリスト5人グループと出会います。一旦は分かれて走り始めるも途中の浮橋で再会し、一緒に峠越えすることにしました。しかし、この道は自転車を押したり担いだりせねばならず、とうとう頂上まで行くことはあきらめて戻ることにしました。浮橋まで戻ってからは一気に下って青梅まで走り、さらに羽村を抜け福生で5人と別れてからは一人で帰路につきました。
「サイクリングレポート 秋の三陸海岸へ」
筆者は、宮城県初の電車サイクリングに参加しました。参加者は約50名で、コースは仙台から石巻まで電車で移動したあと、石巻駅前で開会式をして出発。渡波海水浴場、女川港を経て目的地のリアスブルーライン竹の浦に到着します。ここで昼食とキャンプファイヤーを囲んでのレクリエーションを行い、帰路ではクジラの処理工場見学等をして石巻から再び電車に乗って帰ってきました。
「サイクリングレポート 暮坂峠」
筆者は、上野発の鈍行に乗って渋川駅まで、初めての輪行移動をします。駅で自転車を組み立てた後、まずは中之条を目指して出発します。中之条では遅めの昼食をとり、沢渡温泉まで走って宿に入ります。翌日は、快晴の中を峠めざして登ります。途中押して上ることがあったものの、午前の早い時間に暮坂峠に到着しました。峠で一時間ほど休憩してから下りにかかり、長野原で国道に出ます。川原畑ではかつ丼を食べ、川原湯の先で遊歩道を谷底まで下りて蛇行した流れを見てから、国道をスピードを楽しみつつ中之条まで戻ってきます。当初はここから輪行で帰るつもりでしたが時間が早かったので渋川まで向かうことにして走りだしました。
「泥んこ道のポタリング2 第二回サイクリングトロフィーに参加して」
この文は、サイクリングトロフィーに参加した筆者による参加記の連載です。連載2回目はイベント後半のレポートです。休憩の後はヒルクライム、マップリーディングのゲートを通過、最後まで無事走り切りますが、最後のゴールでは右折信号を出し忘れてしまいました。実走テストの後はパンク修理のテストを行って終了となりました。レポートの後半では、当時のサイクリングの普及状況に対する意見と将来に対する期待を述べています。
「セフティラリー始末記」
この文は、当時、神奈川サイクリング協会(KCA)理事を務めていた山本貞夫氏によるイベント運営レポートです。KCAは、「サイクリングトロフィー」の地方版ともいうべきイベントとして「サイクルセフティラリー」を開催しました。このイベントはトロフィーの方法を下敷きにし、ペーパーテストは行わずに実技のみで行いました。申込者は55名あったものの、当日は雨模様だったため出走者は38名でした。結果はコースマーシャルのゲートでの失点者が続出し、マップリーディングに至っては惨憺たる有様でした。しかし、大会後の反響は大きく、事務局への問い合わせやクラブで反省会を実施する等、この大会の趣旨とした「安全で楽しいプライベートランを行うのに必要な最低限の知識をこのような大会を通じて習得していく」が良く理解されたようだとしています。
「あの道この道 日光例幣使街道 」
このコーナーは、現在でも残っている旧街道の道のりや名残などを紹介しています。今回は日光の大祭に京都の皇室から宣命を読む使者として日光に下向する例幣使が通行した街道を取り上げています。今回は宿泊した栃木市を発ち、金崎、楡木を抜け、鹿沼からは杉並木が始まります。例幣使街道もこの天然記念物に指定されている杉並木街道で植樹の碑があります。筆者は更に進んで、日光街道を走って東照宮を通り過ぎ、旧道を走って馬返からはバスでいろは坂を登っていきました。
「酒・さけ・サケ」
ここでは酒(アルコール)に関する古今東西の評価と、飲酒による効用および飲酒量による影響について、数値データなどを挙げて具体的に解説しています。
「読者からの年賀状」
65ページからは口絵として、読者やサイクルショップから編集部に送られてきた年賀状を20件紹介しています。
「L'ESSAI SUR LE CYCLISME FRANCAIS ムッシュー プロオと一時間のレコードのこと」
この記事は、フランス在住の加藤一氏によるフランス通信です。今回は、当時プジョーチームのスポーツディレクタを務めていたガストン・プロオ氏に、プジョーチームの活動と、フェルデイナン・ブラック選手のアワーレコード挑戦のことを聞いています。記事の中ではブラック選手がアワーレコードに使用した、完成重量5960グラムで組みあがった自転車も写真入りで紹介されています。
「イタリア通信 サイクリングクラブ CICLO TURISTICA PERUGIA クラブラン参加記」
この文は、イタリア在住の日本人から寄せられたレポートです。今回は筆者がイタリアで所属しているクラブのクラブランを走ったレポートを届けています。筆者は夜明け前に集合して、クラブ員と共にバスで出発地に移動します。そこではクラブ員に自己紹介したあと、出発となります。道路はほぼ舗装路で、小さな丘を五つ程越えて登りっぱなしの道を40キロ走ります。折り返し地点からは往路とは別のルートで出発地に戻ります。日本でのサイクリングは8時に出発して5時に帰宅していた80kmの距離ですが、彼の地では3時間半で走り切りました。ファストランといえるサイクリングでしたが、イタリアではこのクラブがスピードに関しては一番うるさくないという事でした。最後に筆者は、今回参加したクラブランやイタリアにおけるスピードに関する系列から自転車競技の強さや、日本との違いを感じたと感想を述べています。
「シクリスム概論 自転車競技の基本」
