ニューサイクリング 1970年8-9月号(No.71)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1970年8-9月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1970年8-9月号は、通巻71号です。

この号の表紙は「ギヤとチエン」です。

通巻71号の目次をページ順に追うと、

口絵 お車拝見 私のシクロスポルティーフ

12 メカニズム 製品研究 チネリカタログ紹介 レース用部品として有名なイタリア・チネリ社の各製品。とくにコロンブスフレームチューブのすべて

19 メカニズム VOICE OF CYCLIST ハイブリッドマシンについて スポーツ車の未来像を考える

20 メカニズム 私の自転車 チネリ・スーパーコルサについて メカニズムエッセイとしてロードレーサー及びスーパーコルサのことなど

26 エッセイ ツーリングエピソード まとまらない話

30 エッセイ ツーリングエピソード 泊めてやるべえ

32 エッセイ ツーリングエピソード トンネル二題

44 レポート 第4回全国ラリー

46 ツーリング 開田高原と木曽路

52 ツーリング 乗鞍に挑む

56 ツーリング レポ・十里木高原

57 代理部だより

58 新車・分解式QP

59 新製品・サンツアーGT・レーサーシューズ

60 パニアバック

64 交換案内

となっています。

主な記事の内容を以下にご紹介します。

※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。


「製品研究 カタログ紹介 チネリ」

ここでは、チネリのカタログページを掲載しながら各製品を紹介しています。部・用品はハンドル・ステム・サドル・ピラー・ストラップ・バーエンド・シューズ・ローラー台のページとその内容を掲載しています。またフレームのページもあり、スーパーコルサ、ピスト、タイプBとその内容をそれぞれ紹介しています。そしてコロンブスのパイプについては、カタログページを掲載するとともにロード用・ピスト用のパイプの組み合わせおよびパイプ個々の仕様を詳細に紹介しています。


「VOICE OF CYCLIST ハイブリッドマシンに期待する」

筆者は冒頭で、当時の前後多段が当たり前になっていた時代からシングルフリーしかなかった時代を振り返り、更に筆者の祖母の思い出として初めて自転車を見た時の驚きを紹介しています。それを踏まえ、筆者はこれからの各時代の要請に即した多様性を持ったハイブリッドマシンの登場に期待すると述べています。


「メカニズムエッセイ チネリ ロードレーサー」

この文は、ツーリストを以って任ずる今井編集長がなぜロードレーサーを持ったかを綴っています。前半では筆者の手元に現在のチネリが来るまでのロードレーサー遍歴とチネリ入手の顛末を。後半ではチネリの使用感や活用状況を披露しています。


「つーりんぐ・えぴそーど まとまらない話」

この文は綿貫益弘氏によるもので、網走のサロマ湖の水端にある牛飼い小屋に泊まり込んでいた時の話、頭が痛いから面倒なことは考え付けないという話、読んだもののうち面白いと感じたものをいくつか紹介する話、また自転車に乗ろうと思っている話の4つを書いています。


「つーりんぐ・えぴそーど "泊めてやるべえ"」

これは、前年の5月連休の頃に筆者が中津川あたりを走った時のエピソードです。中又里あたりで陽もすっかり沈んだころ宿を訪ねますが満員とのこと。学校を頼ってみますが先生不在ということで万事休す。そんなところへ村人が集まってきて、いきさつを聞いた村人の口利きで民家に泊まることに。そこでは続々と珍しい料理や東京の料亭でも高価とされる岩茸をふるまわれました。翌日はお土産までもらい、押し問答の末に渡してきた礼金は後日の手紙で学校のカーテンを新しくしたと知りました。


「つーりんぐ・えぴそーど とんねる二題」

これは、前年の連休にグループツーリングに出た今井編集長の体験エピソードふたつです。ひとつ目は、男女各2名の4名で山形の米沢から新潟方面まで走った時の三日目のこと、海岸沿いに走っていると道路工事で突然道が切れていました。相談の結果、そばをはしる線路を行くこととしましたが今度はトンネルが。そこを汽車の音が聞こえないかと焦りながらも無事に通過した話です。ふたつ目は先の旅の続きで、工事途中のトンネルを通るときの話です。真っ暗な中をやみくもに自転車を走らせていましたが、途中の切れ目で光が漏れているところを見るとはるか下に波が見えるところが。トンネルを無事に抜けましたが、先に行ったものの様子がおかしいので聞いてみると、調子に乗って走っていたところあと10センチほどで真っ逆さまに下の谷へ落ちるところだったということで、まだ心臓がドキドキしているということでした。


