ニューサイクリング 1968年12月号(No.53)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1968年12月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1968年12月号は、通巻53号です。
この号の表紙は「じてんしゃ その17」です。
通巻53号の目次をページ順に追うと、
口絵 ルネ・ルス
口絵 日韓交歓競技大会
20 国民体育大会自転車
30 レースの記録 東西対抗、地域対抗、全日本学生個人戦、静岡記録会、東京都社会人ロード
34 今年のプロレースを終って
36 双輪漫筆
41 デザインコンクール募集
42 連載 シクリスム概論
46 連載 オーダーメイド読本
50 軽快車で鹿島ツアー
60 北海道ツーリング日記
66 あの道この道 旧中山道 (4)
76 パリの宝石・ルネ・ルス
84 ある意見 サイクリストの立場から
88 新製品メモ
90 パニアバッグ
92 東西南北
99 交換案内
101 代理店名簿
102 代理部だより
103 編集後記
106 68年度総合目次
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
「国民体育大会自転車」
この記事は、10月に福井市で開催された第23回国民体育大会の自転車競技のレースレポートです。トラック競技は、福井市営競輪場で一般の部と高校の部で1,000mタイムトライアル、スクラッチレース、10,000mポイントレース、400m速度競走、実用車4,000m速度競走,4,000m団体追抜が行われました。ロードレースは福井市から大野市、勝山市を回るコースで一般は2周の150.3km、高校の部は一部迂回を含めた1周の86.6kmで行われました。記事にはトラック・ロード共に各種目ごとにレポートが掲載されています。また記事の最後には、各競技の予選から決勝までの結果を掲載しています。
「レースの記録」
このコーナーには、「総理大臣杯第17回地域対抗」「文部大臣杯第22回東西対抗」「第9回全日本学生個人選手権大会」「第4回関西学生対抗選手権」「第9回東京都社会人ロードレース」「静岡県記録会」「東京都高校新人戦」の競技結果が掲載されています。
「イタリア通信 今年のプロレースを終って」
この文は、イタリア在住の日本人から寄せられたレポートです。今回は、ヨーロッパプロレース界の一年を振り返っています。その話題はロードレースの話題と、エディ・メルクスの強さ、そしてドーピング問題の3つとなっています。
「双輪漫筆」
これは、山王スポーツの高橋長敏氏の執筆による自転車に関するエッセイの連載です。今回は福井国体で感じたこととして、400m速度競走は筆者にとって自転車競走の醍醐味を味わせてくれるという事と、実用車レースの感想、他について述べています。またもう一つの話題として、前回に続いてドイツのルディ・アルテッヒ選手のエピソードを紹介しています。
「第4回自転車デザインコンクール作品募集」
このページは、(財)関西自転車産業協会主催で行われるコンクールの作品応募要項の告知となっています。
「シクリスム概論 自転車競技の基本」
これは鳥山新一氏の執筆による、自転車レース全般に関して根本的な問題から手掛け、客観的、体系的に整理してまとめ上げようと企画した連載です。第24回は「第一篇 基礎篇 第5章 走路」として今回は「トラックの構造、工作」と題し、アウトドアトラックとインドアトラックの構造の違いについて述べています。
※本文タイトルでは連載回数が「23」となっておりますが、正しくは「24」です。
「連載講座 オーダーメイド読本」
このコーナーは、これからオーダーをしたい、あるいはオーダーをしたけれど何となくしっくりこないという問題を持っている人達の視点で考えていく企画の連載です。第18回は「オーダーに必要な予備知識」として、自転車のオーダーに関する考え方について、その中でも何をおいても決めておかなければならないものは自転車の用途の決定であると論じています。
「普通の軽快車で鹿島ツアー」
この文は、51歳の筆者が小学6年生の息子と共に休日を利用してサイクリングに出かけた様子を綴った紀行文です。使用する自転車はスポーツ車ではなく、普段乗っている軽快車。地図を買ったり食料と食器を揃え、それらを自作の木箱を後ろの荷台にねじ止めした荷物入れに入れて準備を整えます。出発は七月末の夜、日中の炎天を避けて走り始めます。自宅から金町バイパスを通って大利根橋を渡り、小休止したところで雨が降ってきたのでその夜は寝ることにします。目が覚めてからは取手、藤代、竜ケ崎、潮来を経由して鹿島灘の下津海岸に辿り着きます。ここで食事をとったあとは潮来方面へ戻り、潮来港から船に乗って土浦に渡ります。土浦からは国道6号を走り、途中で見つけた学校に泊めてもらいます。翌日は国道6号で柏まで走り、ここからは前夜走ったルートから変えて流山方向へ向かい、さらに草加、蕨、戸田から笹目橋を渡って自宅へ帰りつきました。
