ニューサイクリング 1975年3月号(No.124)

本日の1冊

今回は「ニューサイクリング 1975年3月号」を取り上げます。

ニューサイクリングの1975年3月号は、通巻124号です。

この号のカラー口絵は「イタリアの地方レース」、グラビアは「もう一つの道楽 (2) 自転車切手」「御斉所街道」「自転車とオーダーメイド (1) フレームパイプについて―その製作過程-」です。

通巻124号の目次をページ順に追うと、

16 特別企画 装備について サイクリングウエア(1) ズボンのこと

26 連載 NOUVELLES DE PARIS

32 連載 スプリントの世界(全日本選手権)

36 連載 この頃考えている事(風と共に走る)

38 座談会(その2) 自転車談議

50 エッセイ 風景について

54 旅 年越しサイクリング 雪の坂道

58 レース 私の見た自転車レース ヨーロッパのアマレースを中心に

64 エッセイ 私の自転車観

68 メカ プジョーPX-10Eスポルティーフ ロードレースからスポルティーフへの改造

80 TOURING REPORT 松姫峠

82 TOURING REPORT 犬越路林道

86 製品メモ

88 VÉLO SPOT

89 大正時代のサイクリングクラブ

90 LETTER TO EDITOR

となっています。

主な記事の内容を以下にご紹介します。

※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。


「サイクリングの装備について ウエア編 その1 ズボンのこと」

この記事は3月号の特別企画で、自転車のメカニズム以外の装備について取り上げる企画です。今回は、サイクリングウエアのズボンを取り上げています。その内容はまず最初に、サイクリングウエアの基本的な考え方とその変遷、そして選択のポイントについて述べています。次に具体的な内容として、当時主に使われていたニッカーズについて、要求される機能、仕立て、股下寸法、裾口の処理、布地、季節的な使い分けについて詳述しています。その他にもトレンカ―やタイツ、ショーツについても取り上げています。そして記事の最後には「私のサイクリングズボン」と題して、サイクリストにいろいろ聞いたズボンの話を紹介しています。


「NOUVELLES DE PARIS」

この文は2月号から始まった連載で、加藤一氏によるパリからの便りです。今回は「随想2」として、競輪への偏見について、'75年のツール・ド・フランスについて、日本のロードレース等について筆者の意見を述べています。


「スプリントの世界」

この記事は3月号から始まったシマノサイクルレーシングクラブ所属の岡島伸平選手の執筆による新連載です。今回は全日本選手権の1000mタイムトライアルとスプリントを話題に上げています。1000mTTについてはその結果と、3位に入った筆者がレース前に行った調整法としてF・ブラックがアワーレコードを更新した時に行った方法に習って行ったとして、その方法を紹介しています。スプリントについては、使用したギア比やタイヤの選択と設定空気圧について紹介するとともに、予選から決勝までのレース展開を述べています。


「この頃考えていること1」

この記事は3月号から始まった、アルプスの萩原慎一氏の執筆による新連載です。今回は「風と共に走る」と題して、この頃に定休日(木曜日)の朝から出かけていた、目的地などは特に決めずにその日追い風になる方向へ走り、風が変わればそれに従って追い風になるようにしながら一日走るというサイクリングをしたことをいくつか紹介しています。


「自転車談議 後編」

この記事は前年の10月号に続く自転車を囲んでの座談会第2弾です。今回は前回からの続きとなる、読者の所有する東叡社で製作した1台を題材に、うるさがたのサイクリスト4名と編集部の2名を加えて繰りひろげた自転車談議の記録です。今回の座談会で話題になったのは、オーダー車が一般的な商品になってきたことやオーダーの尺度、手入れについて等と、最後は取り上げた自転車に対する各自の感想を述べています。


「風景について」

これは、綿貫益弘氏によるエッセイです。今回は、正月に厳道峠をやった時のこと、自宅にある変わった時計の話、自宅の部屋とその部屋にある各窓の時間ごとの風景のこと、正月に厳道峠をやった後に鶴峠に向けて走った時のことについて綴っています。