「第一四回JCA全国ラリー」

この文は、8月上旬に伊豆のサイクルスポーツセンターにおいて三日間の日程で開催されたJCAの全国ラリーの今井編集長による参加レポートです。これまでのラリーは全国のサイクリング協会の持ち回りで開催されてきましたが、この年は初めてJCAの主催による開催となりました。また3日間同一場所での開催で、従来の移動しながら行ってきたイベント形式とは異なる試みでした。レポートには初日の開会式とその後、二日目にメインイベント、三日目の各県対抗ゲームと閉会式について、最後にはイベント参加後の感想を編集長が述べています。


「木曾路と開田高原」

この文は当時「日本のチベット」といわれていた木曽の仙境を訪れたサイクリング紀行です。筆者は藪原駅で自転車を組み立ててから木曽福島に向かって走り始めます。途中、徳音寺を見学し福島で食料を入手してから地蔵峠へ向かいます。2時間ほどで峠についてからは20分ほど休憩してから下りにかかり、末川の宿に泊まりました。翌日は曇り空の中出発、途中からは雨が降り出すなか西野川沿いに走ってから国道に合流し、妻籠まで走ってから宿を探して泊まりました。翌日も雨だったので大平峠を越えて飯田に出る予定はやめにして、中仙道を中津川まで行くことにします。馬籠峠を越えて馬籠から中津川まで走ったあとは、自転車を分解格納し、駅の立ち食いそばで腹を満たしてから急行の一座席に身をゆだねて帰路につきました。


「山岳ツーリング 乗鞍に挑む」

この文は、9月の下旬に猛烈な霧と寒さ、急坂に悪戦苦闘した山岳ツーリング紀行です。筆者は友人とともに新宿発の夜行で上高地の登山口島々まで移動します。島々の駅前で自転車を組み立ててからサイクリングを開始、国道158号、乗鞍登山道と車を進めます。道中は急坂と寒さ、ひどい霧に悩まされ9時間かかってようやく頂上の山荘に辿り着きます。翌日もひどい霧のため乗鞍山頂へ行くのは断念して下山することにします。霧は途中から雨に変わり、加えて猛烈な寒さのため途中の平湯峠のドライブインではストーブにかじりつき、何とか高山へ辿り着き、この日はユースホステルに宿泊しました。翌日も雨で昼になってもやまなかったため、以降のサイクリング計画は中止して帰途につきました。


目次には出ていませんが、55ページには「峠・特集を読んで」と題した菅沼達太郎氏による文が掲載されています。


「ツーリングレポ 十里木高原」

筆者は午前3時に起床、友人とともに川越街道を走って池袋から御殿場まで輪行移動します。御殿場駅からサイクリングを開始、ルート246を少し行ってから十里木街道に入ります。途中から道が悪くなったり、ヘッドのガタが出たり、十里木も素通り。時間も無くなってきたので、あとは下って吉原駅から帰路につきました。


「新製品メモ」

こちらは自転車部品や用品などを紹介するコーナーです。今回は、マエダ工業のリアディレイラー「サンツアーGT」とズノー製作所のレーサーシューズを取り上げています。また今回は完成車として、サイクルショップトモダの「QP」と名付けられた輪行用車も紹介しています。


「パニアバッグ」

このコーナーは、読者に開放されているページです。今月号はフレーム、タイヤ、リムに関する質問が読者から寄せられています。


「編集メモ」

目次にはありませんが、66ページには編集後記が掲載されています。ここの冒頭には、全国ラリーの手伝いと夏休みを取ったことでこの号が八、九の合併号になってしまったとのお詫びが出ています。


1970年8-9月号の裏表紙広告は、「財団法人自転車産業振興協会」でした。

コメント

このブログの人気の投稿

ニューサイクリング 1989年1月号(No.294)

ニューサイクリング 1985年3月号(No.247)