ニューサイクリング 1968年3月号(No.44)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1968年3月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1968年3月号は、通巻44号です。

この号の表紙は「自転車のある部屋」です。

通巻44号の目次をページ順に追うと、

口絵 ウイングナットコレクション

 18 巌道峠 銀色のみち

 22 瀬戸路の年越し

 32 サイクリングレポート 道坂峠

 34 サイクリングレポート 京都へ初サイクリング

 36 あの道この道  旧川越街道 その2

 40 連載対談やあどうも・・・・・菅沼達太郎氏 サイクリングの初期のころ

 50 連載 10,000キロの自転車旅行

 56 連載 ヨーロッパのみやげ 世界選手権開幕

 63 レース界の話題

 76 連載 シクリスム概論

 80 連載 オーダーメイド読本

 84 課外講座 春の衛生

 88 PRコーナー

 89 いじわるせくしょん

 90 新製品メモ

 91 ニューモデル拝見

 92 東西南北

 94 パニアバッグ

 98 代理部だより

100 交換案内

106 代理店名簿

108 へんしゅうこうき

となっています。

主な記事の内容を以下にご紹介します。

※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。


「巌道峠」

この文は、山梨県の秋山村と道志村を結ぶ峠越えの道を走ったサイクリング紀行です。12月の中頃早朝、筆者は友人二人とともに自宅を出発します。途中でもう一人と合流し、4人で甲州街道を大垂水に向かいます。峠を越えたら数十米下ったところで小径に入り、相模湖へ抜けます。一行は昼食をはさみながら、雪景色の中をさらに進んで秋山村から目指す峠へ向かいます。安寺沢を過ぎたあたりからはいよいよ乗っていけなくなり、雪を踏みながら上ります。ようやく巌道峠に到着したのは四時だったので、一行は暗くなる前に久保に向かって下っていきました。


「瀬戸路の年越し」

この文は、年末年始の休みを使って走ったサイクリング紀行です。この年の3月に新社会人として働き始めた筆者は正月に一週間の休みが与えられることとなったので、ツーリングの計画を立てます。休みに入って初日は名古屋から新幹線で新大阪まで輪行し、自転車を組み立てた後、門限を気にしながらユースホステルへ向かいます。翌日は大阪城を見学してから、明石に向けて走り出します。明石からはフェリーに乗って、淡路島の岩屋に渡ります。島に渡ってからは、強くなってきた風のなか国道を進んで洲本のユースに入りました。ツーリングの二日目は国道28号を走って南淡から鳴門に渡り、高松まで走り栗林公園近くのユースに辿り着きました。大晦日は栗林公園を散策してから出発、金刀比羅宮、山本町、川之江を経由して新居浜まで進んで旅館に投宿します。正月元日は国道11号を行って松山市まで、翌二日は堀江からフェリーに乗って呉に渡り、広島まで走ってユースホステルに泊まります。翌日は国道2号で広島から三原、尾道、福山と過ぎて笠岡まで進んでユースに入ります。ツーリングの最終日は寝坊して1時間遅れでの出発となったものの、午後二時頃に岡山を発つ汽車に間に合うよう、自転車を走らせました。


「サイクリングレポート 道坂峠」

筆者は9月に予定したいたものの連日の雨によってのびのびとなっていたサイクリングに、寝正月に飽きた頃出かけることとします。午前一時に世田谷の自宅を出発、大垂水峠で腹ごしらえをした後は上野原、大月、都留と進み、雪が積もった道を峠に向けて長いアプローチを上り始めます。9時頃には峠のトンネルを抜け、そこで弁当を広げて休みを取ります。休憩後はタイヤの空気を抜いてから一部アイスバーンになった道を慎重に神地まで下っていきます。川原畑では前年の九月号の口絵に出ていた景色に出会い、写真に撮ります。道志七里を走り、舗装路に出てからは前後輪とも空気圧を上げ、橋本、聖蹟桜ヶ丘、府中と道を飛ばして午後三時、帰宅しました。


「サイクリングレポート 京都へ初サイクリング」

一月の中旬の午後、筆者はクラブの先輩二人とともに雨の中京都に向けて走り始めます。名古屋市内から国道一号、名四国道と走って四日市市内を抜けた河原の松林で幕営します。翌日は亀山から鈴鹿峠を越えて夕方に京都市内に入り、食材を買ってから池の岸辺で幕営しました。翌日は一面雪景色、一行は朝食後に一日市内観光をしてから自転車を梅小路貨物駅から送り、三人は国鉄バスで家路につきました。


「あの道この道  旧川越街道 その2」

このコーナーは、現在でも残っている旧街道の道のりや名残などを紹介しています。今回は、川越から江戸までの十三里を継ぐ旧川越街道を取り上げています。前回の走りからの続きは筆者宅の近所から、朝霞を過ぎてからは膝折を通り、志木街道との交差を越えて北上し、馬頭観音、上福岡、大仙波と進んで川越市内に入っていくまでとなります。


