ニューサイクリング 1968年8月号(No.49)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1968年8月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1968年8月号は、通巻49号です。
この号の表紙は「水郷スナップ」です。
通巻49号の目次をページ順に追うと、
口絵 ツーリングの印象
口絵 コレクション レースの記念品
16 特集・サイクリング紀行 旅としてのツーリング
18 特集・サイクリング紀行 木曽路も飛騨路も山の中
22 特集・サイクリング紀行 開田高原
26 特集・サイクリング紀行 川中島
30 特集・サイクリング紀行 信州の峠道
36 特集・サイクリング紀行 杖突峠・地蔵峠越え
42 特集・サイクリング紀行 帰ってきたサイクリスト(下)
48 特集・サイクリング紀行 雨と泥に悩まされた四日間
54 ここだけの話
58 双輪漫筆
74 イタリア通信24万円の自転車は金のピンセットで?
78 ヨーロッパのみやげ 世界選手権ピスト
84 レースの記録 東南アジア親善大会・関東学生選手権・宮城県高校大会・東京都民大会
88 私のサイクリングあれこれ
94 PRのページ
96 東西南北
98 パニアバッグ
100 代理部だより
107 交換案内
109 代理店名簿
110 編集後記
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
「旅としてのサイクルツーリング」
これは今月の特集で、サイクリングの中でも特に宿泊を伴うサイクルツーリングについて取り上げています。ここでは次ページ以降の紀行文の前段としてツーリングの楽しみ方、走ることはもちろん、目的地や道中にあるモノやコトに関する知識を持って出かけると旅がより深く楽しいものになる。日帰りや行事のようなサイクリングばかりでなく、何物にも興味を感じ好奇心を燃やして自転車を走らせる、一番昔の旅の観念に似た自転車の旅をしてみてほしいと説いています。
「木曽路も飛騨路も山の中」
この文は、今月の特集のサイクルツーリング紀行です。筆者はゴールデンウィークの休みを利用してツーリングに出ます。新宿発の夜行列車に乗り、塩尻で乗り換えて上松駅で先に送った自転車を受け取って組み立て、走り始めます。寝覚の床を見学してから木曽路を走り、地蔵峠を越えて開田高原へ向かいます。峠を下りきると前日発のアルプスの萩原さんが出迎えに出てきてくれており、宿には駅で会ったNCTC京都の一行も到着していました。その晩の合同の夕食の集いは楽しく続きました。翌日はNCTCの一行とは別れ、ACFメンバーで走り始めます。日が差したり雨が降ったりする天気の中飛騨路を行き、長峰峠、美女峠を越えて高山まで走り、食事がデラックスだった宿屋に宿泊。ここまでで、筆者の今年のロングランは終幕となりました。
「開田高原」
この文は、今月の特集のサイクルツーリング紀行です。筆者はサイクリング紀行ではなく、今井編集長からの依頼に従い、開田高原の良さを紹介しています。当時は観光ブームとダム工事が盛んな時期でしたが、開田高原は筆者が初めて訪れた10年前からほとんど変わっていないこと、そして自然以外これといってみるべきものがないところといっています。そして、開田高原の一般についてを説明するとともに、印象的なサイクリングコースを紹介しています。後半では昭和40年にクラブランで木曽を走った時を書いた、クラブの機関誌「よーでる」に載せた木曽八景の転載と、筆者達が考えた木曽新八景と珍八景を披露しています。
「信州紀行のうち 川中島」
この文は、今月の特集のサイクルツーリング紀行で、今井編集長による信州紀行のひとつです。今回は、川中島の古戦場をゆっくり見て回るプランを実行したことについて綴っています。一人旅の多い筆者ですが、この旅は息子と二人連れでのものになりました。筆者はゴールデンウィークに上野発の列車で長野まで輪行し、川中島へ向かって走り始めます。八幡原の中心まで進んだあたりではパイプをくゆらせながら、海音寺潮五郎の天と地とからの引用をしつつ筆者がとめどもない夢想を続ける場面で次号へ続いています。
「信州の峠道 秘められた峠を越えて」
