ニューサイクリング 1971年8月号(No.81)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1971年8月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1971年8月号は、通巻81号です。
この号は特集増大号で、鳥山新一氏著のスポーツ車に関する全般を取り上げたものです。体裁も普段とは違い、左綴じの横書きとなっています。
通巻81号の目次をページ順に追うと、
グラビア オーダーメイド車種のいろいろ
グラビア 楽しい特殊工作
11 第1章 スポーツ車とサイクリスト
23 第2章 良い車とは
31 第3章 スポーツ車の基礎知識
79 第4章 スポーツ車の設計
87 第5章 フレーム材料と工作
103 第6章 オーダーメイドのはなし
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
「オーダーメイド車種のいろいろ」
これは巻頭のグラビアページで、グランシクロツーリズムのタンデムとソロ、シクロキャンピング、ランドナー、シクロスポルティーフ、クルスルートの6車種を写真と説明文で紹介しています。
「楽しい特殊工作」
これは巻頭のグラビアページで、ラグワークや直付けや内臓等の特殊工作を各部の拡大写真で紹介しています。
「第1章 スポーツ車とサイクリスト」
この章ではこの本の総論として、次章以降で論じられている各論に登場する言葉の定義や概論を1~2ページ程度で述べています。各項目の題は「1 スポーツ車」「2 サイクリングと自転車」「3 サイクリストと自転車」「4 サイクリストと良い車」「5 趣味としての自転車」「6 自転車の「神話」と「迷信」A~Z」「7 自転車の理論と実際」「8 自転車の基礎知識」「9 基礎知識と応用」「10 基礎知識のポイント」となっています。
「第2章 良い車とは」
この章では、サイクリストにとっての良い自転車とはその人の要求を満足させてくれる車としたうえで、「1 「良い車」とは」「2 良い車と高い車のちがい」「3 立場と時代でちがう「良い車」の内容」「4 車種でちがう「良い車」の内容」「5 「良い車」の必要条件と十分条件」の各項目でその詳細内容を解説しています。
「第3章 スポーツ車の基礎知識」
この章では、中項目としてABCの3つに分け、スポーツ車について科学的見地から基礎的な知識となるものを解説しています。
Aでは「1 自転車の「品質」と「機能」と「性能」」でそれぞれの言葉の意味と、内容的にどのようなものかを説明しています。そしてこの中項目の主題となる「走行性能」に関わる内容を以降の項目「2 重い車・軽い車」「3 何が性能を左右するか?」「4 出力性能」「5 出馬力の大小」「6 エネルギー消費の大小」「7 疲労の大小」「8 フレームの設計と出力性能」「9 乗車姿勢と性能」「10 3点調整法の合理性」「11 出力性能とギヤ比」「12 走行性能」「13 走行抵抗の内容と要因」「14 ハブの回転部の摩擦抵抗」「15 空気抵抗」「16 ころがり抵抗」「17 重量の影響」「18 タイヤの影響」「19 工作技術の影響」で解説しています。
Bでは「1 自転車のスピードとフレーム」で自転車のフレーム設計と自転車のスピードとの関係について解説しています。そして以降の項目「2 自転車のスピードの限界」「3 勾配抵抗と登坂性能」「4 加速抵抗と加速性能」ではA項において述べた自転車の直線運動に関する出力性能の続き、「5 運動性能」「6 自転車の安定性」「7 安定性の判定法」「8 安定性テストの実際」「9 自転車の操縦性」「10 操縦性の判定法」「11 操縦性テストの実際」「12 運動性能とタイヤの対路面特性」「13 タイヤの対路面特性」「14 コーナリングフォース」では、自転車の曲線運動の良否に関する運動性能について解説しています。
Cでは「1 キャンバースラスト」で自転車の運動性能のうちタイヤに関わるサイドフォースの一つをB項に続いて述べています。そして、以降の項目「2 フレーム設計の影響」「3 工作技術の影響」「4 制動性能」「5 制動のメカニズム」「6 タイヤの影響」「7 ブレーキ効率」「8 安全な制動」「9 安全な車・危険な車」ではフレームの設計と工作が運動性能に与える影響と、制動に関する内容を解説しています。
「第4章 スポーツ車の設計」
この章では、自転車を作る際の8要素「品質」「重量」「意匠」「保守」「価格」「強度」「機能」「性能」のバランスを如何にとるかという点についての考え方を整理しています。「1 スポーツ車の設計」では、現実的な設計のスタート点となる「使用目的」「乗員体格」「価格」のポイントを解説。「2 自転車の重量」「3 自転車の強度」「4 自転車の剛性」「5 フレームとパーツの役割り」「6 フレームスケルトン」では8要素のうちスポーツ車設計にウエイトの高くなる点に焦点を当てて解説しています。
「第5章 フレーム材料と工作」
この章では、「1 フレーム材料」で過去から当時までに探求されてきたフレーム材料の紹介と、当時生き残っていた材料としての鉄のパイプについて製法や鋼材ごとの違いを解説しています。そして「2 フレームパイプにかかる力」「3 パイプの寸法・形状」「4 パイプの強度、剛性、重量」「5 ラグ・ホーククラウン」「6 ホークエンド」「7 フレーム工作」「8 ブレイズド・オン、特殊工作」ではフレーム製作に使用するパイプ、部材、工作の各項目にについて解説しています。
※目次では第5章は87ページからとなっていますが、実際は89ページからの掲載となっています。また89ページには第5章の題が「良い車とは」となっていますが、この題は第2章のものであり、本文内容から正しい題は目次の通り「フレーム材料と工作」と思われます。
「第6章 オーダーメイドのはなし」
この章では、「1 車の上手な選び方」でメーカー完成車などを選ぶ際のポイントを解説しています。そして「2 オーダーメイドについて」「3 オーダーメイドの楽しみと手順」「4 オーダーの要注意事項」では自転車をオーダーする際のポイントを解説しています。最後の「5 愛車のラインアップ」では、筆者である鳥山新一氏が最初のオーダーから海軍にはいるまでのラインアップと本書執筆当時のラインアップを紹介しています。
1971年8月号の裏表紙広告は、神金自転車商会でした。
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