「北海道ツーリング日記」
この文は道東方面へサイクルツーリングに出た筆者による、サイクリング紀行です。筆者は自炊道具や寝袋を持って上野発の急行八甲田で倶知安まで輪行します。駅で自転車を組み立ててから胆振線沿いの羊蹄山を回る道で川上温泉まで走って旅館に泊まります。翌日からは川上温泉から支笏湖経由で苫小牧泊、苫小牧からは汽車移動で様似から走り始めて襟裳岬経由で庶野泊、庶野から内陸に向かって帯広まで走り旅館に泊まります。次の日からは帯広から糠平温泉、糠平から然別湖経由で野中温泉、野中温泉から弟子屈までユースホステルに泊まりながら進みます。弟子屈から美幌まで走った日はユースで不愉快な思いをしたので中学校に泊めてもらうことにします。美幌からは網走経由で岩尾別まで走ってユースホステルに宿泊します。翌日は自転車から離れて羅臼岳に登ります。最終日は宿から知床大橋まで往復してから自転車を降りてバスと汽車で帰路につきました。
「あの道この道 旧中山道 その四」
このコーナーは、現在でも残っている旧街道の道のりや名残などを紹介しています。今回は旧中山道を辿っています。前回までにたどってきた東北線の浦和橋から北浦和駅、与野駅入口、大宮、宮原、上尾、桶川、北本、鴻巣、熊谷までたどっています。
目次には出ていませんが、75ページには「近着書籍雑誌」のコーナーとして、ジーノ・バルタリ著「私の物語」と「ミロワール105号」「サイクリング」が紹介されています。また製品ニュースとして、カンパニョーロのブレーキが市販されたことを知らせるニュースが掲載されています。
「ヨーロッパのみやげ 第8話 パリの宝石・ルネ・ルス」
これは沼勉氏の執筆による、2か月間にわたりヨーロッパを旅した海外自転車見聞録の連載です。今回は、ルネ・エルスの訪問記です。筆者はアムステルダムでの世界選手権視察後、疲労困憊の状態でパリに着きましたが、自身でも理解不能というほどの積極性でホテルに着くや否やパリの石畳に飛び出していきました。その目的はルネ・エルス訪問です。ここで筆者はルネルスを知るまでの経緯とエルスの自転車の特徴、そして日本を出る時から買うと決めていたエルスをオーダーした時のことを綴っています。
「ある意見 サイクリストの立場から」
この文は自転車に関連したモノやコトに対して、筆者の考えを述べたものです。今回は、「クラブ」「安全走行」「自転車の広告」についての意見を述べています。「クラブ」では、イギリスのクラブの例を挙げて日本の多くのクラブのあり方に疑問を呈しています。「安全走行」ではサイクリング中の事故について、サイクリスト側が加害者になった想定での法律論や交通安全に対する筆者の考えを述べています。「自転車の広告」では、当時の世で秀逸と評されている広告があるのに対して自転車の広告にはで色のものがない、その理由について筆者なりの考察をしています。
「新製品メモ」
こちらは自転車部品や用品などを紹介するコーナーです。今回は、ユーレー・アルビーの新製品と針金製だるま自転車を紹介しています。
また目次には出ていませんが、88ページには「自転車のポスター」と「PRコーナー」、89ページには「自転車の切手」と「本棚から」というコーナーが掲載されています。「自転車のポスター」では、自転車デザインコンクールと日韓自転車競技ポスターを、「PRコーナー」では日米富士自転車カタログと島野工業の「オートマチック5説明書」を紹介しています。「自転車の切手」では、マリ共和国、モンゴル共和国、ガボン共和国で発行された切手を、「本棚から」では「日本の旅情」「信州と飛騨」「信越/飛騨」を紹介しています。
「パニアバッグ」
このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号はクラブのつくり方、コッタレスとコッタードの利点と欠点、650Bリムに関する質問他が寄せられています。
「サイクリング東西南北」
このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は広島サイクリング協会と各地域九つのサイクリングクラブから寄せられたニュースが掲載されています。
「交換案内」
自転車や部品の売りたし買いたしのコーナーです。今月号は、完成車の売りたしが34台、対して買いたしは2台、部品においても買いたしに対して売りたしが多いのがこのコーナーのこれまでの傾向となっています。
「1968年総合目次」
「1968年総合目次」は、NC誌1968年1年間の掲載タイトルをジャンル別に分類し、一覧形式にまとめたものです。
1968年12月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士ハイフラッシャー・シリーズ」でした。
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