この文は、今月の特集のサイクルツーリング紀行です。筆者は5月の初めにかねてから越えようと思っていた峠へ出かけます。筆者は上野発の臨時急行で軽井沢駅まで輪行し、夜明けごろ駅を出発します。中軽井沢、三ツ石、清万を経由して千米の林道を走って水道水源地から本格的に上りを進み舗装の切れたガタガタ道を押して上がり、ようやく車坂峠に到達します。峠を越えてからは北側に降りていき、鹿沢を経由して再び上りにかかります。この道も荒れており、さらに天気が急変して霧が出た中を地蔵峠までずっと押して上がります。そして、筆者は峠にある山荘に宿をとることにします。翌日は下りから始まりますが、地蔵峠の南側の下りは直線的でダウンヒルを楽しみます。峠の下りを終えて国道18号で上田まで、さらに143号へ入って青木から保福寺峠に向かいます。峠では、俗人化した風景を見て裏切られたような気持になります。一方でその恩恵による整備された道を速いスピードで松本まで下り、輪行で帰路につきました。
「杖突峠・地蔵峠越え」
この文は、今月の特集のサイクルツーリング紀行です。筆者は、かつて信州の秘境と呼ばれた、南信遠山郷へツーリングに出ます。筆者は輪友と共に二人で新宿発の夜行で茅野まで輪行し、早朝の茅野駅を出発します。杖突街道に入ってからは、まずは杖突峠を目指します。地道の峠道を花見をしながら登っていき、峠の茶屋を過ぎて峠を越えからは高遠までずっと下りが続きます。高遠からはまた上りとなり、三峰川に沿って市野瀬まで走り、ここで腹ごしらえしてから急な登りを行って分杭峠を越え、鹿塩までの素晴らしいダウンヒルを楽しんで大河原まで進んで宿をとります。翌日は宿から街道を進んだ後、工事中の林道を迂回して自転車を押したり担いだりしながら地蔵峠に辿り着きます。峠では早目の昼飯としてから、下りにかかります。河原をしばらく進んでから林道に出ることができ、ここからはずっと乗って下り、平岡駅で自転車をたたみました。
「帰ってきたサイクリスト(下)」
この文は、今月の特集のサイクルツーリング紀行で、前月号からの続きです。アルピニストに出会った一行は先の道のりの険しさを言われますが、行けるところまで行って見ることとします。雪崩の現場や氷の壁にふさがれたトンネルなどを何とか越えて広河原のロッジに辿り着きます。管理人はいなかったものの部屋は空いていたので部屋に入って眠りにつきました。翌朝は管理人が出先から帰って来たので、宿泊費を払って出発します。前日に通り過ぎた発電所前を通り、奈良田で食事をとったあと西山温泉まで走り旅館に泊まることにします。次の日は下部を経て山中湖近くの民宿泊、翌日に大月を経て甲州街道を走って帰宅しました。
「雨と泥に悩まされた四日間」
この文は、今月の特集のサイクルツーリング紀行で、浦和第一女子高校春季合宿ツーリングの様子を綴っています。クラブの合宿は、3泊4日で飯能方面へ行くこととなります。事前の準備とトレーニングを行って準備万端、合宿に備えます。初日は終業式の日ですが、途中で通知表をもらって朝から降っている雨のなか、ツーリングに出発します。この日は浦和から大宮、上尾、北本を通って福田鉱泉までの予定ですが、途中から道が悪くなった上に暗くなってきて迷ってしまいます。コーチ役のUCCの方とともに道探しをしてようやく7時頃に福田鉱泉に到着しました。翌日も雨が降り続いており、自転車整備をしてから出発したもののすぐにぬかるみの坂を押し上げることとなります。この日も新しくできた道のおかげで迷ったりしながらも鬼鎮神社に寄り、越生、毛呂本郷を通って聖天院、高麗神社に寄ってから高麗峠に向かいます。この上りでも泥詰まりに悩まされますが、下りは気持ちよく下りていき、この日の宿泊先である飯能のユースホステルに到着しました。合宿三日目、この日も朝から雨が降っていました。朝食後にこの日のコースを検討し、目的地を当初予定していた子の権現から竹寺に変更して出発しました。はじめのうちはクルマが多かったものの途中からはほとんどいなくなり、順調に竹寺に到着、ここで昼食をとってから名栗川沿いに走って飯能のユースホステルに戻りました。合宿最終日はようやく雨が上がり、自転車整備をしてから宿を出発します。この日は金子丘陵、金子坂を登って高倉観音で昼食。その後は、久保稲荷を時間の関係で素通りし堀兼の井戸に寄ったあと東大久保で小休止をいれ、浦和の学校には5時過ぎに到着しました。