これは鳥山新一氏の執筆による、自転車レース全般に関して根本的な問題から手掛け、客観的、体系的に整理してまとめ上げようと企画した連載です。第17回は「第一篇 基礎篇 第四章 レースの運営」として「サイクリストとイベントのクラス分類」について論じています。今回は、前回のフランス、ベルギーに続いてイギリスの例を紹介しています。イギリスは大陸と同じようなグループ分けとなっていますが、クラス分類は大きく異なっている点があります。ロードタイムトライアルはイギリスではアマチュアのみでプロがなく、その点を中心にクラス分類を解説しています。
「レースの記録」
ここには、「第2回全日本学生タンデム選手権大会」「メキシコプレオリンピック日本選手の成績」「第2回九州地域道路競走大会」「高石杯第2回関東地域道路競走大会」「第5回関東地域バッチテスト合格者大会」「千葉県選手権大会」の結果を掲載しています。
「連載講座 オーダーメイド読本」
このコーナーは、これからオーダーをしたい、あるいはオーダーをしたけれど何となくしっくりこないという問題を持っている人達の視点で考えていく企画の連載です。第9回は「自転車の性能」のなかから車種別要求機能を取り上げています。この項では、ルネルスとゴエランのカタログの完成車の中から参考になるものを取り上げ、車種別の要求機能について解説しています。今月号はスポーツ車、そのなかでもレース用車を含まない、サイクリング用車を取り上げています。今回はフランスの、シクリスム(自転車競技)とは区分されているシクロツーリスムに関するイベントに焦点を当てて紹介、解説しています。紹介されている車種は、ルネ・エルスのカタログから「ディアゴナール」が取り上げられています。
「外国雑誌紹介」
このコーナーでは海外の書籍や雑誌を紹介しています。今回は「ミロワール・デュ・シクリスム92号」「アメリカサイクリング11月号」「ル・シクリスト9・10月号」を取り上げています。
「ニューモデル拝見」
ここでは、メーカーやショップから発売された新型車を紹介しています。今回紹介しているのは、光風自転車の大きいヘッドランプが特徴の「アブ」、ツインランプとセーフティレバーが特徴の「ジャック」、旅行車タイプの「アルピナ」、トランジスタ作動による自動交互点滅式のフラッシャーを装備した「フラッシャー」を写真入りで紹介。他にも「カトレヤ」「マークエイト」「レコードエース」にも触れています。
「新製品メモ」
こちらは自転車部品や用品などを紹介するコーナーです。今回は吉貝機械金属のギドネットレバー、太平サドル製作所の「コンペシートピラー」、ソービッツの「G45N」「G75N」「4L58N」等を取り上げています。
「JCA作成設置モデルコースの案内板」
ここでは、JCAが作成したモデルコースのうち東日本関係「伊豆半島横断コース」「八ヶ岳山麓縦断コース」「暮坂峠吾妻溪谷コース」の三つのコース案内図を現地に設置したことを伝えています。
「スポーツ車販売店の勉強会」
ここでは販売店に向けた勉強会が行われたことを報じています。この会は特別な組織はなく、その時々に応じて開かれるもので、第1回は寺島常蔵氏による「四三度のスポーツ車販売店の動向とその対策」と題した講演でした。
「ACCESSOIRE DE VELO」
このコーナーでは、自転車関連のアクセサリー類を紹介しています。今回は、イタリアの綱渡りする人形、ネクタイピン3種、のれん、他を紹介しています。
「PRコーナー」では、自転車関連のカタログや書籍等を紹介しています。今回は、自転車産業振興会が発行したパンフレット「自転車」、高体連主催・関連試合の「自転車競技第三号」、サイクル時報社発行の「関東輪界電話便覧」、「ツノダ自転車カタログ」を紹介しています。
「サイクリング東西南北」
このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交歓の場所としてニューサイが提供しているページです。今回はJCA、西日本大学サイクリング連盟、高体連自転車部と六つのサイクリングクラブから寄せられたニュースと、広島サイクリング協会から広島市民サイクリングの実施報告が掲載されています。
「自転車の性能テスト」
これは自転車産業協会が3年にわたって伊豆半島で行われてきた実走テストのレポートを伝える囲み記事です。
「パニアバッグ」
このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号は、メカに関する質問他、10件の投稿が掲載されています。
「北海道初の自転車専用道完成」
この記事では、旭川市に自転車専用道路が開通したことを報じています。道路は幅2.5米で車道より十糎高く、歩道より五糎低く、車道との間にガードフェンスが設けられた、北海道護国神社前より国立療養所旭川病院前までの2.1粁です。そして霧のなか、10月30日に開通式が行われました。
「交換案内」
自転車や部品の売りたし買いたしのコーナーです。今月号の部品売り出し価格を見てみると、ホイールセットが4000円台から5000円台と、完成車やフレームに次いで高く、次に外国製サドル、ブルックスやイデアルが2000円台となっています。
1968年1月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士フラッシャーF10・F5」でした。
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