「年越しサイクリング 雪の坂道」

この文は、筆者が輪友と共に3人で大晦日から元日にかけて、都内から出発して津久井湖経由で道志街道を走り、途中で1泊した後に猿橋の駅まで走った様子を筆者のイラストともに綴った旅のエッセイです。


「私の見た自転車レース」 

この文は前年の中村博司氏の後を継いでシマノ・フランドリア・メーリンプランジにメカニックとしてヨーロッパに赴いた吉田治久氏によるレポートです。筆者のレポートは副題に「ヨーロッパのアマチュアレースを中心にして」とあるように、今回はシマノがスポンサードした各国のアマチュアチーム紹介や、オランダのケッティング・シマノチームが出場したオランダ一周レースをメカニック視点からレポートしています。


「私の自転車観」

この文は「趣味的自転車の考え」とうたい、筆者が所有する42Bの旅行車とチューブラ装着の2台を題材に、筆者の考える自転車観を述べています。


「プジョーPX-10Eスポルティーフ」

この記事は「ロードレーサーからスポルティーフへの改造」と副題を付けた、今野義氏によるプジョーの改造レポートです。「趣味の自転車の頂点をスポルティーフに見る」という筆者はロードレーサーであるプジョーPX-10Eを素材に選び、フロントキャリアやマッドガードの装着、各部のパーツ交換などの改造過程を各部の写真と共に紹介しています。


「TOURING REPORT 松姫峠」

筆者一行3人は深山橋でバスを降り、橋のたもとで自転車を組み立て橋を渡ったところの食堂で腹ごしらえをしてから出発します。しばらく走ってから本道を外れて小菅川を渡り、やがて砂利道になってからの分岐を松姫峠に向けてすごい傾斜の道を登っていきます。集落を抜け、ところどころ凍結している道を進みやがて峠に到着します。峠の展望は良くなく、昼食を済ませてから下りにかかります。その下りを最初のヘアピンまで来ると、アッと驚くような展望が開けていました。この展望をしばらく堪能してから悪路と急坂の道を大月方面へ降りていきました。


「TOURING REPORT 犬越路林道」

筆者は輪行してきた新松田駅を降りてから輪行袋を担いで御殿場線の松田駅に向かいます。ここで他のメンバーと合流して谷我駅へ移動、駅では残りのメンバーとも合流し自転車を組み立てます。一行の6名は駅から国道246号へ出て、さらに国道を外れて中川温泉へ向かいます。中川温泉からは箒沢を抜けて犬越路林道を走って、二時前頃に犬越路隧道に到着します。トンネル近くの水場でコーヒー・紅茶を入れ1時間ほど過ごしてからそれぞれの愛車にまたがって犬越路隧道に入っていきました。トンネルを抜けてからは雄大な眺めの山岳コースを担ぎもいれながら進んだり、崩れ場をロープを使って自転車を引き上げたりしながら難所を明るいうちに越えて帰路につきました。


「製品メモ」

こちらは自転車部品や用品などを紹介するコーナーです。今回は、犬印の防寒用手袋、ガードステーに取り付けるホイールバランサー等を取り上げています。


「VÉLO SPOT」

このコーナーは今井彬彦編集長が当時の自転車界についての様々な話題を取り上げるコーナーです。今回は「自転車の取り上げられ方」と題し、この当時に雑誌各社から寄せられるサイクリングに関する問い合わせや原稿依頼が数年前に比べてだいぶ変化が見られると述べています。また、自転車そのものを取り上げたものとしては他誌の掲載記事を一つ上げ、その内容に対して編集長が感想を述べています。


「大正時代のサイクリングクラブ」

この記事では読者から寄せられた手紙の内容、読者が阿武隈サイクリングの際に立ち寄った食料品店で見た大正時代のサイクリングクラブの写真とそのメンバーの方から聞いた話を紹介しています。


「LETTER TO EDITOR」

このコーナーは、読者から編集部あてに寄せられた便りを紹介しています。今回は、万能車についての読者からの意見と、ブレーキの制動力についてカンティとセンタープルを比較した考察が寄せられています。


1975年3月号の裏表紙広告は、ブリヂストンサイクル工業「ダイヤモンドシリーズ」でした。

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