「ここだけの話」
これは、綿貫益弘氏によるエッセイです。今回は「旅とその他のこと」と題し、仲間の無人小屋へ出かけて行った時のことと、その時に思いめぐらしたことを色々と綴っています。
「双輪漫筆」
これは「アジアへ、ヨーロッパへ海を越えて銀輪を駆る若者たちからの手紙」と題し、山王スポーツの高橋長敏氏のもとに届いた海外サイクリングをしている若者たちからの手紙を披露しています。今回は南米ツアーに出た駒大OBからのアルゼンチンツアーの報告、インドと近隣諸国を回った者、自転車を持たずにヨーロッパへ出向き高橋氏の計らいでプジョーから自転車を借りて走った者、他から届いた便りが紹介されています。
「イタリア通信24万円の自転車は金のピンセットで?」
この文は、イタリア在住の日本人から寄せられたレポートです。今回は、「チネリ社長が語る自転車のこと」と題してチネリ氏へのインタビューを届けています。話題はアンクティルやブラックがアワーレコードに使用した自転車のことについて。その価格の高額ぶりにささやかれた噂と、それに対するチネリ氏の見解。もう一つは、鋼鉄に対してと溶接に関するチネリ氏の考えを聞いています。
「ヨーロッパのみやげ 第4話 世界選手権ピスト競技」
これは沼勉氏の執筆による、2か月間にわたりヨーロッパを旅した海外自転車見聞録の連載です。今回は、アムステルダムで開催された世界選手権のピスト競技のレースレポートです。レポートを届けている種目は、1000mコントル・ラ・モントウル、プルスイートとなっています。1000mのタイムトライアルは日本からは中谷選手が出場しており、そのスタートに至るまでの中谷選手の様子と、結果は自己ベストを下回るタイムで最下位となったことを伝えています。二つ目の追抜競技はプロとアマの個人、アマの団体、そして女子の四種目があります。日本からはアマの団体追抜きに出場していますが、当時は日本記録と世界記録には20秒以上の開きがあり、筆者はその要因について考察しています。タイムレースで行われた予選結果は全16チーム中15位という結果でした。
「レースの記録」
ここでは、関東学生選手権の開催と韓国派遣選手帰朝の報告他、「第21回都民体育大会自転車」「第17回宮城県高校総合体育大会」「第8回関東学生選手権大会」「東南アジア自転車競技大会」の競技結果が掲載されています。
「ずいひつ 私のサイクリングあれこれ (最終回)」
ここでは、筆者が思っている事や感じた事など筆者個人の意見を様々に語っています。今回もサイクリングに関わるいろいろなこと、カメラ、ギヤ比、軽合部品、メーター、クラブのことについて筆者の経験したことや考えを披露しています。
「各県モデルコースガイド」
このページでは、日本サイクリング協会が各都道府県に調査を委託して作成し、出版されたモデルコース八冊を紹介しています。出版されているのは東京、神奈川、山梨、岐阜、京都、岡山、広島、鳥取の各都府県となっています。
「本誌代理一手扱いとなった外国誌」
ここでは、サイクル出版代理部を通じて国内販売されることとなった雑誌を紹介しています。取り扱われるのは、イギリスの「インターナショナルサイクルスポーツ」、イギリスの「サイクリング」、フランスの「ミロワール・デュ・シクリスム」となっています。
また「新刊案内」として、サイクリングの入門書「だれでもできるサイクリング」を紹介しています。
「サイクリング東西南北」
このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は七つのサイクリングクラブから寄せられた情報が掲載されています。
「パニアバッグ」
このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号は競技連盟への加盟に関する質問や、チェンラインの意味に関する質問などが寄せられています。
「交換案内」
自転車や部品の売りたし買いたしのコーナーです。今月号は売りたしの完成車が30台近く掲載されいます。
1968年8月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士レッツゴーセール」でした。
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