「連載対談 やあどうも・・・・・菅沼達太郎氏 サイクリングの初めのころ」

この連載は、自転車にまつわる様々な話題を話し合う企画です。今回は、菅沼達太郎氏と今井彬彦編集長による対談です。その話題は菅沼氏が自転車を始める前の山登りのこと、昭和になってからサイクリングを始めたこと、当時の自転車・サイクリング事情などを聞いています。また、その頃に馬喰町に住んでいた和田文平氏との出会いと、そこからサイクリングに熱を上げ始めたこと、当時の部品事情や出会った人々のこと他、色々なことを語ってもらっています。


「第2回 海男児・陸を走って六ヶ月 10,000キロの自転車旅行」

この記事はサイクリング未経験の筆者が、六か月間自転車で走り回った記録を綴った連載です。連載第2回となる今回は、筆者が六本木の海員ビル前から議員や数百人の人々に見送られて出発してから、千葉県庁で映画会を開催してから初日の宿泊地となる木更津までの移動中の出来事と、六か月間のスケジュールと予算について綴っています。また他にも、「或る漁民」「或る学生」「或るタレント」「或る登山家」の死に関する考察を述べています。


「ヨーロッパのみやげ 第3話 世界選手権開幕」

これは沼勉氏の執筆による、2か月間にわたりヨーロッパを旅した海外自転車見聞録の連載です。今回は、アムステルダムで開催された世界選手権の話です。筆者は開幕の前日に競技場を訪れ、各選手の様子を見て回ります。そして、日本から参加している3選手の活躍を楽しみにしつつも、日本と欧州の自転車競技水準の差からしてその活躍は難しいだろうと考えます。そして開幕日、日本と違って形式的なものは何もなく、開幕時間と共に競技開始となり、アマのドミフォンがスタートします。フィールドの様子としては、各国選手の様子、フランスのトランタンやモレロン、チェコのダレル、ベルギーのセルキュ、他の選手についての印象等を伝えています。


「レース界の話題」

ここでは、昭和43年度の「車連・高体連」と「学連」の事業計画案と、自転車競技に関する話題が13件掲載されています。


「シクリスム概論 自転車競技の基本」

これは鳥山新一氏の執筆による、自転車レース全般に関して根本的な問題から手掛け、客観的、体系的に整理してまとめ上げようと企画した連載です。第19回は「第一篇 基礎篇 第5章 走路」として「レースと走路」を論題にしています。今回は始めに「レースの性格、目的と走路」と題し、当時のヴェロドロームについて「正統派」「ショービジネス中心主義」の二つの視点から考察しています。次にトラックレース用走路を「屋外トラック」を「ダートトラック」「グラストラック」「ハードトラック」「ボードトラック」に分類して解説しています。


「連載講座 オーダーメイド読本」

このコーナーは、これからオーダーをしたい、あるいはオーダーをしたけれど何となくしっくりこないという問題を持っている人達の視点で考えていく企画の連載です。第11回は「自転車の性能」のなかから車種別要求機能を取り上げています。この項では、ルネルスとゲーランのカタログの完成車の中から参考になるものを取り上げ、車種別の要求機能について解説しています。今月号はスポーツ車、そのなかでもレース用車を含まない、サイクリング用車を取り上げています。今回は、短距離快走用車に焦点を当てて解説しています。紹介されている車種はゴエランのカタログから「シクロ-スポルティフ タイプ・フェデラル」、ルネ・エルスのカタログからは「フェデラル」が取り上げられています。


「春の衛生」

ここでは、春になると起こる活動の変化とその原因について日照時間が大きく関係していることと、当時の日本人に多かった鉄欠乏性貧血の諸症状とその治療法について解説しています。


「PRコーナー」

このページでは、自転車関連のカタログや書籍等を紹介しています。今回は、プジョーのポスター、「ノートンパーツカタログ」、「城東輪業パーツのしおり」を紹介しています。

この他には、NC増刊号の「1967年自転車競技年鑑」がフランスの「ル・シクル68年1月号」に6ページに渡って紹介されていることを伝えています。


「新製品メモ」

こちらは自転車部品や用品などを紹介するコーナーです。今回は吉貝機械金属の「ダイヤコンペ999ブレーキ」と「ギドネットレバー」、ビンダのトーストラップ、TAのマファック・レーサー専用のフロントキャリア等を取り上げています。


「ニューモデル」

ここでは、メーカーやショップから発売された新型車を紹介しています。今回紹介しているのは、丸石の「丸石ミニック」と「スピード日本ランナー」です。「丸石ミニック」は前16インチ後20インチの小輪車です。「スピード日本ランナー」は快走用旅行車として企画されたモデルです。


「サイクリング東西南北」

このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交歓の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は日本サイクリング協会と、九つのサイクリングクラブから寄せられたニュースが掲載されています。


「パニアバッグ」

このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号はサイクリングやメカに関する質問他、16件の投書が掲載されています。


「交換案内」

自転車や部品の売りたし買いたしのコーナーです。今月号の部品売り出しを見てみると、変速機ではサンプレ、ユーレー、カンパが、ブレーキはマファック、ワイマン、ユニバーサル、他の部品でも外国製部品が散見されるようになっています。


1968年3月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士フラッシャーF10・F5」でした。

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