ニューサイクリング 1972年10月号(No.95)
本日の1冊
今回は「ニューサイクリング 1972年10月号」を取り上げます。
ニューサイクリングの1972年10月号は、通巻95号です。
この号のグラビアは「扉峠」「PARTS COLECTION 4.」です。
通巻95号の目次をページ順に追うと、
12 日本一周自転車旅行より
24 京、北山にナウを見た
34 京都北山を走る
40 峠にとりつかれた私の峠越え
50 カメラ紀行野呂川、丸山林道
カメラルポ 伊勢志摩峠
56 路傍の文化財
60 サイクリングクラブ物語2 サイクルフレンズクラブ
66 製品ニュース TA製品、VAR工具、イデアルサドル、新型バッグ、ロベルジェルスポーク、三光ハブ
73 サイクリング歳時記〈雁〉
となっています。
主な記事の内容を以下にご紹介します。
※各ページの題名が目次と異なる場合は、本文の題名を表記しています。
「私の日本一周記」
この記事では日本一周を行った筆者がその経験をもとに、旅の手段として自転車を選んだ理由、自転車・宿泊・携行品・費用・旅の行程については自身の経験を、最後に日本一周へのアドバイスと自身の旅を終えての感想を述べています。
「京、北山にナウを見た」
この文は、今井編集長によるサイクリングエッセイです。冒頭では、過去でもなく未来でもない、まさに現在ということを表現するために当時のはやり言葉を標題に使った顛末を綴っています。サイクリングは前日泊まった京都のホテルから出て、八瀬、大原を通って花折峠を越え、市場まで走ってから京都の山根氏に紹介された家に泊まります。翌日は家の主人の好意によって演習林を見に行き、その後は中牧から走り始めます。針畑川に沿って走り、川合から上って能美峠を越えて花背まで下り、大布施から再び花背峠への上りが始まります。別所川沿いにだらだらとした長い登りは始め路面が悪くほこりがひどかったものの別所からは美しい舗装になり予想より楽に峠へ辿り着くことができました。峠までは順調でしたが、下りで後の泥除けが後輪に巻き込んでしまうトラブルに遭います。幸いパンクなど他のトラブルはなかったので泥除けの後ろ半分だけ捨てていくことにして、その後は二条まで一気に走り抜けました。最後には北山の中に「ナウ」を見たと思わしめた北山サイクリングで感じた現代の息遣いについて綴っています。
「京都・北山を走る」
これは、関東に住む筆者が御大と二人で走ったサイクリング紀行です。筆者は東京駅発の最終新幹線に乗り遅れたため夜行で京都に行き、京都駅からは更に待ち合わせの自転車屋を探して向かいます。翌日はハンドルを御大に任せ、若狭街道を走って若狭湾に向かう計画で走り始めます。途中越、花折峠を越えて進み、京都の自転車屋に紹介された釣り宿に宿泊します。翌日はコースを変更して、京都へ引き返すコースを取ります。宿からは前夜聞いた過疎集落へトラックで送ってもらい、そこから自転車で走り始めます。集落をいくつか抜け、峠の上で弁当を食べてからあちこち穴の開いた道を下り、花背峠に向かっていきました。
「峠にとりつかれた私の二つの峠越え」
この文のひとつは、連休を利用して麦草峠と大垂水峠を越えたサイクリング紀行です。筆者は友人とともに輪行袋を持って鈍行列車で移動し、夜の茅野駅に降りてから初日の宿まで移動します。翌日はフロントバッグに食料を詰め込んで出発、のんびりと登って麦草峠を越えます。峠越えの後は八千穂へ下り、梓山辺りに泊まります。次の日はよく晴れ、途中で知り合ったサイクリストも加え、3人で大弛峠に向けて上っていきます。走っていると突然白いものが現われ、その先は延々と担ぎで進むこととなります。峠に着いてところでラジオを聞くと天気は下り坂とのこと。そうこうしているうちに急速に雲が広がり始め、大弛小屋に泊まって天気の回復を待つか相談した結果、下ることにします。下りは半分溶けた雪の中を担いで進み、乗れるようになってからも暗くなりまた時折強くなる雨の中をひたすら下ります。ようやく街の灯りが見えましたが喜ぶ気力もなく、駅に着いて自転車を分解し負け犬のように中央線の最終に乗りこみました。
もうひとつの紀行は、友人と出たキャンプツーリングです。二人は志田峠を越え三増峠の登りにかかる辺りでテントを広げます。翌日は三増峠を越えてから道志街道へ抜け、久保まで走って宿を取ります。次の日も道志街道を進み、念願だった山伏峠を越えて山中湖で昼食を取ります。そのあとは籠坂峠を越えて須走を抜けて国道246号のバイパスに乗って家に向かってひた走りました。
「カメラ紀行 野呂川・丸山林道を走る」
この記事は、筆者が野呂川林道と丸山林道を走ったツーリング道中の様子を写真で伝える写真紀行です。
「路傍の文化財」
この文は、筆者がサイクリングの際に見てきた路傍の文化財を紹介していく企画の連載です。連載第9回は、庚申塔の三猿の型について解説しています。
「CYCLING CLUB STORY サイクルフレンドクラブの巻」
ここでは、「わがクラブを語る」と称してサイクリングクラブの紹介記事を掲載しています。今回は「サイクルフレンドクラブ(CFC)」で、その運営について今井彬彦氏が語っています。
「坂また坂の国道二六〇号線 伊勢志摩の道」
これはクラブ仲間5人で走ったクラブランの道中を写真で伝えるレポートです。
※目次には掲載ページの表示されていない「カメラルポ 伊勢志摩峠」という記事がありますが64ページに掲載されているこの記事を指していると思われます。
「製品ニュース」
こちらは自転車部品や用品などを紹介するコーナーです。今回はTAのスリーアームクランク、「プロフェッショナル」のチェンリングとアダプター、「ツーリスト」チェンリング、タンデムギヤセット、三光ハブ「チタン」、VARの各種工具、イデアルのサドル「90」等を取り上げています。
「サイクリング歳時記4 雁〈かり〉」
このコーナーは、自然と自転車、生活と自転車のかかわりについて歳時記的な角度から見てみようとの意図で綴られています。今回は「雁」について、その言葉の解釈をいろいろ紹介しています。
※本文の題名には連載回数が「4」となっていますが、実際の連載回数は5回目となります。
1972年10月号の裏表紙広告は、ブリヂストン自転車「BS-27」でした。
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