ニューサイクリング 1969年8月号(No.60)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1969年8月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1969年8月号は、通巻60号です。
この号の表紙は「だるま自転車」です。
通巻60号の目次をページ順に追うと、
14 自転車道楽一人で車種別に自転車を持つ ツーリングの目的やコースによって自転車を選んで乗る
20 顔振峠と正丸峠
26 富士見峠と蛇石峠
32 あの道この道 旧中山道 諏訪藩と水戸藩の争いとなった和田峠
34 コースガイド 箱根・富士五湖・今井浜
34 コースガイド 入間川サイクリング道路
36 富士山頂に我あり
44 第52回ジロディタリア メルクス失格!陰謀か!
54 クラシックディレイラーコレクション 珍しいディレイラー、古いディレイラーなど
56 連載第25回オーダーメイド読本
60 部品研究 ゼウス カンパそっくりのスペイン製品
66 グランプリレース第2戦グランドレース大会記録
68 新製品メモ
70 東西南北
72 パニアバッグ
81 交換案内
83 代理店名簿
84 へんしゅうこうき
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
「自転車道楽1 一人で車種別に自転車を持つ(上)
この記事は、今月号から始まったメカニズムにふれていく企画ものの連載です。今回は、まず隗より始めよということで今井編集長の所有車の紹介から始まっています。当時の編集長は、シクロツーリスト、シクロスポルティーフ、クルスルート、プロムナードの4台を所有していました。この中から、今回はシクロツーリストのフレームやアセンブルパーツについて詳細な仕様を紹介しています。
「顔振峠と正丸峠」
この文は、峠越えサイクリングを行った筆者によるレポートです。筆者は計画段階でコースを決めるとともに所要時間と時速を計画し、実際に走ってそれがどのくらい実行できるものか試してみることとします。使用する自転車はシングルギアの軽快車で、荷物は必要最小限とします。筆者は自宅を出発し、川越、笠幡、越生、黒山三滝と通って顔振峠に向かいます。じゃり道からやがて自転車に乗れないような石のごろごろする急な坂を押し上げて峠を越え、急ぎ下っていきますが予定より1時間ほど遅れます。さらに子の神戸から正丸峠、山伏峠を越えて飯能まで下りますが、遅れの時間はさらに増えていきます。飯能からは野田、宮寺、所沢を経由して計画より1時間半遅れで自宅に帰りつきました。このレポートでは、グラフと表を使って計画と実際の速度やその差異を表すとともに、最後に差異の理由について自己分析しています。
「富士見峠 蛇石峠」
これは、夫婦で伊豆へカーサイクリングに出た紀行文です。筆者は夫ともに2泊3日の予定で西伊豆へ向かいます。初日は立川の自宅を出て八王子から高速に乗って河口湖で降り、本栖湖を経由して朝霧高原でポタリングをしたあとクルマに戻り、白糸の滝に寄ってから沼津、修善寺、船原峠、土肥とドライブして田子で旅館を探して泊まることとします。筆者夫婦はこの旅館が気に入ったので、翌日もここに泊まることとしてサイクリングの計画を立てます。雨模様の翌日はポンチョを着てサイクリングに出発、堂ヶ島、松崎、雲見、富士見峠、波勝崎、蛇石、蛇石峠、松崎、堂ヶ島と巡りました。三日目は土砂降りの雨となったためサイクリングはあきらめ、自転車はばらして後部座席に乗せ、田子から下田、石廊崎、天城峠、修善寺、三島、御殿場とドライブして自宅に戻りました。
「あの道この道 旧中山道 その十」
このコーナーは、現在でも残っている旧街道の道のりや名残などを紹介しています。今回は旧中山道を辿っています。前回までに辿って来た笠取峠から長久保まで下り、和田から和田峠を越えて諏訪までとなっています。
「コースガイド3ツ」
ここでは筆者が過去に経験したサイクリングコースの中から、おすすめの候補地を三つ紹介しています。ひとつ目は日帰りまたは一泊で箱根を走るコースです。案内文では東京を午前2時に出発して小田原8時半、昼頃に元箱根到着、一泊するならば湖尻まで行くルートを紹介しています。ふたつ目は2泊3日で富士五湖を巡りながら富士山を1周するコースです。このコースも初日は午前2時に出発して山中湖泊、二日目は河口湖、西湖、精進湖、本栖湖、白糸の滝を巡って沼津経由で御殿場泊し、三日目に帰京するコースです。三つ目は海水浴目的のサイクリングで、午後10時に出発して翌日の12時に今井浜について終日過ごし、翌日の午前2時に出発して帰京するプランとなっています。
「新コース・入間川サイクリング道路」
これはこの年の6月に開通した、入間市の西武線の仏子駅南方を起点として丘陵地帯を縫って走る自転車専用道路を走って来た筆者による実走レポートの囲み記事です。
「富士山頂に我あり」
これは高校生の筆者が富士山への登山サイクリングを行った、サイクリング紀行です。筆者は中野の自宅を早朝に出発し、環七、青梅街道、環八、甲州街道を走り、大月から富士吉田を経由してスバルラインを登り五合目にある宿に泊まります。翌日は7時少し前から登山を開始、自転車を押しながら登って行きます。途中で休憩を取りながら頂上まで登り切り、筆者以外誰もいない頂上で景色をじっくり眺めてから浅間神社隣の土産屋に行き、買ったハガキで友人に手紙を書いて頂上のポストに投函した後、二時頃から下り始めます。九合目から八合目、そして砂走りを一気に下って1時間ほどで六合目の小屋に辿り着きます。ここから五合目の宿まで戻る間に前後ともにパンクしてしまいましたが、チューブラーのスペアは1本しかなく、翌日空気を入れながらスカイラインを下って自転車店で修理をしてから帰路につきました。
「イタリア通信 第52回ジロディタリア」
この文は、イタリア在住の日本人から寄せられたレポートです。今回は、ジロ・デ・イタリアのレポートです。この年のジロは、エディ・メルクスの失格事件、チームを移籍したジャンニ・モッタの不参加、第20区間の悪天候による途中中止等多くの不運、不祥事がありました。レポートは、朝日新聞にも掲載されたメルクスのドーピングコントロールで失格になったことを中心に届けています。
「クラシックディレイラーコレクション」
ここでは「イタリア通信」を執筆している筆者が、イタリア滞在中に入手したディレイラーを紹介しています。写真とともに紹介されているのはヴィットリオ、チェルビーノ、カンパニョロの1本ロッドと2本ロッドにグランスポルトとなっています。
「連載講座 オーダーメイド読本」
このコーナーは、これからオーダーをしたい、あるいはオーダーをしたけれど何となくしっくりこないという問題を持っている人達の視点で考えていく企画の連載です。第25回は「オーダーに必要な予備知識」として、自転車のオーダーに関する考え方について解説しています。今回は自転車以外のものに関する内容ということで、資料に関してその必要性について解説しています。
「部品研究 ゼウス」
この記事は、当時まだ日本に入ってきていなかったスペインのゼウスのパーツをカタログページの写真を交えて紹介しています。カタログには変速機、チェンホイール、ペダル、ヘッドパーツ、シートピラー、ブレーキ、工具類が掲載されており、記事では各ページの内容を説明しています。
「東日本グランプリレース 第2戦 グランドレース大会」
ここでは6月に大宮自転車競技場で開催された、東日本グランプリレース第2戦の競技結果を掲載しています。
「新製品メモ」
こちらは自転車部品や用品などを紹介するコーナーです。今回はパターソンズハウス製のセンタープル用キャリア等を取り上げています。
この他にも「外誌から」というコーナーがあり、「バイシクリング」の5月号と6月号、「インターナショナルサイクルスポーツ」の4月号を紹介しています。
目次にはありませんが、69ページには各県別サイクリングコース新刊として、千葉、静岡、三重、宮城の4つの県のものを紹介しています。その内容は、千葉17コース、静岡12コース、三重17コース、宮城7コースで、コースの説明と地図、またその他にサイクリングの一般的注意や用具、服装、輸送等が掲載されています。
「サイクリング東西南北」
このページは、各サイクリング協会並びに各クラブの交換の場所としてニューサイが提供しているページです。今回は沼津サイクリング協会と、各地のサイクリングクラブ9クラブから寄せられた情報が掲載されています。
「パニアバッグ」
このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号は読者からの質問を多数掲載しています。その内容はパーツに関すること、メカニズムに関するもの、自転車関連の書籍・雑誌に関するものなどで、当時の読者が興味を抱いている点が伺い知れます。
1969年8月号の裏表紙広告は、日米富士自轉車の「富士ランドナーテン・BT」でした。
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